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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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33/150

提案

 ぎぎ、と音がしそうなほどゆっくりと、振り向く。どうか、私の予想が外れていますように、と祈りながら。


 けれどやはり私の予想通り、そこにいたのは、アレクシス殿下だった。

「アレクシス殿下」

 私は溜め息をつきたいのをぐっと、押さえてアレクシス殿下に向き直る。


 翡翠のその瞳からは感情が窺えない。


「ブレンダ……。その、体調は良くなっただろうか?」

 そういえば。

 アレクシス殿下も、ミランと踊ったあと医務室に行かれたのだった。


 アレクシス殿下の前から消えるのに、体調不良を使ってしまったから、これはもしかすると、嫌味なのだろうか……と思ってしまうのは、私が穿った見方をしすぎなのだろうか。


「はい。あの後、すぐに良くなりました。アレクシス殿下にはご心配をおかけしました」

「いや……、良くなったのなら構わない」


 用件はそれで終わりだろうか。


 あまり人目のあるところでの会話は、私にとってもアレクシス殿下にとっても、よろしくない。


「それから……」


 アレクシス殿下が口を開いたところで、予鈴のチャイムが鳴った。

「申し訳ありません、アレクシス殿下。ホームルームが始まってしまうので、また、放課後に生徒会室でお願いいたします」


 そういって失礼だとは思いつつも、礼をして教室に入った。



◇ ◇ ◇


 お昼休みになった。教室内でも、相変わらずみんなの物言いたげな視線が気になったけれど、特に追求されることはなかった。


 それが果たして良かったのか悪かったのかわからないけれど。


 その視線から逃れるように、購買部でパンを買って屋上へ行く。


 屋上に行くと、ようやくまともに息が吸える気がした。


「……はぁ」

「ブレンダ、浮かない顔だね」


 聞き覚えのある声に振り向くと、ルドフィルだった。ルドフィルは、やぁ、とひらひらと手を振った。


「……もしかして、ダンスパーティの件、かな」

「噂になってますよね、やっぱり」


 頷くと、ルドフィルはまぁね、と苦笑した。


「ごめん。僕が助けてあげられれば良かったんだけど、ローリエ殿の方が早かったから」

「いえ、ありがとうございます」


 一曲踊るのは約束だった。だから、それは仕方のないことだ。


 問題は、アレクシス殿下が二曲しか踊っておらず、そのうちの一曲が私だということ。

「ブレンダはさ」

「はい」

「アレクシス殿下のこと、どう思ってる? 好意があるのか、それとも──迷惑、なのか」

「……それ、は」


 友人としてなら、友愛を抱いている。

 臣下としてなら、敬愛も。


 でも、元婚約者とするならば。

「……困ります。私は、ただのブレンダですから」


 アレクシス殿下が、私に抱いて下さっているのが何にせよ、平民には身の余るものだった。


「……そうだよね。ねぇ、ブレンダ」

「はい」

「僕と、婚約しない?」


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― 新着の感想 ―
[良い点] なろうの異世界恋愛と言うと、内乱だったり 戦争だったり、他国の介入などがあったりするのですが 本当に恋愛だけがテーマで、なおかつ 当て馬というか、キモいストーカー役が 一番身分の高い王子で…
[良い点] 現実的な提案かどうかは別として、スパッと言うルドフィルが格好いいです!! とっても楽しい展開♪ 続きを楽しみにしています(*´ー`*)
[一言] >「僕と、婚約しない?」 今のブレンダなら『お断りします』一択だろうなぁと。 いくら従兄弟で王子よりは身分が下とはいえ高位貴族出身である以上、平民のブレンダとは身分が違い過ぎますしね~。 ル…
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