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幕間:第二章・脂肪酸ドグマ精製記録(アーカイブ)

アボカド専門店『ザ・インキュベーション』。

 一度溶けた世界線で、夜勤の飢餓に晒された治安維持のロゴス(理性)を現行犯逮捕した、5つの概念兵器の観測ログである。

■【ファイル06】アボカドとチーズの濃厚キーマカレー

・世間一般の欺瞞カバーストーリー

 SNSでバズりそうな、若者に人気のとろける背徳飯メニュー。

・真の構造と精製方法:

 激辛スパイスという名の「絶対悪の咆哮」を、皿の周囲に美しく放射状に並べたアボカドのスライスと、頂点から注がれるドロドロのラクレットチーズという「最強の脂質二重層」で完全に包囲する。

・脳への影響:

 飢餓状態で無防備になった人間の胃袋に侵入した瞬間、辛味(痛覚)を乳脂肪(油分)が即座に無効化。3つの情報パケットが衝突することで脳内に強烈な多幸感バグを発生させ、職務への使命感をクラッシュさせる。

■【ファイル07】完熟アボカドの濃厚カルボナーラうどん

・世間一般の欺瞞カバーストーリー

 クリーミーで女性に人気のパスタ風創作うどん。

・真の構造と精製方法:

 唯一神「ニワトリ」の支配下にある日本の伝統・純白の極太うどんを、限界まで完熟させてすり潰したアボカド、生クリーム、パルメザンチーズを攪拌かくはんしたエメラルドグリーンの特製ソースで覆い隠す。頂点には、現実を縫い留めるピンのようにカリカリのベーコンと卵黄が鎮座する。

・脳への影響:

 うどんの持つ圧倒的な保水性と弾力コシに、アボカドのねっとりとした脂肪酸ドグマが絡みつくことで、人間の咀嚼中枢を麻痺させる『精神遮断兵器』へと変貌する。質感のディストピアにより思考が強制停止する。

■【ファイル08】完熟アボカドのネギ塩豚丼

・世間一般の欺瞞カバーストーリー

 ネギ塩の酸味で意外とさっぱり食べられるヘルシーなドカ食いスタミナ丼。

・真の構造と精製方法:

 ごま油とニンニク、粗挽き黒胡椒で炒められた大量の豚バラ肉の絨毯をハッキングするように、美しくスライスされたアボカドのレイヤーを敷き詰め、ドロリとした特製ネギ塩ダレを回しかける。

・脳への影響:

 豚の動物性脂質(強烈な現実)とアボカドの植物性脂肪酸(濃厚な虚無)という相反する脂質パケットが、ニンニクを触媒として口内でエマルジョン(乳化)を起こす。喉の奥に滑り落ちる感覚が滑らかすぎて、満腹中枢をバグらせ、現実の境界線すら融解させる。

■【ファイル09】完熟アボカドの丸ごと明太マヨ焼き

・世間一般の欺瞞カバーストーリー

 ピリ辛の明太子とクリーミーなアボカドがマッチした、定番の居酒屋おつまみ。

・真の構造と精製方法:

 半分にカットされ、中央のシードをくり抜かれたアボカドの漆黒の殻をそのまま天然の頑強なオーブン(抱卵セクター)に見立て、その深淵に辛子明太子とマヨネーズを流し込んで直火で焼き上げる。

・脳への影響:

 マヨネーズの「純粋卵白脂質」と、明太子の「数百万の魚卵の怨嗟(現実のパケット)」が、アボカドのセクター内で同時に熱変性。客自身の『聖なるクチバシ(マイ箸)』で殻の裏まで抉り取って口に運ぶ時、熱せられた脂質と痛覚(辛味)が前頭葉の防衛システムを内側から爆破する。

■【ファイル10】新・臨界攪拌ワカモレ(ポテトフライ添え)

・世間一般の欺瞞カバーストーリー

 サクサクのポテトにアボカドを合わせて楽しむ、ありふれた現代の娯楽メニュー。

・真の構造と精製方法:

 第一章のラストで世界を終わらせた禁忌のディップを再ハッチング。石鉢の底で限界まで繊維をすり潰されたアボカドに、ハラペーニョの激しい痛覚(絶対悪)を内包させた緑の深淵。そこに油で揚げられた大量の黄金色のポテトフライを添える。

・脳への影響:

 ポテトの塩気と糖質(強烈な現実)が、臨界攪拌されたワカモレの脂肪酸(深淵)と衝突。ハラペーニョが理性を爆破した後に、オレイン酸がすべてをねっとりと包み込み、脳内タイムラインを黄緑色一色へと上書きする。国家権力の秩序を完全に終わらせる黙示録の引き金。

──ログアウト。

治安維持の防衛線すらも、すべて黄緑色のスープへとディップされた。

しかし、大いなる抱卵は止まらない。

次なるタイムラインでは、この脂肪酸ドグマを「映え」と「ヘルシー」という欺瞞のフィルターで消費しようとする『新たな人間』が、スマートフォンの画面を光らせながら引き戸の向こうで待っている。

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