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第二十一話:高橋さんと池袋の水族館とプラネタリウムに行く

 巣鴨での高橋さんとのデートを思い出す。


 まあ、冷静に考えれば高橋さんの行動は金づるを逃さないためのような感じもしてきたなあ。

 全然元気だったじゃないか、彼女。


 けど、俺としてはやっぱり嬉しいぞ。

 美人を連れて歩くこの優越感。


 しかし、飛鳥山公園、とげぬき地蔵と二回のデートは向こうから誘われたんだっけ。

 そうすると、こっちからも誘わないとなんだか失礼のような気がしてきた。


 と言うわけでネットでデートプランを考える。

 お金は全部こっちが持とう。

 こっちが誘うんだからな。


 普通は男が金を払う。

 そうだよな。

 それとも今はわりかんなのか。

 キモオタ変態にはよくわからん。


 しかし、このしょぼくれた俺がデートの計画を考えるなんて異世界にいるような気分だ。

 異世界デート。

 よし、千葉ネズミーランドだ! と思ったけど、彼女は遠くには行けないんだよな。

 どこがいいだろうか。


 一応、訓練も兼ねているんだから、今度は都バスに乗るってのはどうだろう。

 行先は池袋にしよう。


 サンシャイン水族館ってのに俺も前から行きたかったんだ。

 けど、一人で行ってもなあ、なんか孤独で悲惨だなあと思い行かなかった。


 西巣鴨から池袋駅東口までは約十分か。

 今まで最長は都電の約五分。

 まあ、気分が悪くなっても、途中の停留所で降りればいいし。

 バスなんて頻繁に来るから大丈夫だろう。


 水族館とか彼女、大丈夫なんだろうか。

 いろんな人がウロウロしているけど。

 花見で大丈夫だったからいいか。


 ネットで見ると水族館に行くのは最上階までエレベーターを利用か。

 そういやエレベーターも乗れないとか言ってなかったか、彼女。

 よし、これも訓練の一環だな。


 その後はプラネタリウム。

 プラネタリウムってのはどうなんだ、病気には。

 まあ、彼女次第だな。

 プレミアムシートってのにしよう。


 しかし、ううむ、予算が無くなって来たぞ。

 昼食は地下のそば屋にでも行くか。

 蕎麦が好きって言ってたもんな。

 で、終了。


 帰りは都電東池袋四丁目駅まで歩く。

 そこからご自宅近くの西ヶ原四丁目駅まで約十分。

 今回は乗り物訓練は最長十分間ってことにしよう。

 だいたいプランが出来た。


 メールで送ろうと思って、おっとすっかり忘れていた。

 撮影の件だ。


 そういや、昔は競泳水着とかハイレグの女性の画像が好きだったなあ。

 お、ハイレグで表面が虹色光沢ってのがあった。


 ハイネックのハイレグレオタード。虹色にキラキラ光る。

 エロいし、いろんな角度から撮ると色が変わって綺麗じゃないかな。

 これ生足の方が似合うなあ。

 こんなの着てくれるかなあ。

 画像を保存してメールで送ってみた。

 すぐに回答がきた。


『全然かまいませんよ。後、デートすっごく楽しみにしてます』


 よっしゃー! 次の休みが楽しみだ。


 で、当日。

 平日の午後。


「こんにちは、高橋さん」

「はい、こんにちは、佐藤さん」


 満面の笑顔で出迎えてくれる高橋さん。

 もう、全然、普通の人だな。


「さっそく、こちらお願いします」

「はい、わかりました」


 で、肝心のハイネックのハイレグレオタードを着ていただいたのだが。

 今までで一番エロいです。ウワー! 眩しい。

 綺麗な身体がキラキラと輝く。


 わが生涯に一辺の悔いなし! 

 思わず、両腕を高らかに上げたくなる。


 ああ、俺、もう死んでいいなあ。テンションマックス! マックスバリュー!

 ハイレグなんで足がいつもよりさらに長く見える。もう、最高です。

 高橋さんもちょっと恥ずかしそうだ。

 けど、今日はなんだか自信に満ちている感じ。


「これキラキラして綺麗ね」

「いえ、高橋さんの方が一億倍綺麗です」

「やだー、恥ずかしい」


 他人が聞いたら、バカヤロな会話をしながら撮影。

 今日はイケイケドンドン、キャッホー!


 とりあえず、しゃがんでもらって横から撮影。綺麗!

 次に両膝ついてもらったり、膝を開いてもらって、撮影。ウヒョー!

 高橋さん俺を見て、ニコリと笑う。


 自らかなり股を開く。え、いいんですか。ウォ! 鼻血出そう。ハイテンション!

「ウフフ」と笑う高橋さん。今日はいつになくエロいです。フィーバー!


 頭を床につけて、お尻を思いっきり高く上げてくれた。

 もう、四つん這いはデフォルト状態。たまらん。エロ度最高潮!


 くるっと身体を回転させて、胎児みたいな格好した後、足を床について腰を上に突き上げる。


「え、いいんですか、高橋さん。エロすぎですよ」


 すると、彼女が笑って答えた。


「今のは頭をスッキリさせるヨガのポーズよ」


 ああ、真面目なポーズだったんですね。

 しかし、エロい格好してるもんだから、こちらの頭は沸騰!

 

 しかし、今日はどうしたんですか、高橋さんってな感じ。自らハイテンション状態!

 で、その後、立ち上がって後ろ姿。

 壁に手をついた後、脚を開いてお尻を思いっきり突き出してくれる。クライマックス!


「佐藤さんの好きなポーズでしょ」と笑う高橋さん。

 ウォー! ディープ・インパクト! 心臓が止まりそうだ。


 虹色光彩レオタードを着た高橋さんの身体がキラキラと眩しいです。

 ああ、女神様、俺、失明しそうです。

 あっという間に撮影終了。

 十分間。

 これ一時間続けてたら俺、悶絶死してたんじゃないかな。


「今日は無料でいいわ」

「え、いいんですか」

「そのかわりデート代は全部持っていただけるんですよねー、佐藤さーん」


 ちょっとコケティッシュな笑顔を見せる高橋さん。

 たまりません。

 自分に自信を持っている証拠だよね。

 病気もますます治ってきたんじゃないの。

 俺も嬉しいぞ。


「はい、もちろん。今日は俺にまかせて下さい」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。じゃあ、外で待っててね」


 ニコニコ顔の高橋さん。

 ちょっと顔が上気していたような。

 アパートの廊下で長々と待たせられる。


 そして、女神様、再登場。

 白いハイネックの長袖セーターに膝丈ハウンドトゥースチェック柄フレアスカート。

 かわいいです。

 もちろん黒いストッキング。

 今日はロウヒールパンプス。

 けっこう歩く予定だもんな。


 たらたらと西巣鴨まで歩いて、そこのバス停留所から池袋までバスで行く。

 高橋さんは例の無料券。

 平日で人はそれほど乗ってない。

 後方の二人掛けの椅子に座る。

 窓側にすわる清楚な美女。


 しかし、俺の頭にはさきほどの虹色に光るハイネックのハイレグレオタード姿が焼きついている。

 七色にピカピカ光る高橋さんのボディが頭の中でちらついてそわそわしてしまう。

 これ、夢なんじゃないかなあ。


「高橋さん、体調はいかがですか」

「うん、快調そのもの。ありがとう、佐藤さん」


 そして、ウィンクまでしてくれる。ウヒョー! 最高に幸せである。

 俺の心臓もドキドキしてきた。

 俺もパニック障害になりそうだ。

 いや、変態障害か。もうわけわからん。


 予定通り十分ほどで池袋に到着。

 ひょいと軽やかにバスを降りる高橋さん。

 今日は快晴だ。

 サンシャインシティの水族館を目指す。


「高橋さん、エレベーターは苦手なんですよね」

「うん、けどもう過去形になりそう」


 けっこう人が乗っていたけど、あっさりクリア。 

 デカい水槽にいろんな魚が泳いでいる。


「私、こういうところ来るの久々だなあ」


 なんだか感慨深げに水槽の中を泳ぐお魚さんたちを見る高橋さん。


「そうなんですか」

「だって友達全部いなくなったんだもん」


 その他アザラシさんも気に入ったようだが一番はしゃいだのがペンギンコーナー。

 屋上にある「天空のペンギン」。

 背景にビル群が見える中、ペンギンさんが泳いでいる。


「かわいい!」とはしゃぎまくる高橋さん。

 どこが病気なんですかって感じだなあ。

 けっこう観光客やらいたけど全然平気なご様子。

 俺も嬉しいです。

 すると、高橋さんが少し顔を赤くして俺に言った。


「ちょっと、お手洗い行ってくる」


 ああ、例の頻尿か。

 今日は薬を飲んでいないけど、やはり体内には薬の残量が残っているのかな。

 しかし、俺があんな究極の美女と水族館でデート。

 信じられん。


 異世界水族館デート。

 泳いでいるのはヘンテコな魚ばかり。

 突然、その中の一匹がお姫様の高橋さんに襲いかかる。


 バシッ!


 一瞬で、童貞しか手に持つことが出来ない伝説の剣を使って切り倒す変態童貞勇者の俺。

 すっかり俺に惚れてしまう高橋姫。

 そんなこと起こるわけないか。


 ずいぶん待たせるなと思っていたら本人がやってきた。


「ごめんなさい、女子トイレがやたら混んでて」


 うむ、昔ロックコンサートに行ったことがある。

 男にも女にも人気があるバンドだった。

 で、会場のトイレなんだけど男性用はスカスカで女性用トイレは行列。


 女性は何をやっているのだろうかと童貞変態の俺にはよくわからんなあと考えながら用を足していたら、女性陣がドカドカ入って来たから仰天したことがある。

 空いているなら使ってしまえという合理的考えか。


 さて、一時間ほどで水族館を出る。

 エレベーターを降りるときも全然問題なし。


 高橋さんが言った。

「あるビルでエレベーターに乗るのが怖くなって、何十階も足で上ったことあるのよ」

「身体は鍛えられますね」

「うふふ、そうね」


 次はプラネタリウム。

 少し歩いて、またエレベーターで屋上へ。全く問題無し。


 メンタルヘルスってことで、ヒーリングプラネタリウムってのを予約しておいた。

 席はふかふかのバカでかいソファ。

 こりゃ寝てしまうんじゃないかと俺は思っていたのだが。

 

 しかし、すぐ横に究極美女がいるので全然眠れません。

 内容は猫が主人公。

 四十分ほどで終了。

 高橋さん、すっかり気に入った模様。


「ねえ、佐藤さん、今度は私の奢りでいつか行きましょうね」

「はい、お供します、お姫様」

「やあねえ。姫とか」


 なんかバカップルみたいになってきた。

 あれ、バカップルって死語だっけ。どうでもいいか、そんなこと。


 しかし、こんなことがキモオタ変態の俺に起きるとは、明日トラックにひかれそうだ。

 さて、地下街に行って、昼食はそば屋さんに行く。

 普通の店です。


 ちと予算がきつくなってきたので。

 本当は高級レストランに連れていってやりたかったのだがなあ。

 貧乏はつらいなあ。


「私が蕎麦好きってこと覚えててくれたのかしら」

「そうです」

「ありがとう」


 美味しそうにざるそばを食べる高橋さん。


「一応、今日はこれでイベント終了で後は帰るだけなんですけど」

「うーん、そうね。私の家に戻って、撮影会もう一度やりません」

「え、いいんですか」

「うん、あのレオタード気に入った。綺麗でもっと佐藤さんに見てもらいたいの」


 本当ですか。

 おお、まじ、最高。

 しかも、もっと見てもらいたいって。

 もう高橋さんも変態になりつつあるぞ。

 変態でもいいや。ウヒョー!

 高橋さんがニコニコ顔で俺に聞いてきた。


「それで、撮影会の後はどうしますか、佐藤さん」

「後?」

「後は、エヘヘ。そうね、佐藤さんって嫌いな食べ物ってあるかしら?」

「いえ、特にありません」

「じゃあ、私の手料理ってどう」

「あ、ありがとうございます」


 なんか高橋さんすごいハイになってるぞ。

 俺もドキドキしてきた。

 女性の手料理なんておかんのしか食べたことないぞ。


 で、高橋さんがまたそわそわしている。

 ちょっと、顔を赤くしている。


「あの、すいません。ちょっとお手洗いに行ってきます」

「ああ、どうぞ」


 また例の薬の副作用の頻尿か。

 大変だなあ。


 しかし、薬の副作用のせいではなく、精神的な問題で頻尿になってる可能性もあるなあ。

 真面目な人は頻尿になってしまうって話もある。

 周りの人に気兼ねしてかえってトイレに行きたくなるってことだ。


 以前、俺が勤務していたブラック企業でも、頻尿ではないが、過敏性腸症候群になって通勤電車の快速に乗れない人がいたなあ。

 真面目な人だった。


 各駅停車の電車しか乗れないんだよなあ。

 で、途中でお腹が痛くなってトイレに行って、結局、遅刻して例の俺の股間に蹴りを入れたアホ上司に飛び蹴りをくらってたなあ。


 あのアホ上司は、「お前はビジネスへの心構えが足りん、ライダーキック!」って叫んでその人のお尻を蹴っていた。

 このアホ上司はキチガイだと確信した瞬間だ。

 股間よりはマシだけどさ。


 しかし、結局、その人は辞めてしまった。

 真面目な人だったのにかわいそうだ。

 全く、あのアホ上司はどうしようもない奴だった。


 仮面ライダーギーツに瞬殺されてしまえ! 

 世の中、真面目で心の弱い人もいるんだよ。

 もっと優しい世の中にならんかいな。


 先に勘定を払っておく。

 財布の中はほぼ空っぽだ。

 しかし、俺としては大満足だ。


 やっぱり他人と話していると楽しいね。

 しかも、あんな美女とだぞ。

 ぼっち時代の悲惨な頃を思い出す。

 親以外と喋らないのはおもろーないね。

 刺激もないし。

 つまらんから、ネットの掲示板を荒らしまわったこともあったが空しいだけだった。


 いやあ、今日は良い日だった。

 ああ、女神様。

 ぼっちの俺を楽しませてくれて感謝いたします。

 高橋さんも体調の方は副作用の頻尿を除けば、今日は全然元気だ。

 俺は嬉しいぞ。

 高橋さんがようやく戻って来た。


「お待たせしました。じゃあ、帰りましょうか」

「はい、女神様」

「やだなあ、女神様って恥ずかしい」

「いえいえ、俺の女神様ですから」


 都電東池袋四丁目駅を目指す。

 ゆっくりと歩く。

 天気も快晴、気候もよし。


「後は都電で帰るだけですね」

「最高に気持ちいいデートでした。ありがとうございます」


 高橋さんがニコニコ顔で言った。


「いえいえ、こちらこそ。ところで次は都電で十分かかりますけど、ご気分はどうでしょうか、女神様」

「今のところ、全然大丈夫ですわ。さて、次は私の番ね。撮影のことだけど、今日は大サービスしちゃおうかなあ。さっき着たレオタードに今までいろいろな衣装をくれたけど、それらを組み合わせるとか」

「ああ、けど今日のデートでお金使いきったんですけど」


「無料でいいわよ。あと、どんな格好でもいいわ」

「え、いいんですか」

「下着姿でもいいわ。顔はNGだけど。あと、どんなポーズでも佐藤様のお気に召すまま、ご命令していただければ何でも従います。メイドの高橋楓はご主人様の言うがまま、されるがまま、どんなことでも一切逆らいません。私を好きにして下さいませ、うふふ」


 おいおいおいおい、何を言い出すんだ、この人は。

 なんだかすごい色っぽい目つきで俺を見ているぞ。


 なんだかハイテンションが続く女神様。

 やばい、興奮してきた。

 すっかりご機嫌の高橋さん。

 どうしちゃったの?


 高橋さんが、すっと俺の手を掴む。

 いきなり掴まれてきょどってしまう俺。

 ニコニコ顔の高橋さん。


「撮影会やって、私の料理を食べてもらってと。ねえ、明日、佐藤さんって何時出勤なの」

「明日の勤務時間は午後三時から午前零時までですね」

「そう、じゃあ、大丈夫ね。今日は私の家に泊っていく?」

「え? どういう意味ですか」

「そのままの意味よ」

「は、はい」


 そのままの意味とはどういう意味だ。

 泊って二人でネトゲでもやるのだろうか。

 それとも異世界小説でも読むのか。

 キンキンキンキンキン! って。

 それとも囲碁、将棋、トランプ、オセロゲームか。


 緊張してギクシャクしながら歩く俺。

 またちょっと色っぽい感じで高橋さんが俺に聞いてくる。

 なんか、俺の腕に胸を押しつけてくるんですけど。


「コンビニで自分用のハブラシと歯磨き粉買ってこないといけないわねえ、佐藤さん」

「え、どうして」

「どうしてって、エチケットでしょ。ねえ、佐藤さん……この前、経験ないって言ってたけど……その後はどうなの」

「ないです!」

「……そう、今夜は楽しみね。明日まで時間はたっぷりあるし」


 またコケティッシュな笑いを見せつける高橋さん。

 やばい、俺、気絶しそう。

 異世界逝っちゃうよ。


 まさか、高橋さんはやはり異世界のサキュバスなのでは。

 神聖童貞帝国の皇帝最有力候補者である俺もこのサキュバスの魅力には完敗だ。

 耐えられん。


 童貞勇者佐藤健二のHPがゼロ寸前! 

 帝国も崩壊寸前!

 もう死にそう!

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