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【書籍2巻2/10】感情を殺すのをやめた元公爵令嬢は、みんなに溺愛されています!【コミカライズ】  作者: 夕立悠理
一章

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休日

 生徒総会に向けた会議を終え、片付けをしていると、ルドフィルに話しかけられた。

「ブレンダ、明日空いてる?」

「ええ、空いていますよ」

 明日は休日だ。下町を散策しようかと思っていた以外、特に予定はなかったので頷く。

「だったら、僕と悪いことしない?」

 ルドフィルの言葉に笑顔で頷く。

 ルドフィルの悪いことは、楽しいことに違いなかった。


 そういえば。ふと、ルドフィルを見つめる。

「どうしたの、ブレンダ?」

 私やジルバルトにもあったように、ルドフィルにも二つ名があるのだろうか。

 ルドフィルの特徴といえば、やはり。

 アイスグレーの瞳と、柔らかな茶髪だ。

「氷……の貴公子? 違うわ。薄墨の──」

「ぶ、ブレンダ?」


 ルドフィルが戸惑ったような顔で、でも、一瞬薄墨という言葉に顔を赤くした。

「ルドフィル様は、薄墨の……なんと呼ばれてるんですか?」

「な、なんでブレンダがその話を……!」


 やっぱり、ルドフィルにも二つ名があるらしい。

 私は、にやにやしながら、追求しようとしたけれどルドフィルは、私にクッキーの包みを取り出した。


 ……仕方ない。これ以上の追求は諦めよう。


 クッキーの包みをもらい、半分にわってルドフィルと私で食べる。

「これ以上は、聞いちゃ駄目だよ」

「……ええ。取引しましたからね」

 ルドフィルは、追求されたくないことがあるときは、お手製のクッキーを半分くれる。その半分を一緒に食べたら、取引は完了で、ルドフィルにそれ以上追求しない……というルールがあった。ルドフィルがそれをするときは、大抵私にとって面白そうな話のときが多いのだけれど。

「それにしても、今日のクッキーもとても美味しかったです」

「ほんとう? ブレンダは、いつも誉めてくれるからつくりがいがあるなぁ」


 ルドフィルのクッキーはお世辞抜きで美味しい。貴族が料理をすることをはしたないと言う人もいるけれど、私はとっても素敵な趣味だと思う。しばらく話に花を咲かせた後、別れた。


◇ ◇ ◇


 翌朝。

 鏡の前でおかしいところがないか、確認する。

 ルドフィルから楽な格好できてほしい、と言われたのでワンピースにした。

「……変じゃないわ」


 そういえば。

 自室をでる前に、ふと思い出して、アクセサリー入れからイヤリングを取り出し、耳に飾る。

「……うん、このワンピースに似合ってる」


 ルドフィルも覚えているだろうか。

 覚えているといいな。


 そう思いながら、自室を後にした。


◇ ◇ ◇


「お待たせしました」

 ルドフィルはすでに、女子寮の門の前で待っていた。

 楽な格好でという指定通り、ルドフィルも平民のような服を着ている。

「ううん、ぜんぜん待ってないよ。! 懐かしいものつけてるね」


 ルドフィルがイヤリングをみて、目を細める。

 このイヤリングは、幼い頃──まだ、私が自由に笑えていた頃に、露店でルドフィルが私にプレゼントしてくれたものだった。あの頃の私には大きすぎて、つけられなかったけれど。


 こうしてつけると時の流れを感じる。

「まだ持っていてくれて、嬉しいよ。似合ってる」

 そういってルドフィルが片腕を差し出した。

「ありがとうございます」

 微笑んで、エスコートを受ける。

 さて、ルドフィルとの楽しい休日の始まりだ。

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