唯一の手掛かり
せっかく僕達はユーネットワークから逃げ出すことに成功したが今度はお母さんがユーネットワークに捕まってしまった。
きっとお母さんは僕達を助けるためにユーネットワークに挑み捕まってしまったのだと思っている。
一難去ってまた一難に遭遇してしまった。
「豊川先生、お母さんを助け出す事は出来るのでしょうか」
「亜希子ちゃんは君達を助けるためにユーネットワークに行く途中で捕まってしまった」
「でもお母さんはただ者じゃ無い。お母さんだったら、ユーネットワークから逃げ出す事を知っているかもしれない」
でも僕は邪推してしまう。もしかしたら小百合さんのお母さんのように僕のお母さんも殺されてしまうのじゃ無いかと。
ユーネットワークと言う者達はそう言う事を平気でするような奴らだ。
もし、僕のお母さんがユーネットワークに殺されてしまったら、僕は立ち直れない。
とにかく僕は一人でユーネットワークの本拠地に向かう事を考えた。
「僕はお母さんを助けに行くよ」
「ちょっと待ってよ純君、真正面からユーネットワークに立ち向かうのは無謀にも程があるよ」
「じゃあ、どうすれば良いんだよ。もし僕のお母さんが殺されてしまったら、僕は・・・」
お母さんが死んでしまうことを考えると言葉に出来ず涙がこぼれ落ちてきた。
「私のお母さんが殺されてやけになって、私達がユーネットワークに挑もうとしたら捕まってしまったじゃ無い」
そんな時だった。僕のスマホに連絡が入った。着信は無着信で僕はこの電話の主がユーネットワークだと言うことが分かった。
「もしもし」
『君は高橋純君だね』
「そうだけど、あんたはユーネットワークの人間だろう」
『いかにも、それよりも僕達の組織から逃げ出すことが出来るなんて、君達はなかなかの者だね』
「お母さんは?亜希子お母さんは無事なんだろうね」
『無事だよ。君達は本当に面白い人達だよ。僕達ユーネットワークに挑んで来るなんて』
「とにかく、お母さんが無事だと言うことを証明しろ。それにお母さんを返せ!」
『フッフッフッ!』
「何がおかしい!」
『君達は本当に面白い人間だよ』
「何が面白い人間だ。お前等は悪魔だ!」
『心外だな、僕達は神に等しい人間だと思わないか?』
「何が神だ。お前等のやっていることは悪魔の様な所業だ!もし僕のお母さんに傷一つ付けて見ろお前等を皆殺しにしてやる!」
『フッハッハッハッ』
笑い出す、ユーネットワークの人間。
「こんな事をして何がおかしいんだ。何が神だ。お前等ふざけるのもいい加減にしろ」
『とにかく私達はつまらない人間は殺すけれど、君達みたいな人間を簡単に殺すのは惜しいと思っている。それに高橋亜希子さんも僕は興味を注がれる。言えば、高橋亜希子ちゃんは三十を過ぎた年齢なのに子供の体型に戻ってしまった見たいじゃ無いか』
「それがどうした。お母さんは子供体型に戻ってしまったけれども、もしお母さんに何かして見ろ。その時はお前達を皆殺しにしてやる!」
『面白い。本当に面白い人間だよ君達は』
「それよりもお母さんはどこにいる」
『それは感覚を研ぎ澄まして考える事だな』
そう言ってユーネットワークからの連絡が途絶えた。
「純君?」
と心配そうに僕の事を気遣う小百合さん。
「とにかく、これ以上犠牲が出ないために、僕達は動かなければいけない」
そこで豊川先生は、
「純君、ユーネットワークに真正面から立ち向かったって分かっているけれども、無謀だよ」
「そんな事は分かっています。とにかく僕はお母さんを助けに行かなければならない」
「純君、僕もユーネットワークに顔が利くから、僕も協力するよ」
「ありがとうございます」
そうだ。ユーネットワークに真正面から立ち向かっても以前と同じように二の前になってしまう。
そこでどうだろう。ユーネットワークを操っていた駒木根の父親に聞いて見ることは出来ないだろうか?何かお母さんを助ける手がかりが見つかるかもしれない。
「小百合さん、駒木根はユーネットワークに殺されてしまったが、その父親に何か、ユーネットワークの『つて』があるかもしれない、だから駒木根の父親に会いに行こう」
「分かったわ、純君。もし純君の亜希子お母さんが殺されたら、純君も私みたいな目にあってしまうからね。私は亜希子お母さんに死んで欲しくは無い」
そう言う事で僕達はユーネットワークを操って楽しんでいた駒木根。駒木根はもうユーネットワークに殺されてしまったが、その父親に何かつてはあるのかもしれないと思って、僕と小百合さんは自転車で二人乗りをして、駒木根の父親に会いに行くことにした。
駒木根の家に到着して、さすがは市議会員の家なのか凄い豪邸だった。
それはともかく僕と小百合さんは自転車から降りて、僕は駒木根の家の呼び鈴を押すことにした。
しばらくしてインターホンに出て来たのは、駒木根の家のメイドか、それらしき人が出て来た。
「はい、私、駒木根様のメイドを務める者ですが、駒木根様に何かご用件があるのでしょうか?」
「はい、私は駒木根君の同級生だった高橋純と申しますが、駒木根君のお父様に用があって来たのですが、駒木根君のお父様はご在宅でしょうか?」
「はい、駒木根様はいらっしゃいます、とりあえず、中にお入り下さい」
すると自動的に大きな扉が開いた。
本当に駒木根の奴は凄い家に住んでいたのだったんだなと、思って僕達は駒木根の家に招き入れて貰った。
中に入ってみると松や、池に鯉なんかがいたりしてとても豪華な家だと言うことが分かる。
それよりも、僕達はユーネットワークの事を聞き出すために僕達は駒木根の父親に会いに来たのだ。
駒木根の家の中に入ると、先ほどの声からしてメイドの人が僕達を招き入れてくれた。
「ようこそいらっしゃいました。駒木根様は今は誰も通すなと言われておりましたが、あなた達の事を聞いて、是非会いたいと存じ上げていましたのでしばらくお待ちください」
僕と小百合さんは接客室に招かれ、紅茶をもてなしてくれた。
僕は思うのだがこんな悠長な事はしていられないと思っているが駒木根の父親が来ることを僕達は待つことにする。
そして駒木根の父親は現れた。
それに駒木根の父親はウイスキーかブランデーの様な物を片手に凄く酷い有様だった。
「君達がうちの子からユーネットワークを利用して襲わせた者だね」
「そうです。僕達はあなたの息子さんに色々と酷いことをされて来た者です」
「それで私の息子は殺されてしまった。うちの子がろくでもない者とは分かっていたが、まさかこれほどの物とは予想外の事だったよ」
心なしか、駒木根の父親はろくでもない息子に対しても悲しんでいる様子だった。
「僕達はあなたの力を借りるためにここまで来ました」
「ユーネットワークは私にもどうにもならない連中の集まりだ。私の力を貸した所で私は殺される事になってしまう。それを息子はそんな事も知らずにユーネットワークに力を借りて殺されてしまった」
そう言って、駒木根の父親はウイスキーを口にした。そこで小百合さんが、
「昼間からお酒ですか?」
「私の息子が殺されてしまったんだ。私はあれほどユーネットワークに関わるなと言ったにも関わらずに、君達を陥れるためにユーネットワークの力を借りてしまった」
あんなろくでもない駒木根でもこうして父親は泣いてくれる人がいて何か安心してしまった。
そうだ。駒木根がユーネットワークに加担しなければ僕達はこんな事にはならなかったのだ。
本当は小百合さんの母親が殺された事や、その他にも麻美ちゃんや剛君達にユーネットワークに殺された者や酷いことをされた事に懺悔をして欲しいと思ったが、なぜか父親は駒木根の死に対して悲しんでいることに僕達は責める事が出来なかった。
「君達は、ユーネットワークの事について知りに来たのだろう。だったら教えてやろう。そして君達に頼むのはおこがましいかもしれないが私の息子の敵を討ってくれ」
父親は真摯に言う。