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新たな仲間と出会います

 城から脱出し追ってくる兵から逃げ俺は今酒場にいた。実はキリノも脱出に成功し酒場で合流の予定なのだ。

「トールさん! 大丈夫でしたか?」

 不意に声を掛けられビクッとする。

「何だキリノか……」

 俺は「はぁ…」と溜息をつく。

 キリノは俺がいるテーブルに向かって走ってきて、俺の隣に座る。

「大丈夫だったんですね?」

「あぁ。それより一番に考えるべきなのはこの街にはもういられないということだ。どこに行くべきか……。既に街の掲示板には指名手配の紙が張り出されているし巡回する王国兵の数も増えた。この場所がばれるのも時間の問題だ。」

 街には巡回兵がおり巡回兵は指名手配されている者や体が赤く光った――犯罪者を見かけたら即座に襲い掛かってくるのだ。巡回兵に倒されると城の牢獄に入れるらしい。

「そうですね……」

「俺は食糧とキャンプを買ってエリア内にある安全地帯で野宿するつもりだ。お前は……? 野宿は嫌だろ……?」

「別に問題ありませんよ! 私も一緒に野宿します! 後野宿するには食糧を料理する人が必要です。私はサブ職を調理師にするつもりです。サブ職はLV10からですから今からでも職に就くことができます」

 サブ職は新たに実装された機能だ。LV10から職に就くことができ全てが戦闘に無関係なものだ。その代り生活をするためには必須なものである。サブ職は武器職人、防具職人、調理師などなど様々だ。

「キリノがそういうなら俺は止めない。けどな、苦しい生活になると思うんだ。それでもいいのか?」

「はい問題ありません!」 

 キリノは元気よく返答した。


 ユンノーシは碁盤のような造りになっている。まるで平城京、平安京を思わせるような形だ。市場は2つあり東市、西市だ。

「プレイヤーであふれかえっているな……」

「そうですね……」

 俺たちは酒場から近い西市に来ていた。

 目的は砥石と修理工具と食糧、HP・MP・SM(スタミナ)回復薬を買いに来たのだ。砥石は剣の切れ味をよくし修理工具は耐久が0になった防具や武器を修理することのできる石だ。砥石と食糧の値段は比較的安価だ。だが、修理工具はNPC商店だとかなり高価な値段に設定されてある。βテストではそうだった。

 βテストの際にモンスターから出た素材を殆ど売り飛ばし何とか目的の砥石と食糧が入っている食糧パックというものはそろえることができた。だが、修理工具が見つからないのだ。

「どういうことだ……? 工具が売ってないぞ?」

「分かりません。売り切れなのでしょうか……」

 俺たちはまた10分程プレイヤーが売り出している店――露店やNPC商店を見て歩いたがどこにも売ってないのだ。

 代わりNPC商店の片隅に修理石という物が売っていた。意外と安価だったので買ってみたのだが……。

「何なんだこれ? こんなもので修理できんのか?」

 俺はNPC商店の店主に問う。

「これを使用すると修理に必要な工具が出てきます。失敗することもあり工具が出てこないこともありますがご了承ください」

 失敗って……。そんなのありかよ!!

「キリノ。とりあえず物は揃ったしそろそろここにも巡回兵が来るからさ。酒場に戻ってどこで野宿するか決めようぜ」

「そうですね。酒場に戻りましょう」


 俺たちは酒場に戻りどこで野宿するか決めていた。

「俺はバイディングフォレストにある2つ目のダンジョンを捜索して安全地帯を探したい。キリノは?」

「私はトールさんに賛成です。攻略の進んでいない未知のダンジョンならPKからの心配はないでしょうから」

「そうか。なら早速行こうか!」

 俺が椅子から立ち上がろうとしたとき。

「待ってください! サブ職業に就かないと! トールさんは何するんですか!?」

 完璧に忘れていた……。

「そ、そうだなぁ……。……………………。行ってから決める!」

「そ、そうですか……。では行きましょうか」

「お、おぅ!」

 

 ユンノーシの西市の近くには訓練場と闘技場がある。

 訓練場はその名の通り訓練用モンスターと戦うことができるところだ。訓練用モンスターは1日変わるごとに変わっていく。訓練用モンスターは異様に強く殆どが大型モンスターだ。稀に中型・小型モンスターもいるがエリア内のモンスターに比べると50倍以上強いらしい。大型モンスターはその何十倍ということは分かるだろう。代わりに訓練場で死んでも現実の死にはならないのだ。もし倒せたとしても経験値はもらえない代わりにアイテムがもらえる。

 闘技場はプレイヤーと戦ったり闘技用モンスターと戦ったりできる。訓練場と似ているが全く違う仕様になっている。闘技用モンスターは日替わり制ではなく勝ち抜いていくようになっている。弱いモンスターから徐々に強くなるようになっている。闘技用のモンスターと戦い勝つことができれば経験値を得ることができる。闘技場で死んでも訓練場と同じように現実の死にはならない。だが闘技場特別システムの中に「デスマッチ」というものがありそれで死んだら現実の死と同じようになる。ただし経験値は通常の3倍獲得できる。闘技場では5戦ごとに休憩タイムがありその時のみリタイアが可能とされている。闘技場ではプレイヤーと戦うこともできるが基本PvPでの「デスマッチ」は無く何かを賭けて勝負するようなかたちだ。闘技場の参加は1000N必要とし観戦には500N必要だ。観戦の場合どちら勝つかアイテムや金を賭けあったりできる。

 闘技場の入り口付近。そこにサブ職業の転職官であるスミーニが立っている。スミーニに話すと職に就くことと職から職へ転職することが可能だ。転職には条件がありその条件はまだ公表されていない。

「ここが闘技場か……。壮大だな……」

 闘技場の中からは大歓声が聞こえる。きっとNPCが大半を占めているだろう。

「ですね……」

「お! あの人じゃね?」

 転職官スミーニが堂々と立っている。俺が期待していたような奴とはかけ離れていた。髭を生やしたおっさんだった。悲しすぎる……。

「そうですね。名前が頭上に表示されてます」

「だな。話しかけてみるか」

「はい」

 俺は駆け寄って声をかける。

「すみません。職に就きたいのですが……」

『うぉぉぉぉ!! 職に就きたいのかぁぁぁぁぁ!! おぉ良いぞ!!! その代り金を置いていけ!! 初回は500Nだ!! どうだ!?』

 転職官は詐欺師だった。転職で金とかとるのは仕方がないけど職に就くぐらいタダでさせてくれよ! ここで嫌だって言ったらどうなるんだろう……?

「お金とるんですか? タダじゃないと嫌です」

 そう俺は言ってみる。 

 そうするといきなり腰にかける刀を抜刀してきた。

『何だとてめえ! 払えって言ってんだろうが!』

 脅されてませんかこれ……? おかしいでしょ絶対! 

「だからタダじゃないと嫌って……」

『死にてぇのか!? 死にたくないならさっさと金置いていけや!』

 完全に恐喝されてますよねこれ? NPCが恐喝って……。絶対おかしいだろ!

「すいません払います……」

 恐喝により声が出なくなっていた俺の代わりにキリノが言ってくれた。

 そう言うと詐欺師転職官は刀をしまい『おぅおぅ! 何になりたいか言ってみろ』と笑顔で言ってきた。とても怖い姿を見た俺は固まりキリノは完璧にひいている。 

 ピコン

 画面が表示される。

 

 サブ職業選択

 ・鍛冶師 ・調理師 ・農家  

 ・調合師 ・建築士 ・商人     

 ・索敵者 ・装飾品生産者 

 ・裁縫士


 全ての職業に説明がついておりそれを読むと全て必要に思えてくる。

 だが俺が一番気になったのは索敵者である。索敵することができ敵を見つけるとただちに知らせてくれる便利な職業だ。

 俺は索敵者になることにし500Nを渡しその代りに「索敵者マニュアル」という本と「索敵者の証明書」を貰った。

 因みにキリノは俺が悩んでいる間に調理師になりマニュアルを読んでいくつか調理スキルを覚えたらしい。早すぎるだろう……。

「俺も職業に就いたぞ」

「何にしたんですか?」

「索敵者だ。便利だろ?」

「そうですね! 索敵ができるなんて最高じゃないですか!」

「だろ! これで準備は整ったな……。じゃぁ出発するか!」

「はい!」

 キリノは笑顔で返答した。その笑顔はまっすぐで純粋なものに見えた。

 俺は顔が赤く熱くなるのが分かったがなんとか抑えきった。

 俺とキリノは転移門に向かった。

感想について何ですが悪い点があったら具体的に詳しく書いてください。

参考にしたいので。


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