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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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可愛い後輩

 図書室の係員の人に、そろそろ閉館の時間だと告げられる。勉強を終えて帰ろうとすると、ジルバルトに引き止められた。

「暗いし女子寮まで送るよ」


 確かに外を見ると、真っ暗だった。

 せっかくなので、好意に甘えることにする。

「ありがとうございます」


 ジルバルトと、帰り道を歩く。

「……ブレンダ」

「はい」

「ありがとう」


 何のことだろう? 私が首をかしげると、ジルバルトは言った。

「クライヴのことだよ。色々、相談にのってくれたんでしょ」


 ……そういえば、あれから何度かクライヴとミランについて話をしたのだった。

「クライヴはずっとカトラール嬢が好きだったから、だから、ほっとしてる」


 そうなんだ。今後クライヴはミランの気持ちだけじゃなくて、カトラール侯爵家の気持ちも変えなければならないけれど。あれほどの想いがあれば、きっと大丈夫だろう。


 そう思いながら、ふと、空を見上げると、一際綺麗に光る赤い星が見えた。

「ジルバルト様みたいですね」


 ジルバルトの瞳にそっくりなその星を指差してそういうと、ジルバルトはへぇ、と言った。

「雪解け姫は、ボクを口説いてるの?」

「! ち、ちが──」

 前もこんなやり取りがあった。そう思いながら、ぶんぶんと首をふると、ふはっとジルバルトは笑った。


「そんなに慌てて否定しなくてもいいじゃない。ちょっとからかっただけだよ。でも……」


 でも? 何だろう。

「ありがと。ボクの瞳、気持ち悪いとは思わないんだね」


 気持ち、悪い?

「とても綺麗なのに?」

「……だから、そういうことを軽率に言わないの。勘違いするでしょ」


 でも、事実だ。私がそういうと、ジルバルトは、複雑な顔をした。

「最近わかってきたけど、ブレンダって、ほんと、そういうところあるよね」

「そういうところ?」

「わからなくていいよ。ボクの後輩が可愛いなってだけの話だから」


 そういって、ジルバルトは私の髪をわしゃわしゃと撫でた。


「……髪型がくずれ──」

 抗議をしようとして、やめる。ジルバルトはとても優しい顔をしていた。

 しばらくされるがままになっていると、ジルバルトは、ブレンダって犬みたいだよね、と笑った。

「犬!?」


 動物に例えられたのは初めてだ。

「うん、犬」

 私も犬は好きだけれど。それは、誉められているのか、貶されているのか。複雑な気分になりながら、私は自室に帰ったのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ジルバルトが好きです……!! かっこよくて優しくて気が利いて、意外とピュアそうな感じが推せます。頑張ってほしい、、、!
[一言] クライヴが首席取るのはそれだけ第二王子よりも 魅力的な結婚相手とカトラール侯爵家に認められたい からと推測するとして ジルバルトが勉強を頑張るのは、男爵家跡取りなど よりもより魅力的な就職先…
[良い点] 甘くて穏やか。 もう私の中ではジルバルト様一択です。
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