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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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「……それ、は」

 思い出すのは、真っ赤な血だ。

「……はい」

 頷く。私は、恋をして、父のようになってしまうことを恐れている。

「恋が、怖い?」

「……はい」

 私が再び頷くと、ルドフィルは微笑んだ。

「僕のことも、怖い?」

「……いいえ」


 恋は、怖い。正確には、私が恋をしてその結果変わってしまうことが怖い。

 でも、ルドフィルのことは怖いとは思わなかった。

「……ねぇ、ブレンダ」


 アイスグレーの瞳でルドフィルが私を見つめる。

「僕は、君が好きだよ。君に恋をしてる」

 恋は時に、自制がきかなくなることもあるけれど。それでも、それを含めて僕はこの感情を大切に思ってる、とルドフィルは告げた。


「君は、叔父様とは違う」


 ……そうだろうか。

 本当に?


 戸惑う私を見透かすように、ルドフィルは優しく微笑んだ。


「きっと、恋をすればわかるよ。もちろん僕と恋をしたくなるように頑張るつもりだけれど。………君が誰かに恋をして、その呪いから解けてくれたら嬉しい」



◇ ◇ ◇


 放課後になった。

 今日は生徒会の仕事がある。

 廊下でミランを待ち、一緒に生徒会室に向かう。

「ミラン様」

「どうされたの?」


 私はふと、立ち止まって、ミランを見る。

 そしてこっそりミランに囁いた。

「ミラン様は、恋を……されていますか?」


 私が尋ねると、ミランは途端に顔を真っ赤にして小さく頷いた。

「……ええ」

 その相手はクライヴだろう。

 私は、そんなミランを眩しく思いながら見つめた。

「ミラン様は、更にお綺麗になられましたね」


 ミランは元から美人だけれど、最近とても輝いて見える。そういうと、ミランははにかんだ。

「それは、クライヴ様のおかげね」

「アルバート様の?」


 少しでも綺麗だと思われたくて、最近お手入れを特に念入りに行っているのだとミランは続けた。

「そうなのですね」


 恋はきっと悪いものじゃない。ルドフィルもミランも、クライヴも。みんな輝いて見えるから。

 問題なのは、恋をした人間がどう変わるのか、だということもわかってる。


 でも、私は。

 急に黙った私を心配そうにミランが見つめた。


 それに、何でもないと首を振って、他愛もない話をしながら、生徒会室までを歩いた。



◇ ◇ ◇


「ブレンダ」

 生徒会の仕事が終わった後、アレクシス殿下に話しかけられる。ミランはクライヴと一緒に帰っていた。

 生徒会室に残っているのは、私とアレクシス殿下だけだ。

「はい」

 なんだろう。

「君は、誰かに恋をしているわけではないと言ったな」

 そう言われて、私が恋と愛の違いという本を借りたときのことを思い出した。

「……はい」


 ……そう、だと思う。

「そして、知りたいとも」

「はい」

「ならば、私の話を聞いてくれないか?」

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