俺様金魚テンコのルームメイト
2024年12月29日初出
2026年2月25日改稿
大水槽から中型水槽へ引っ越しする子を決めるのは困難を極めた。
何と言っても俺様イジケ魚のテンコと同居するのだ、どんな金魚にも荷は勝ちすぎる。
体長5センチ、和金にしては長い尾びれを得意げに揺らすテンコ、餌は独り占めしたいし、イラつくと壁に映った自分の姿とケンカを始める。
大水槽10匹所帯でイジケていたのは、リーダー格のヌシが団体生活を教えようとした結果かもしれない。
隔離したテンコとそのルームメイトのための新居、60リットル中型水槽に砂利を敷き水草を植え、隠れ家を作りフィルターで水を循環させた。
水質が落ち着くまでの1週間(水道水ではなく大水槽の水を使ったので短期間)、「誰ならテンコと暮らせるんだ?」と逡巡。
テンコより大きすぎず、小さすぎない魚がいい。
候補はヒシ、ダイ、シャークの3匹。
元忍者のヒシはテンコに負けず活発。
ダイは浮いている餌は食べないほどシャイ。
どちらもテンコに合わない気がした。
ーーシャーク。
シャークとテンコは最初の冬を庭の水鉢、その後を大水槽で、ずっと共に過ごしている。お互い慣れているはず。
居間のソファの真ん前に置いた新水槽に、全身オレンジの尻尾の長いテンコと、まだら模様のシャークがゆらゆら泳ぐのは、見ているこっちも嬉しい、よく似合うと思った。
テンコがシャークを敵認定しないように、先にシャークを引っ越した。
翌日、小さな隔離水槽に居たテンコをシャークに引き合わす。
ふたりはルームメイトとして、うまくやっていけるだろうか?
なぜだか理由はわからないのだが、直感に狂いなく2匹は絶妙なコンビになり、現在に至るまでイジメもイジケも起こっていない。
並んで泳いでいたり、知らんぷりしていたり。
ただ眠くなると決まって、寄り添ってぷかぷか水中を漂う。
テンコは食事時だけはやはりテンコで、ちゃぷちゃぷ音を立てて浮いている餌を全部口に入れようとするのだが、シャークはそれを咎めだてしない。
3歩下がって眺めている。
そしてテンコが逃した餌を待ち構えて悠々と食べる。
テンコはそれが悔しくてシャークを追いかけるのだが、シャークも慣れたもので、追われついでにさらに餌をキャッチする。
幸せなのだろう。
その証拠に更紗模様の美人金魚とは思えないシャークの特技がある。
育てている10匹の金魚のうちダントツでーーーー
たなびかせるフンが長いのだ。




