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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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スマートな

 ミランとお話しした翌朝。

 小鳥の囀りで目を覚ます。

「んー……ふわぁぁ」

 大きく伸びをして起き上がりカーテンを開けると、柔らかな日差しが射し込んだ。


 ダンスパーティが終わると今度は中間テストに向けて忙しくなる。

 私は特待生なので、好成績を維持しなければならない。

 だから、頑張らないと。


 そんなことを考えながら、制服をブラッシングしてから、身を通す。

 鏡でおかしいところがないか確認していると、髪が気になった。

 肩より少しだけ伸びた水色の髪は跳ねやすいのでそろそろまた、切るべきだろう。


 本当は、これくらいの長さになったら楽にくくれるのだけれど、なぜだか、クリップをつけてしまう。

 手軽なのもあり、思った以上にクリップを気に入っているようだった。


「よし!」


 今日からまた、頑張ろう。



◇ ◇ ◇



 いつもより早い時間に出たにも関わらず、図書室は普段より人が多かった。

 みんな、中間テストに向けて勉強をしているのだろう。

 私も負けていられない。

 幸いにして、いつもの席は空いていたので、座る。


 隣のジルバルトに小声で挨拶をする。

 ジルバルトも挨拶を返してくれた。


 図書室は静かで、とても勉強が捗った。


 ……そういえば。勉強を終えて片付けをしていると、ふと、本棚に目が留まった。

 この学園の図書室の蔵書はとても多い。

 けれど、私が本を読む目的で利用したことはなかった。

 いつも今度借りてみよう、でそのままだ。


 今日こそ、何か借りてみようか。


 鞄をもって、本棚の前を歩いていると、興味深い本のタイトルが目に入った。

『メリグリシャの口説き方』


 メリグリシャ語といえば、隣国の古代語だ。そして、ジルバルトの選択している第二外国語でもある。


 以前、メリグリシャ語でジルバルトをからかったら、反対に口説いている風に聞こえるとからかわれてしまったのよね。


 そう思い、手に取ると──。

「誰か口説きたい相手でもいるの?」

「!?」


 突然耳元で囁かれ、思わずびくりと体を揺らしてしまう。


「もう、驚かせないでください」


 後ろに振り向くと、思った通りジルバルトだった。


 ジルバルトはごめんごめん、と全く心がこもっていない謝り方をすると、その隣の本を抜き出した。

「ブレンダはさ、どっちかと言うと、こっちの方が必要じゃない?」


 隣の本のタイトルは、スマートな断り方、だった。


 ……確かに。

 自意識過剰ではあるけれど。アレクシス殿下が気にかけて下さるのは嬉しい。でも、アレクシス殿下は友愛だけを抱いているとは考えにくい。

 元婚約者である私に必要以上に拘るのは、独占欲めいたものがあるのではないかと、考えている。


 でも、その感情は、私にとってもアレクシス殿下にとってもよろしくないものだ。

 だって、私はもうただのブレンダなのだから。


「借りてみます」


 頷くと、ジルバルトは満足そうに微笑んだ。




◇ ◇ ◇



 教室に向かっていると、周りの視線が気になった。

 ちくちく、というよりはざくざくと視線が突き刺さる感じがする。


 ……それもそうか。


 平民の私が、アレクシス殿下が踊った二人のうち一人なのだ。


 いったいどういうつもりだと、詰め寄られても仕方がない。

 でも、視線が気になるだけで、誰にも問い詰められることはなく、教室にたどり着くことができ──。


「ブレンダ」

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― 新着の感想 ―
[一言] >でも、視線が気になるだけで、誰にも問い詰められることはなく、教室にたどり着くことができ──。 なかった……。 何の用だ! バカ殿下!! ミランやジルバルトじゃないと勝手に決めつけてます。…
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