金魚救い/掬いと伝説の金魚クロちゃん
職場で大発生した金魚を自宅で何匹か育てようと決心してから、2021年10月に購入した初心者用金魚飼育セット。(小水槽18リットル)
熱帯魚を飼っている友人に、初めに砂利や水を入れ、フィルターも回しながら3週間置いてから魚を入れること、とアドバイスを受けました。
水質浄化バクテリアが育つのを待つためだそうです。
じれじれしながら過ごした晩秋の3週間、ほとんど毎日、職場の大池に魚たちを見にいっていました。
用具庫のいつもの場所にガサガサ用より一回り大きいたも網もちゃんとある。
これで掬って白いボウルに入れて、連れて帰る子を決めてペットボトルに流し込む。
脳内シミュレーションは完璧。
金魚誘拐当日、予想と違ったのは、たも網に入ってきた魚の数!でした。
大池は金魚だらけなのはわかっていたのですが、軽く掬えば10匹くらいだと想定していたのです。
ひと掬いで30匹以上、釜揚げしらす状態、になりました!
ーーーー何という金魚すくい!
白いボウルに10数匹だけ移して、後の皆は大池に戻ってもらい。
3匹選ぶ予定でした。予定だったのです。
まず、黒い魚たちの中でひとりオレンジの個体。
小さいくせに元気に動き回っている個体。
尻尾の長い個体。
この3匹。
そこで止まれませんでした。
自宅の庭に水鉢があることを思い出したからです。
睡蓮や木賊を育てていたのですが、私はそこで、金魚が育つことを知っていたのです!
それなら、と、戸外で冬越しできそうな大きめの個体4匹もペットボトルに移し、合わせて7匹、自宅へ連れ帰ったのでした。
ここで、庭の水鉢の伝説の金魚クロちゃんの話をせねばなりません。
あれはかれこれ20年ほど前のことでしょうか。
いつも雨水が溜まる底孔のないプラスチックの鉢に、水生植物を育てていました。
睡蓮やらアイリスやらホテイアオイ、などなど。
ある夏の日、夫と友人と庭でだべっていて、その水鉢の水面が動いた気がしたのです。
近づいて覗き込むと、黒くてもごもご動くものがいます。
「ヤゴがいるみたい」と私が言って、「魚っぽい?」と夫。
「え、うそ?」と友人、3人で鉢を覗き込んで。
そこには、真っ黒で、目の出てない出目金みたいな金魚2センチ、が泳いでいたのです。
その水鉢に魚を入れたことはありませんでした。
だからクロちゃんがどこから来たのか私も夫も首を傾げて。
輪をかけて不思議だったのは、クロちゃんは人を恐れないのです。足音にも振動にも、人影にもビクともしない。
その頃は庭に小さな池も作っていたのですが、そっちに住んでるガーデンセンターから買った金魚とは全く態度が違いました。
クロちゃんは、細かくした餌を指に載せて水面に近づけると、あたかも指先から食べるように口を近づけてくれました。
「ここで生まれたんじゃない? だから足音とか気にしないんだよ」
「ってことは、買った水草に卵が付いてきたのかな?」
「そうとしか思えないね」
という結論に至りました。
クロちゃんはそれから数年、私たちの家族でいてくれたのですが、大きくなったので池のほうに引っ越ししてもらったら死んでしまいました。
引っ越しさせた私が殺してしまったということです。
あのまま、大きくなれるところまで水鉢に居てもらえばよかった。
もしくは水質を整えられる水槽へ引っ越してもらえばよかった。
クロちゃんにしてあげられなかったことを全部してあげると決心して、全部で7匹連れ帰りました。
結局、オレンジ色のダイちゃんと尻尾の長いギンちゃんが家の水槽金魚、残りの5匹、ヌシ、テンコ、シャーク、ヒシ、リロワンが庭の水鉢金魚として最初の冬は過ごしました。
水鉢は冬の間数度、水面に氷が張ったので心配だったのですが、春になって沈めていた植木鉢の中に5匹が寄り添っているのを見て感動しました。
そして、彼らも一緒に住める大きな水槽を探し始めたのでした。
あと3匹、シロヒレ、クロヒレ、シッポナガサンを連れ帰ったのは、2022年3月、大水槽を入手してからになります。




