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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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魔眼

「魔眼?」

 魔眼。自分の思う通りに人を動かせる力を持つという、特別な瞳のことだ。

 けれど、それはもうずっとずっと過去のこと。現在は、そんな瞳を持つ人はいない──いない、はずだ。


「ああ、魔眼だ」

 アレクシス殿下は頷く。

 ミランはクライヴが送っていったので、生徒会室に残っているのは、私とアレクシス殿下だけだった。


「ジルバルト・ローリエに違和感を覚えたことは?」

 私が、ジルバルトに違和感を?

 そんなこと一度もなかった。


 首を横に振るとアレクシス殿下は、眉を寄せた。


「それも魔眼の力か……」


 つまり。アレクシス殿下は、こう言いたいのだろうか。ジルバルトが魔眼の持ち主であり、私がそれに惑わされていると。


「私はジルバルト様に何かされたことは、一度もありませんよ」

 ジルバルトに初めて会ったときも、ジルバルトは私を無理やり言うことを聞かせることはなかった。……少し、感じが悪かったけれど。


 けれど、アレクシス殿下は納得していない様子だった。

「それが惑わされているんだ」

「ジルバルト様は、私の大切な先輩です」


 ジルバルトの瞳が魔眼であろうと、どうであろうと。それだけは、変わらない事実だった。


「……っ、そうか、ブレンダにとって、ジルバルト・ローリエは、『先輩』なんだな?」

「そうですが……?」


 それが何なのか。

 けれど、アレクシス殿下は、なぜか、満足したようだった。

「わかった。だが、くれぐれも気を付けてくれ」


◇ ◇ ◇


 まだ、寮の門限まで時間があったので、図書室に向かう。中間テストに向けて勉強しなければならないし、今朝借りた本も読んでみたい。


 図書室は、流石に遅いからかあまり人はいなかった。でも、ジルバルトは勉強していた。きっと、この熱心な姿勢が学年二位をとる秘訣なのだろう。


 そんなことを思いながら、問題をいくつか解き、飽きたら本を読んだ。


 ……なるほど。

 断る時は、そうすればいいのね。


 興味深く読んでいると、図書室の閉館の時間がきてしまった。


 慌てて片付けをして帰ろうとしたら、ジルバルトに声をかけられた。


「暗いから、送るよ。それに、雨も降りそうだし」


 ジルバルトと他愛もない話をしながら、帰る。

 その途中で雨が、降ってきた。


 慌てて傘をさそうとして、記憶が混乱する。


 真っ黒な世界で白百合が際立っている。

 そして、泣き叫ぶ声。

「……ダ」

 赤い血、そして──、幸せそうな……。

「ブレンダ、『ボクを見て』」

「え?」


 ルビーのような赤い瞳と目が合う。

「大丈夫だよ、『ゆっくりと、深呼吸をするんだ』」

 言われるがままに、深呼吸する。だんだんと、落ち着いてきた。ええと、そうだ、ここは学園の帰り道。


「ありがとう、ございます。ジルバルト様……?」


 ジルバルトのお陰で、混乱せずにすんだ。けれど、ジルバルトは悲しそうな顔をしていた。どうして。

「ごめん、ブレンダ」

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― 新着の感想 ―
[一言] アレクシス殿下の傍迷惑な正義感が今後ジルバルト様を邪魔しないように祈っています。 ジルバルト様とブレンダには幸せになってほしいです………2人がくっつくとかそれ以前に、2人とも抱えてるものがあ…
[一言] ブレンダがジルバルトのことを『先輩』としか見ていなかったからといって、バカ殿下に芽があるとは思わないで欲しいですね。
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