書架
どこまでいったかな
そのためにつけた折れ目が
見当たらないんじゃ
印付けした意味はなくなるのに
それでも不思議と
迷子になった地図でも
まだ進める気がする
涙でにじんだラインを
笑顔で描き直せばいい
不確かな約束さえ
心は割と覚えてる
痛いと感じて指先を見れば
そこには一筋のひび割れ
こんなになるまで
捲っていたんだ
やっと気付いた
ページはまだ残っていて
破れかけた紙片の隙間から
進む線はとても綺麗
押し挿まれた想い
どくんと拍をのみこむ
誰かの足音が近づいてくる
起こされないよう
背表紙を隠して
静かに見送る




