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子供になったお母さん  作者: 柴田盟
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 私と光さんはスナイパーに殺されそうになったところを、スナイパーの気配を感じて、スナイパーを撃退することに成功した。


 スナイパーには聞きたいことがたくさん合ったのにスナイパーは任務に失敗して自ら舌を噛み切り死んでしまったのだ。


 光さんは悲しんでいた。どうして命を粗末にする事をするのか?


 スナイパーには色々と聞きたいことがあったのだが、また振り出しに戻ってしまった。


 とにかくこのスナイパーは警察に任せる事にした。


 このスナイパーはユーネットワークの者だと言うことは分かる。だからって命を粗末にする事は私は許せないと思っている。


「光さん、残念な終わり方をしてしまったね」


「そうね、このスナイパーにも神の子なのに」


 敵であったスナイパーに祈りを捧げている。


 私と光さんはスナイパーを警察に任せて、引き上げることにした。


 純君と小百合ちゃんの手がかりは見つからなかった。


 警察でも手が出せないユーネットワーク、私はそんな連中を許すわけにはいかない。


 光さんは施設に戻り、私は塾に戻ることにしようとしたが、私が塾に戻ってしまったら、塾のみんなにも迷惑がかかってしまう。


 でも一人は無力だ。


 そう思っていると、私の携帯に着信が入った。


 画面を見てみると、豊川先生だった。


「もしもし」


『もしもし、亜希子ちゃん』


「はい、そうですが」


『光さんから聞いたよ。どうやらユーネットワークに挑もうとしたそうじゃない』


「でも手がかりは見つかりませんでした」


『それよりも、亜希子ちゃん。うちの塾に戻って来なよ』


「それはありがたい事ですが、塾に戻ったら、みんなに迷惑がかかってしまう」


『そんな迷惑だなんて思ってないよ。君なら知っているでしょ。一人の無力さを』


「それは分かっています。でも私はあのユーネットワークに狙われた存在」


『以前にも言わなかったっけ、ユーネットワークには僕の知り合いがいると、その人達の力を借りて、純君と小百合ちゃんを探しに行こうよ』


 私は迷った。確かに豊川先生の言う一人は無力だと言うことを知っている。でも私はみんなを巻き込みたくない。


 でもだからこそここは豊川先生に力になって貰うしか無いと思っている。


「分かりました。豊川先生、力を貸して下さい」


『よし、来た。今から塾に戻ってくると良いよ』


 私は言われたとおり、豊川先生がいる。塾へと戻って行った。



 ★



 豊川先生が待つ塾に戻ると、先ほどのスナイパーの件だが、それを解決して、殺気が無くなっていた。


 豊川先生の塾に戻ると、私は戻って良いのか悪いのか?分からなかった。


 私が塾の前に立つと、どうしようか迷った。


 すると豊川先生が出てきて、


「亜希子ちゃん。待っていたよ」


 豊川先生の顔を見ると、安心して涙がこぼれ落ちそうになってきた。


 そんな豊川先生はその大きな体で私を抱きしめてくれた。


 すると涙が止まらなかった。


 今更気がついた事だが、私は怖かったのだ。


 そんな私を豊川先生の中で次から次へと涙が止まらなかった。


 その時思ったんだ。純君と小百合ちゃんを助けるには一人の力では無理だと言うことを。


 でも私には施設の光さんや剛君達、そして英明塾の豊川先生達がいる。


 私はユーネットワークの罠だと知っても、一人で行動したことに恥じらいを感じた。


 そうだ。一人では純君や小百合ちゃんを助ける事は出来ない、だからと言って、みんなを巻き込みたく無いからって一人になることはいけない事だと思った。


 英明塾のシェルターの中に入り、私は豊川先生に力になって貰うことにした。


 私には仲間がいる。


 それは百万ドルを支払っても手にできない物だと思っている。


 私の力だけでは純君と小百合ちゃんを助け出す事は出来ない。


 だから豊川先生の力を借りなければならない。


 それでも二人を助け出すことは困難な事だと言うことは分かっている。


 この殺気の感じられない、シェルター内、でも純君と小百合ちゃんの手がかりを見つけ出す手立てはない。


 今頃純君と小百合ちゃんは何をしているのだろう。


 酷いことをされていないだろうか?


 そんな事は今の私には分からない。


 今回のスナイパーの件だが、光さんが力を貸してくれたにも関わらず、純君と小百合ちゃんの手がかりは見つからなかった。


 任務に失敗したからと言って、舌を噛み切り自殺してしまうなんて私は思いもしなかった。

 いや以前にもそんな事があった。


 ユーネットワークに加担した者は任務に失敗したら、殺されてしまうことを知っているのだろう。


 そんな危ない連中に純君と小百合ちゃんはさらわれてしまったのだ。


 いや純君と小百合ちゃんはただ者ではない。


 きっと純君達は(みずか)ら自分達で行動をしてユーネットワークの連中から逃げ出すことを考えているに違いない。


 純君達はいくら小百合ちゃんのお母さんが殺されたからと言って、あの裏の大組織のユーネットワークに挑もうなんて無謀にも程があると思っている。


 純君と小百合ちゃんを助けたいが、助けるには真っ向から勝負に挑んだって、勝てる相手ではない。


 ここは安全な豊川先生のシェルターに身をひそめるしかない。


 奴らの事だ。また私のスマホに連絡を入れてくるに違いないと思っている。


 それに奴らはこれはゲームだと馬鹿げた遊びだと思っている。


 そんな時、私の携帯に連絡が入った。


 着信画面を見てみると、無着信になっていて、ユーネットワークの連中だと言うことが分かった。


「・・・もしもし」


『いやあ、もしもし、高橋亜希子君かね?』


「あなたユーネットワークの人間だね。大人しく純君と小百合ちゃんを帰しなさいよ」


『いやあ、今回も面白い勝負を見せてくれたね。あのスナイパーは一流のスナイパーなのに良く殺されずに済んだね。やはり君はただ者じゃない事が分かって、凄く面白い者だと言う事が分かったよ』


「私はそんな事を聞いているんじゃない。私は純君と小百合ちゃんを返してって言っているのよ」


『そんなに二人の事が心配かい?』


「心配に決まっているでしょ。それとも二人は無事なの?」


『さあ、それはどうかな?』


「もしかしてあなた、純君と小百合ちゃんを殺したんじゃ無いでしょうね」


『フッハッハッハッ!』


「何がおかしいのよ」


『いや、親が子供に対する気持ちがおかしくてね』


「あなたは狂っているわ」


『まあ、とにかく二人は無事だよ。それは私が保証する』


 今一信用できなかったが、無事だと言うことを聞いて安心した。


「本当なんでしょうね」


『私は嘘はつかないよ。それにこの二人がいなければ、ゲームを楽しむ事が出来なくなってしまうからね』


「ゲームって何よ。お願いだからもう二人を解放させてあげて」


『それではゲームにならないよ。とにかく今度はまたこの二人をかけての勝負だ』




 ★




「小百合さん。ユーネットワークは僕達を殺そうとしているのか?」


 僕は何日もお母さんに合っていないので、情けなくもホームシックにかかってしまった。


「ごめんなさい。純君、あなたまで巻き込んでしまって」


 僕と小百合さんは気がついたらとある部屋に幽閉されてしまった。


「でも小百合さん。お母さんが殺されてしまった事に気持ちは充分に分かるよ。だから僕は小百合さんの敵討ちに賛同した訳だよ」


「でも純君をこんな危険な目に会わせてしまってごめんなさい」


「最初からユーネットワークに復讐など考えた僕達が悪いんだよ。とにかく僕達は逃げるしか無い」


「逃げるって言ってもこの部屋に幽閉されて体の自由はきくけれど、どうやって脱出するの?」


「とにかく考えるしか無い。お母さんも僕達を助けるために動いているはずだ」


 とにかく僕達はここで終わってはいけないと思っている。

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