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面会を終えた三人は長に先導されて、通路を歩いていた。塔の二階から続く渡り廊下の先に建物があり、客人用の宿泊室があるという。
月明かりの差す長い廊下には屋根はあるが壁はなく、冷たい夜風が吹き抜ける。青白い光の下で、長は顔色が悪く、頬もげっそりとして見えた。
スペアは隣のハイネをちらりと見た。眠たげな赤ん坊を抱いた彼女は、先程からどうも浮かない顔をしているのだ。
ふと、廊下のさらに下から言い争う声が聞こえ、三人は足を止めた。
少し身を乗り出すと、神官が何人か見える。どの者も隈が濃い。
「やっぱり…この国の仕組みは間違っている」
「おい!」
「だってそうじゃないか! 我々の命は陛下一人のお力にかかっているんだ、あんな子供一人に何もかも押し付けて」
「ならどうしろっていうんだよ!」
「これだけ研究しても改善の手がかり一つつかめないだろうが!」
「お前は自分の身に被害が出るのが怖いだけのくせに」
「何だと!」
「よせ!今日言い伝えの通りの救世主様がお見えになったんだぞ。きっとこの状況もよくなる」
「はっ、どうだかな。一人は黒装束でまるでグリム・リーパーのようだというじゃないか」
「口が過ぎるぞ!」
「うるさい!」
言い合いは加速し、声は次第に大きくなっていく。聞いていた三人は眉をひそめた。
「子供だって?」
「スペアは気づいてなかった? グゼさんは割と幼い子供だよ」
「&%*」
「そうか。グリム・リーパーとは何だろう」
「死神だよ! わたしのことだよなぁ…もー、本人がいないと思って好き勝手言ってくれちゃって」
気配を感じ振り返ると、長が立っている。三人がついてきていないのに気付いて戻ってきたのだ。
「…あの者たちは後できつく叱っておきましょう」
「ああ、いえ、いいんです」
「……ご覧になった通り、内心追い詰められている者は多いのです。生まれながらにして呪われている、我々の中には」




