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巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
幕間 小休止
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閑話 ごはんとゴブリンと巨大な足 (挿絵あり)

昼下がりの草原。

風にそよぐ草の匂いと、鳥の鳴き声が心地よく響いていた。


リアーネは一本の木陰に腰を下ろし、空間収納に指を差し入れる。


「今日は……オーガの肩肉にしようかしら」


ごそっ、と巨人サイズの乾燥肉を引きずり出す。

人の背丈ほどある肉塊を片手で持ち上げ、そのまま歯で豪快に裂く。


バキッ、バキバキ……バリリッ!


遠くで焚き火を囲んでいたカイたちは、その音にほんの少しだけ眉をひそめた。


「……あの音、なんかもう“料理”じゃなくて“破砕”だよな」

ゾルドがパンをひっくり返しながら呟く。


「でも静かに食べてるよ? 音はすごいけど」フェイが笑った。


「リアーネさん、丸呑みじゃないのがすごい」

マリナが感心すると、リュカが低く付け加える。


「噛み砕くたびに木が割れるみたいな音がしてる。……たぶん、骨ごと食ってる」


カイは苦笑しながら、スープをかき混ぜた。


「まぁ、あの体格なら、あのくらいは食べないと」


すると、リアーネがちらりと彼らの方を見て、口元だけ笑った。


「別に恥ずかしくなんかないわよ。私は、私の必要な分を食べてるだけ」


骨を残さず、肉を裂き、最後に喉を鳴らして飲み込む。

その所作には、どこか優雅さすらあった。


「……この間なんて、足りなくて石を齧ったくらいだしね」


カイたちは焚き火越しに顔を見合わせ、全員が何も言えずに首をすくめた。



食後、リアーネは立ち上がった。


草原が波打ち、風が巻き上がる。

巨大な影が木々にかかるたび、小動物たちが驚いて逃げていく。


「ちょっと偵察してくる。あの丘の向こう、動きがあった気がするわ」


彼女は足元の土を確かめるように踏みしめ、静かに歩き出した。


ズゥンーズゥンー。



数分後、リアーネは森と岩が交差する一帯に立っていた。


足元、わずかな空き地に、粗末な木造の小屋が数棟。

焚き火跡、骨や毛皮の残骸。――間違いなく、ゴブリンの集落だった。


「……十体前後ってところね。索敵も配置も甘い。気づいていない」


リアーネは両足をゆっくり開き、集落を跨ぐように立った。

ズシィン、ズシィン。

挿絵(By みてみん)


巨大な影が、丸ごと覆いかぶさる。


ゴブリンたちがようやく気づいたその瞬間、群れは悲鳴と混乱に包まれた。

逃げ出す者、焚き火に飛び込む者、建物にしがみつく者。

だが、彼らにとってその混乱の猶予は――わずか数秒。


ドンッ。


リアーネの片足が、1棟の小屋を粉砕した。


ブーツの裏にあったはずの住居が、押し潰された乾いた音と共に潰れ、ぺしゃりと土に沈む。


逃げ惑うゴブリンたちの頭上に、さらに大きな影。


ドゥウウウンッ……!!!


二歩目。三歩目。

どの一歩も、まるで地震のような衝撃と、破砕音を残していく。


「……人を襲う以上、仕方ないわよね」


リアーネはわずかに目を細め、最後の一歩を――最も騒がしい建物の上へと、真上から降ろした。


その瞬間、木々が揺れ、岩場が震え、残ったゴブリンたちは身動きすら取れなくなった。


もはや、逃げ場などない。


静寂の中、リアーネは踵を返す。


ズゥンーズゥンー。


振り返った視線の先には、もはや集落は存在しなかった。

跡地には、くっきりと巨大なブーツの踏み跡だけが残っていた。


「……これでひとつ、脅威が減ったわね」


夕陽が差す。

背後に伸びるリアーネの影は、かつてそこにあった命を、容赦なく塗り潰していた。

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