明日に架ける橋
ユーネットワークの最強の殺し屋を僕達は倒すことに成功した。
しかし、周りにはユーネットワークの人間に取り囲まれてしまい万事休すだ。
そんな時に現れたのが品の良さそうな老人であった。
「そこまでだ!」
と老人は言う。
するとユーネットワークの人間達は僕達に向けた銃を下ろした。
「誰なんだあなたは?」
僕が言うと老人は言う。
「わしはユーネットワークの長だ」
「あんたは僕達を殺そうとしているのか?」
「わしは子供相手にそんな事はしないよ」
「じゃあ、僕のお母さんを助けてくれよ」
「君のお母さんとは誰なんだ」
「そこにいる小学生の様な女の子だよ」
「こんな小学生が君のお母さんかね」
「そうだよ。あなた達のユーネットワークに殺されかけたんだよ」
すると長は僕のお母さんを解放してくれた。
「これでいいんじゃな!?」
「そうだ。お母さんを返してくれればそれで良い」
「わしはお前達の戦いを見せてくれたが、なかなか面白かったぞ」
「だったら止めに入ってくださいよ」
「そうじゃな、わしの許可もなく、こんな幼気な少年少女に手を出したんだ。ユーネットワーク1の殺し屋をここまで追い詰めるとは感服したよ」
この人なら話は分かると思っている。
だが、ユーネットワーク1の殺し屋は、
「そいつは俺の獲物だ。たとえユーネットワークの長でもそれは許してはいけない事だ!」
「黙れ!!?坂下」
ユーネットワークの殺し屋の名前は坂下と言う奴みたいだ。
すると恐れをなしたのか坂下は僕が拳銃で撃ったので致命傷までは行かないが、もう動けない状況にある。
「坂下!お前が取った今回の行動は全部豊川に聞いた」
「豊川って豊川先生の事!?」
豊川先生は現れて、
「ああ、申し訳ない、僕とユーネットワークの人間とは仲が良いんだ」
すると小百合さんは、
「じゃあ、どうして私のお母さんを助ける事が出来なかったんですか」
する長は、
「それはすまぬ、今回は坂下が勝手に起こした事だ。心から謝罪をする」
すると小百合さんはその場で泣き崩れてしまった。
それもそうだよな自分のお母さんが殺されてしまったのだから。
今回のユーネットワークの問題は駒木根が最初僕達に危害を加えて来て、そして駒木根のやっている事に対して坂下は面白そうだと思って駒木根を殺して、小百合さんの母親を殺して、小百合さんの怒りを買い楽しんでいたのが坂下と言うわけだ。
どうしたって、小百合さんのお母さんは絶対に帰ってこない。
ユーネットワークの連中は僕達に謝罪をして、倉庫から出て行った。
そうしてユーネットワークの長は僕にナイフを渡した。
「受け取れ勇者よ」
これですべてが終わった。僕達はもうユーネットワークに狙われなくなった。
もう僕達の仲間達に危害を加えるような事はないだろう。
その後の事、小百合さんは、僕のお母さんが引き取ることになり、施設に行かなくて済んだ。
でも小百合さんはお母さんを殺されてしまった悲しみを払拭する事が出来なかった。
けれども、小百合さんのお母さんに対する気持ちも僕達、施設の剛君達とか、英明にいる仲間達が僕達を支えてくれた。
その事によって小百合さんは一人じゃないことを証明することが出来て、小百合さんもお母さんに対する悲しい気持ちも薄れて行った。
どんな事をしても小百合さんのお母さんは帰ってこないが、それでも僕達がいることで、小百合さんは楽しそうな毎日を送っている。
これでいいんだ。
そしていつもの毎日に戻った。
僕と小百合さんは少林寺拳法を習い、主将の技を盗んではいる。
お母さんは子供の体型のままだが、どうしてお母さんが子供になってしまったのか僕達には分からなかった。
いったいお母さんの中で何が起こったのか今の僕達には分からなかった。
でも僕のお母さんが子供になってくれて様々な事を学ぶことが出来た。
僕と小百合さんは学校に行くようになり、そこで懸命に勉強もスポーツも遊びもしたりもした。
僕達に学校でも仲間達が増える事になった。
これでもうユーネットワークに狙われる事はなくなった。
相変わらずお母さんは子供の体型のままだ。
どうしてお母さんは子供の体型に戻ってしまったのか分からないが、そんなお母さんに学ぶことがたくさんある。
僕達は文武両道であり、学校では人気者になってしまった。
駒木根は死んで、皮肉な事にその事によって僕達は学校で居場所が出来た。
学校は本当に楽しいところだと改めて分かった。
平和な毎日を送ることになり、僕達は本当に良かったと思えた。
駒木根の奴もかわいそうな奴だと僕と小百合さんも思っていた。
復讐は復讐しか生まない。
★
そして一年が経過して、僕達は五年生になった。
それでもお母さんは子供体型のままだが、僕達と一緒で成長している。
どうしてお母さんは子供体系になってしまったのかは不明だが、それでも翻訳家の仕事で僕と小百合さんを養ってくれている。
僕と小百合さんは相変わらずに仲が良かった。たまに喧嘩する時もあるけれど、またすぐに仲直りをしては、また喧嘩をするような感じだった。
そして相変わらず剛君達はお母さんにバスケを教わっている。
お母さんの話によると、剛君はワンオンワンでお母さんを抜いたみたいだ。
それでお母さんは言っていた。もう剛君達にバスケを教える事はないと。
剛君はBリーグの夢を追いながら、バスケに勤しんでいる。
余談だが、剛君が中学生になったら、バスケのレギュラーに抜擢されたみたいだ。
時は僕達を大人へと変化させる。
そして始まりの予感がして僕達はワクワクしている。
僕と小百合さんの夢は小説家になることだと思っている。
僕と小百合さんが小説家を募集している所に僕達の小説を送ったら、不採用になってしまった。
それにはショックだが、僕達はそれで燃えるような気持ちになったのだ。
悔しさをバネにして僕達は小説も書くし勉強もする。
僕と小百合さんはいつも一緒だ。
小百合さんは言っていた。僕の子供が欲しいと。でもそれは遠い先の話になってしまう。
早く大人にならないかな?と思っているとお母さんは言っていた。
大人になる事に焦ってはいけないと。
それで英明塾の話だが、徳川さんは東大に挑戦する前に帰らぬ人となってしまった。
僕と小百合さんは本当に悲しい思いをした。
あんなに頑張っていたのにな。
告別式の時はたくさん人が徳川さんの死を悼む人がたくさんいた。
東大か?本当に難しいところ何だろうな。
徳川さんも凄く無念な感じになってしまっただろう。
それでも僕達は前に進まなければいけない。
お母さんは言っていたがもしこの先、夢も希望も無くしたら、誰かの為に生きられる自分になって欲しいと言っていた。
足の不自由な人の足になってあげたり、目の不自由な人の目になってあげたりと。
僕達は行くしかないと思っている。
この何も見えない未来だけれども、それでも僕と小百合さんは輝かしい未来が待っていると。
十年後の自分達はどうなっているのかほんとうに楽しみだ。
もう僕達を脅かすユーネットワークの様な者はいない。
あの時は本当に怖かったし、小百合さんのお母さんが殺されて悲しい目にもあったりした。
でも僕達は負けるわけにはいかないんだ。
悲しい事も悔しい時もあるが、それも過ぎてしまえば、輝かしい夢にも思える。
さあ、未来に向かって走り出すときが来たのだ。
僕達はそれぞれ道は違うけれど、それでも共に歩もう。
この物語はこれで終わりです。
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