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金魚が家族ってちょっとヘン?  作者: 陸 なるみ


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7/20

名無しの忍者ヒシくん

今回は、大水槽に来る前の庭の水鉢でのことのご紹介。


 2021年の10月末、職場の池から掬って、庭の水鉢に5匹の金魚を入れました。

 まだ天気は穏やかで、沈めた植木鉢と木賊《とくさ》の茎の間を思い思いに泳いでいた黒い稚魚たち。


 私が水鉢に近づくと一旦は隠れますが、しゃがみこんで静かにしていると、1匹2匹と顔を見せます。

「安全だぞ」とサインを送り合っているのかどうかわからないのですが、ひとりが安心すると、5匹ともが代わる代わるやって来て。


 秋の日差しが浮草や水草を透して底まで照らして、いつまででも眺めていられました。

 家の中の小水槽のダイとギンより長く眺めていたと思う。


 水面に上がってきて元気に泳ぎ回る限り、まだまだ冬眠する気はないのでしょう、餌を少しあげることにしました。

 最低気温は12℃前後、「10℃を切ったら餌はやめたほうがいい」というアドバイスもネットにありましたが、うちの子たちあまりに活発、もらった餌を食べ残すつもりもなさそう。


 毎朝午前8時半。

 水鉢の横に座り込んで数えること30。

 今日は誰が一番に上がってくるかな?


 似たように黒い5匹のうち、最初に区別がついたのはリロワンです。

 体長2センチちょっと、外での冬越しが可哀想かもと思うほど小さい。

 でも好奇心旺盛で、「ご飯が浮いてる?」とちゅっと水面に上がってくる時に、メダカのように目がきらりんと輝いたりして。

 そんな日は何か素敵なことがありそうで、一日いい気分。


 次に覚えたのはテンコ。

 5匹とも黒い中で、額の右に赤い点があると気づいたから。

 その上テンコは食い意地が張っていて、よく水面に現れたのです。

「コイツ、ふてぶてしくない?」ともうその頃から感じてました。


 テンコよりちょっと大きくて点が無いのがヌシ。

 物事に動じない感じがして「親分」という意味でヌシに任命しました。


 スリムで、餌をパクッと口にすると、すぐくるりと方向転換して背中を向けるのがシャーク。背びれを水面からぴんと出してくれたらそっくりだろうな。


「5匹いるはずだから、みんなが餌を口にしたら仕事に行こう」と思っているのに、いつも最後の1匹が未確認。他の誰かと混同してしまっているらしい。


 ーーーーもしかして、忍者なの?


 身体のサイズが一回り違うので、リロワンと見間違えることはなかったのですが、他の4匹は、すっと泳がれると識別できないことも多くて。


 そうこうするうちに寒さも厳しくなって、餌をあげるのは止めてしまい、金魚たちも底に沈んだまま。

(鉢の深さは27センチ程度)


 それで忍者魚には名前をつけられないまま春を迎えることに。

 冬眠中は身体中黒かった5匹も、春が来ると少しずつまだらに赤味が増してきました。


 5匹を水鉢から大水槽に引っ越した時、ほとんど初めて(職場からの輸送中以外)横から魚たちを眺めました。


 ビックリしました。


 ヌシはとにかく太い。

 テンコはしっぽが長い! 上から見てる時は気付いてなかった。

 シャークは横から見てもスリム。

 リロワンは小さいくせに既にかなり濃いオレンジ色。

 そして、忍者。

 横から見たら、形がチガウ。

 流線形というよりも、菱形。

 シャークと長さは同じくらいでも、横から見たら見間違えるはずもない。


「よし、君はヒシくんだ!」


 忍者魚に初めて名前が付いたのでした。





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― 新着の感想 ―
これは飽きないですね(*^▽^*) ヒシくんって名前もカッコいい!!
水鉢! いつまでも眺めていたくなる魅力がありますよね! 忍者魚のくだりに笑ってしまいました いるんだけど、いるはずなんだけど、の様子が楽しい 横から見たら皆違った!というのも面白くて、一緒に金魚たちを…
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