40: 韓鍾洙の最後
63年前の事件が、ついに法廷に立った。鄭成浩の「あの子は何の罪もなかった」、呉美子の「61年間待ちました」——二つの証言が法廷を満たした。そして韓鍾洙は言った。「私がやりました。言い訳はしません」。懲役20年の判決、収監、そして聞慶での最後。「よく生きたか」という問いに承勲は「はい」と答えた。赤ちゃんの名前は東亜——趙東赫から取った名前だった。
# 第40話
**韓鍾洙の最後**
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2025年春。
ソウル中央地方法院。
傍聴席が埋まった。
報道カメラが並んでいた。法廷の中は静かだったが、その静けさがむしろ重かった。
被告席に韓鍾洙が座っていた。
83歳。車椅子。かなり痩せていた。
しかし眼差しはまだかすんでいなかった。
承勲は検事席の隣の傍聴席に座ってその顔を見つめた。
*祖父があそこに座っている。*
その考えが静かに降り積もった。
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裁判は三ヶ月前から始まっていた。
起訴内容はただ一つだった。
1962年3月18日、慶尚北道・聞慶市・青文高校近くで趙東赫を殺害した容疑。
63年前の事件が法廷に上がった。
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一番目の証言。
鄭成浩。
八十二歳の老人が証人席に座った。大阪から来た。飛行機に乗ったのが数十年ぶりだと言った。
傍聴席が静まった。
鄭成浩はゆっくりと口を開いた。
「私はあの夜、そこにいました。」
1962年3月18日。卒業式が終わった夜。青文高校の裏の路地。
「趙東赫という友達がそこにいました。そして韓鍾洙もそこにいました。」
「何があったのですか。」
「見ました。全部見ました。でも怖くて言えなかった。61年間。」
傍聴席から低いざわめきが起きた。
「1975年に手紙を書かれましたね。」
「はい。韓鍾洙という名前を書きました。私が嘘をついているのではないということを残さないといけないと思って。」
鄭成浩はしばらく止まってから続けた。
「あの子は何の罪もなかった。ただ貧しくて、一生懸命生きていた子でした。」
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二番目の証言。
呉美子。
80歳の老人が証人席に座った。趙東赫の婚約者。
彼女は写真を持ってきていた。色あせたモノクロ写真。
「この人が……私の婚約者、趙東赫です。」
声が震えた。
「1962年3月19日の夜明けに知らせを受けました。亡くなったと。それが最後でした。」
彼女はしばらく目を閉じてから開いた。
「61年間待ちました。誰かが真実を言ってくれることを。」
傍聴席が完全に静まった。
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被告席の韓鍾洙。
彼は二人の証人の言葉を聞きながらうつむいていた。
弁護人のカン・ドユンが言った。
「被告人は当時若い年齢であり、その後60年間、社会に貢献してまいりました。」
検事が言った。
「被害者はその若い年齢で亡くなりました。被害者には60年がありませんでした。」
韓鍾洙は何も言わなかった。
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最後の陳述。
裁判長が被告人に発言の機会を与えた。
韓鍾洙はゆっくりと顔を上げた。
傍聴席が息をひそめた。
「私がやりました。」
その一言が法廷の中に静かに響いた。
「1962年3月18日、私が趙東赫を殺しました。言い訳はしません。」
彼はしばらく息を整えてから続けた。
「61年間隠れて生きました。罪悪感がなかったといえば嘘で、十分に償ったとも言いにくい。」
「趙東赫に、そして呉美子さんに、申し訳ありませんでした。」
呉美子が傍聴席で涙を流した。
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判決。
裁判長が言った。
「被告人・韓鍾洙に懲役20年を言い渡します。」
法槌の音。
傍聴席がざわめいた。軽すぎると言う者もいた。その年齢で20年なら事実上終身だと言う者もいた。
韓鍾洙は判決を聞きながら目を閉じた。
そしてまた開いた。
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裁判が終わった後。
承勲は廊下に一人で立っていた。
在俊が近づいてきた。
「どうだ。」
「わからない。」
「終わった。」
「うん。」
二人はしばらく廊下に並んで立っていた。
在俊が言った。
「鄭成浩さんが亡くなる前に証言してくださった。よかった。」
「うん。」
「呉美子さんも。」
「うん。」
承勲は法院の建物の外を見た。
春の陽光が降り注いでいた。
*趙東赫。*
*聞こえた?*
その言葉が声もなく、心の中で漂った。
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収監。
韓鍾洙は刑務所に入った。
最初は適応が難しかった。当然だった。80年を自分の思い通りに生きてきた人だった。
しかし時間が経つにつれて変わった。
刑務所の図書館で本を読んだ。手紙が来た。道峰グループの元職員たち、その家族から。
「会長のおかげで私の父が定年まで働けました。」
「道峰奨学財団のおかげで大学に行けました。」
韓鍾洙はその手紙たちを読みながら長い間座っていた。
*善行は罪を覆い隠せない。*
それはわかっていた。
*しかし誰かには意味のある人間だったんだ。*
その考えが静かに降り積もった。
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2028年秋。
韓鍾洙は刑務所の病院で診断を受けた。
急性白血病。
「残された時間は長くありません。」
医者の言葉だった。
韓鍾洙はその言葉を聞いてしばらく天井を見つめた。
*死ぬんだ。*
その考えが怖くなかった。むしろ静かだった。
*いよいよ本当に終わりだ。*
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法院は末期の状態を考慮して仮釈放を許可した。
韓鍾洙の最後の願いは一つだった。
「聞慶で死にたい。」
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聞慶。
春が始まっていた。
韓鍾洙は私服姿で子供の頃に走り回った野原に立った。
歩みが遅かった。体がかなり弱っていた。
しかし歩いた。
野原を横切り、古い畦道を沿って。
風が吹いた。春の匂いがした。
*子供の頃、ここで遊んだな。*
*趙東赫もここで遊んだだろう。*
その考えが初めて、逃げずに降り積もった。
そしてその瞬間。
見知らぬ顔が野原の端に立っていた。
アンナだった。
白いシャツ。黒いコート。歳月をかわしたような姿。
韓鍾洙は彼女を見た。
「久しぶり、鍾洙。」
アンナが先に言った。
「うん。」
二人は野原の真ん中で向かい合って立った。
しばらく沈黙が流れた。
韓鍾洙が言った。
「お前はずっと言ってたじゃないか。裁きは真実に従って来ると。」
「うん。」
「来た。」
「うん。」
「俺はどうなるんだ。」
アンナはしばらく考えてから言った。
「それは私にもわからない。」
「わからないって?」
「200年生きたけど、死の向こうは私にもわからない。それはお前が直接わかることになるよ。」
韓鍾洙はその言葉を聞いてしばらく笑った。
久しぶりの笑顔だった。
「趙東赫に申し訳なかったと伝えてくれるか?」
アンナはしばらく黙ってから言った。
「直接して。そこへ行けば会えるはずだから。」
韓鍾洙はその言葉を長い間見つめた。
「そうだな。そうしよう。」
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ホスピス病棟。
承勲が訪ねてきた。
采恩と一緒だった。そして小さな赤ちゃんを抱いていた。
韓鍾洙はその様子を見てしばらく止まった。
「孫娘か?」
「はい。」
采恩が赤ちゃんを近づけて見せた。ふっくらとした頬。好奇心に満ちた目。
韓鍾洙はその赤ちゃんをしばらく見つめた。
「名前は何だ。」
「まだ決めていません。」
韓鍾洙はしばらく考えてから言った。
「東亜はどうか。」
采恩が聞いた。
「東亜ですか?」
「東赫の名前から取ったんだ。あの子に申し訳ないから。」
部屋の中にしばらく沈黙が流れた。
承勲は何も言わなかった。
韓鍾洙が言った。
「承勲。」
「はい。」
「俺を追い詰めたことを恨んでいない。お前が正しかった。」
承勲はその言葉を聞きながら窓の外を見た。
「恨んでいたんじゃないんです。真実を明らかにしたかっただけです。」
「わかってる。」
韓鍾洙は目を閉じてから開いた。
「それでも……あなたは俺の祖父でした。」
韓鍾洙の目が潤んだ。
「そうだ。そうだったな。」
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数日後。
世英も訪ねてきた。
彼女は病室の扉を開けて入りながら言った。
「おじいちゃん。」
韓鍾洙は世英を見た。
世英は椅子を引いてベッドの隣に座った。
「ご飯は食べましたか?」
「おかゆを食べた。」
「おいしかったですか?」
「いや。」
世英は笑った。その笑みが少し震えた。
「次に来るとき、おじいちゃんの好きなもの作ってきますね。」
「その頃まで生きていれば。」
「生きていてください。」
韓鍾洙は世英を見た。
*この子は本当に心配しているんだ。*
その考えが胸の片隅を静かに触った。
「ありがとう、世英。」
世英はうつむいて涙をこらえた。
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英勲は来なかった。
代わりにビデオレターを送った。
画面の中の英勲はうつむいたまま言った。
「お父さん。どう言えばいいかわかりません。愛していました。尊敬していました。そして裏切られたとも感じました。すべて本当のことです。」
「でもあなたがいなければ私たちの家族もなかったし、道峰グループもなかった。」
「安らかに逝ってください。」
韓鍾洙はそのビデオを一人で見た。
終わってからしばらく画面を見つめた。
*英勲は結局来られなかったんだな。*
その考えが痛くなかった。理解できた。
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2029年5月27日の夜明け。
韓鍾洙の息が荒くなり始めた。
看護師が医者を呼んだ。
世英と承勲が駆けつけた。
病室の中。
酸素マスク。心拍計の音。
世英が祖父の手を握った。
「おじいちゃん。私ここにいます。」
韓鍾洙は世英を見た。眼差しがかすんでいたが、わかっているようだった。
承勲も近づいた。
「おじいちゃん。」
韓鍾洙は承勲を見た。
口が動いた。
声がよく聞こえなかった。
承勲が耳を近づけた。
「……俺……よく……生きたか……?」
承勲はその言葉を聞いてしばらく目を閉じてから開いた。
「はい。よく生きました。」
その言葉が嘘なのか真実なのかわからなかった。
しかし今この瞬間、それが必要な言葉だった。
韓鍾洙の口の端がごくわずかに上がった。
そして目を閉じた。
心電図の音が長く鳴った。
ピー——。
世英が泣き崩れた。
承勲はその場に立って目を閉じた。
*趙東赫。*
*聞こえた?*
*祖父が申し訳なかったと言った。*
*もういい。*
その言葉が声もなく、心の中で漂った。
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葬儀。
静かに行われた。
英勲と三人の娘、世英、承勲と采恩。
赤ちゃんの東亜も抱かれて来た。
道峰グループの役職員の一部が訪れた。元職員も何人か来た。
墓地は聞慶だった。
韓鍾洙の最後の願い通りに。
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墓地の前。
承勲はしばらく一人で立っていた。
春の陽光が降り注いでいた。
*祖父。*
*あなたは罪を犯しました。それは変わりません。*
*しかしそれだけがすべてではなかった。*
*趙東赫に申し訳なかったと言いました。法廷で直接。*
*それがあなたが最後にできたことだったでしょう。*
在俊が隣に近づいて立った。
何も言わなかった。
二人はしばらく並んで立って墓碑を見つめた。
在俊が先に言った。
「これからどうする。」
承勲はしばらく考えた。
「弁護士の仕事。そして生きていかないと。」
「そうだな。」
「在俊。」
「うん。」
「ありがとう。ここまで一緒に来てくれて。」
在俊は何も言わなかった。
ただ頷いた。
それで十分だった。
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その夜。
家に帰りながら承勲はずっと前のノートを取り出した。
2019年。聞慶の旅館で書いたもの。
*俺は逃げない。*
そしてその下に。
*目的:真実。*
*趙東赫。韓鍾洙。1962年。*
*まだ終わっていない。*
承勲はその文たちを長い間見つめた。
そして最後の行の下にもう一行を書き加えた。
*2029年。終わった。*
ノートを閉じた。
窓の外にソウルの夜が広がっていた。
遠くで灯りたちが揺れていた。
*趙東赫。*
その名前が最後に、静かに降り積もった。
*今は安らかにいて。*
承勲はノートを机の引き出しに入れた。
そして立ち上がって部屋を出た。
居間で采恩が東亜を抱いていた。
「帰ってきた?」
「うん。」
采恩は東亜を差し出した。
承勲は赤ちゃんを受け取って抱いた。
温かかった。
東亜が目をぱちぱちとさせながら承勲を見た。
*東亜。*
*趙東赫から取った名前。*
*お前はその名前を持って生きていく。*
*いい世の中で。*
承勲は東亜を抱いたまま窓の外を見た。
ソウルの夜が深まっていた。
そしてどこかから春風が吹いてきた。
最終話を読んでくださり、ありがとうございます。長い旅でした。1958年から2029年まで。趙東赫という一人の人間の名前が、この物語のすべてを引っ張ってきました。「今は安らかにいて」という承勲の最後の言葉——それがこの物語の答えでした。読んでくださったすべての方に、心から感謝申し上げます。




