↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Mother's Diary  作者: A. Mother
PR
1/2

Week 1

今日、息子が家を出て行った。二度と帰らないという決意を感じさせながら…。

私は何も言うことができず、背中を向けたままドアの閉まる音を聞いた。

何故止めなかったのか?

私に止めることができるとは思えなかったから。もう母親としての影響力は何も残っていないから。

息子が、自分の行動には自分で責任を持つべき年齢に達しているから。にもかかわらず、いつまでも子供染みた自論を掲げるから。自ら傷ついて、自分の愚かさに気付く以外に、息子を救える方法はないと思うから。

今の私に何ができるだろう?

何もできない。何をしても効果がない。何をしても裏目に出る。何をしても息子の心情を逆撫でし、より気持ちを荒ませることになる。

情けない母親だ。

息子以上に道を誤ってきているのは私なのだろう。

私は、自分の愚かさに気付いているのか?

多分、気付いている。否、十分には気付いていないのだろう。だから何度も同じ失敗を繰り返したのだろう。その結果、息子が家を出て行ったのだろう。

あるいは、気付いていても、修正の仕方が見つけられなかった。だから、息子が家を出て行ったのだろう。

愚かさに気付くだけでは、人は救われないのか?

息子も、私も、自分の愚かさに気付きながら正しい道を選べない人間。迷い続ける人生を死ぬまで歩み続けるのではないだろうか?

ならば、人生が短いものであることを望む。この長寿の国で…。


私の世界の中心は、いつも息子だった。今も、これからも、私の胸の中には息子の顔・声・しぐさ・肌の暖かさしか浮かんでこないだろう。

頭のイカレタ母親だ。

イカレタついでに、私は自分だけの世界を作ろう。

そこには、私の話を素直に聞いてくれる息子がいることにしよう。

いろいろな話をしよう。大好きな息子と…。


【某月某日‐君が家を出て行った日】

今日は、私の人生の中で最も辛い日になるのかもしれない。

今まで、私は君を随分苦しめてきたんだね。私の君に対する期待が、君の重荷になってるんだね。

私は、ようやくその事に気が付いたよ。もっと、早く気付いて、君の気持ちを軽くしてあげれたら良かったのにね。ごめんね、出来の悪い母親で…。

私だって、人の期待に答えれるような人間じゃないのにね。なのに、君にいくつもの理想を押し付けていたよね。優しくあれ、強くあれ、賢くあれ…。言うのは簡単だけど、実行するのは難しいよね。

そして、君は失敗は許されないと思い込んでいたみたいだね。君の失敗を見る度に、私が小言を言ったからかな?

君の素直さに、時々唖然とするよ。私の小言を、全て真に受けたりはしないよね。


失敗は、何度でもすれば良いんだよ。失敗した事がない人なんて、この世の中に一人もいないはずだよ。

私の小言の本意は、失敗しても良い、失敗したら反省して、同じ失敗を繰り返さない努力をすれば良い。それでも、また失敗したなら、それは、それで良い。また反省して、また努力して欲しい。何度でも、反省して、努力して欲しい。という意味だったんだよ。


でも、今まで「失敗しても良いよ」なんて伝えたことなかったね。「失敗はダメよ」って、言ったことはあったかもしれないね。そして、君はその言葉を100%受け止めたんだよね。

ごめん、言葉不足だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。