いつもと少し違う日常
中間テストが終わった。結果が貼り出されるのは、一週間後だ。それまで、そわそわしてしまうけれど、仕方ない。
気持ちを落ち着かせるためにも、朝から図書室で勉強することは欠かせない。
図書室は、テストが終わったからか、以前よりも人口密度が減っていた。
アレクシス殿下もいない。
なので、今日は以前のようにジルバルトの隣に座ることにした。
「おはよ」
ジルバルトが、小声で挨拶してくれたので、私も挨拶し返す。
「おはようございます」
ジルバルトは少しだけ笑うとまた、問題集に視線を落とした。
私も集中しよう。
そう決めて、問題集を開く。図書室は静かで集中できた。
◇ ◇ ◇
予鈴がなったので片付けをしていると、ジルバルトに話しかけられた。
「ブレンダはさ、髪、伸ばすの?」
「いえ。近いうちに切ろうと思っています」
私が髪を切ってから少し時間が経ったので、髪は肩の高さを越えていた。
「ふーん。じゃあさ、これもまだ必要になるだろうから、あげるよ」
「?」
ジルバルトが差し出してくれたのは、花柄のクリップだった。
可愛い。
「ジルバルト様が、選んでくださったんですか?」
私がお礼を言いつつ尋ねると、ジルバルトは少し照れたように早口で言った。
「うん。まぁ、別に気に入らなかったら、捨ててくれて構わないから」
「気に入らないなんて、そんなはずありません。ありがとうございます」
嬉しいな。思わず笑顔になる。ジルバルトにもらったシンプルなクリップをずっと使っていたけれど、気分によって付け替えるのも楽しいかもしれない。
「……! うん、どういたしまして」
ジルバルトがふわりと笑う。
ジルバルトの笑みはやっぱり少し心臓に悪い。そう思いながら、ジルバルトと別れた。
◇ ◇ ◇
午前の授業が終わり、屋上にいく。
屋上は風が吹き抜けていて、心地いい。
「ブレンダ」
見知った声に振り向くと、思った通り、ルドフィルだった。
「ルドフィル様」
ルドフィルとはこの前の私が恋をするように頑張ると言われた以来だ。
そのことを思い出し、少し頬に熱が集まる。
「……ふふ。意識、してくれてるんだ。嬉しいな」
それはどうしても意識せざるを得ないというか。そもそも、告白されたのだって、ルドフィルが初めてだ。
ルドフィルが柔らかく笑う。
その柔らかさはいつもと変わらないはずなのに、どきりとしてしまう。
ルドフィルは隣に座ってもいい? と尋ねた。断る理由がないので頷くと、ありがとうと、腰を下ろす。
「ねぇ、ブレンダ──。君は、まだ、自分が叔父様のようになるって思ってる?」




