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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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必死に

 どうして、ジルバルトが謝るんだろう。

「ボクたち相性が良すぎるみたいだ」

 相性が良すぎる?

 ジルバルトは、ふと、声を落として、私を見つめた。

「ボクの目は、普通じゃない」


 ……普通じゃない。

 そう言われて、アレクシス殿下に言われたことを思い出す。ジルバルトの瞳が魔眼かもしれない話。


「……驚かないんだね。もしかして、誰かから聞いた?」

「それは……」


 でも、まさか、本当に?

 戸惑っているとジルバルトは頷き、そして吐き出すように言った。

「そう、ボクの瞳は魔眼なんだ」


 ルビーのような綺麗な瞳。でも、赤い瞳はそれ自体はそれほど珍しいわけじゃない。ミランだって、赤色だ。


 それなのに、どうしてジルバルトの瞳は。

 いや、そんなことどうでもいい。


「気持ち悪いでしょ……! ブレンダ」


 ジルバルトの手を握った。

 温かい。ちっとも、気持ち悪いとは思わなかった。


「……ブレンダ」


 ジルバルトが戸惑ったように私を見る。途方にくれた迷子みたいな顔だと思った。


「そんなこと思うはずがありません。私にとって、ジルバルト様は大切な先輩ですから。それに」


 微笑んで、ジルバルトを見つめる。


「ジルバルト様は、さっき、魔眼の力で助けてくださいましたよね? ありがとうございます」


 ジルバルトのおかげで、深呼吸ができた。そして、そのお陰で、私は記憶に囚われなかった。


「でも、ブレンダが混乱したのもボクのせいなんだ」

 ジルバルトは、悲しげな顔をした。

「ボクの目には2つ力がある。──人を思う通りに動かせること、そして、悲しい記憶を増幅させること」


 悲しい、記憶。

「ブレンダは、雨に思い入れがあるっていったよね。偶々かと思っていたけれど、この前のあれもボクのせいだ。ボクが側にいたから──」


 ジルバルトが、私を見つめる。

「記憶の増幅は誰かれ構わず、起きるわけじゃなくて、特別相性がいい人にしか起こらないんだ。でも、悲しい記憶なんて思い出さないに越したことはない」


 もしかして、ジルバルトが、人を避けていたのはそういう理由があったのだろうか。


「だから、ブレンダ」

「いやです」


 ジルバルトが困ったように笑う。

「まだ、全部言ってないよ」

「でも、いやです」


 なんとなく、ジルバルトは別れを告げようとしている気がした。もう、自分には関わるなと。


「記憶については、問題ありません。私が乗り越えるべきことですから」


 いつまでも過去に囚われている。

 いつかは、それもやめなくちゃいけないと思っていた。


「だから、遠ざけようとしないでください」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔眼……本当にあったのですね…。ブレンダをとられたショックから、アレクシス殿下がとうとう妄言を言い出したのかと思っていました! 「相性が良すぎるみたい」「特別相性がいい人」ジルバルト、ブレ…
感想一覧
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