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:夏空とレモネード
雨上がり、草たちの匂いが強い。暑さを読み間違えた僕たちの手は、それぞれの水筒に伸びていく。
「夏空にはレモネードだよね」
言ってズっちゃんは、自分の水筒を僕に差し出す。
「え、いいの?」
「飲んで、飲んで」
「ありがと」
けど、ひと口でびっくりした。
「うげっ …何これ?」
「梅干し水」
「レモネードじゃないじゃんか」
「レモン、家になかった」
「だからってテキトウに」
「へへ」
無理すれば飲めなくもない梅干し水に、もうひと口つけようとする僕をしり目にズっちゃんは、僕の水筒をその気配も感じさせず容易に奪っていく。
「なか何?」
「飲めばわかると思うよ」
僕の返答を最後まで待てなかったみたい。ズっちゃんはさっそく口にもっていく。
「お。おおっ」
「どう?」
「レモネードじゃ~ん」
「気に入ってくれたんならよかったよ」
あらかた飲むだけ飲んでから、ズっちゃんは水筒を僕に向けて言う。
「またつくってくれたら飲んであげてもいいよ」
まったく、やれやれだな。なんて、こんな暑い夏の日も、あんがい悪くない。




