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10.31 21:00

@ Shibuya Scramble Crossing



「見た見た?久遠の!イベント行くの辞めてスクランブル交差点行くでしょ?

 絶対混んでるから早めに行った方がいいのかなー?」

 

「去年は交通整理が入ってて立ち止まるの禁止だったけどどうなるんだろー?

ハロウィンだからゾンビとか出ると思う?リアルすぎたらキモいし怖いけど見たいかも」

  

「えー?久遠だからゾンビとかしょぼいことしなくない?

 もっと壮大な感じで一気に時空の穴が開いてモンスターとか出てくるんじゃない?どーーーん!!って」


  

「「なにそれーーー!」」



午後もそれなりに過ぎ、日が沈むにはまだ早い時間。

翔太は暖房が効きすぎたオフィスからいつも通りの雑踏に紛れて、ビル内に無いコンビニまで頭の切り替えも兼ねて昼飯を買いに来ていた。


ここでもその話か。


周りで騒ぐ女子高生を横目に売れ残っていた弁当を適当に手に取り、レジへと向かう。



暑さもやっとひと段落して人々の興味がハロウィンから始まる年末へのカウントダウンに向けて様々なイベントなどに移ってきた今日この頃。



10代から30代を中心にここ数年で一気に人気を集めた配信者が通勤ラッシュの真っただ中、様々なSNSにゲリラ的な今日行われる次回のイベント予告をUPし話題を集めている。



通勤ラッシュで身動きも取れないような電車の中でも、職場のフロアに向かうエレベーターの中ですら誰かが話題にしているぐらいで、どれだけ注目を集めているのかと気にはなりながらも、今日は日付が変わる前に帰れるだろうかと思う僕には配信サイトを開いて昼飯を食べながら見る余裕もなく、戻って仕事をするんだろうな。とまだ三十路を少し過ぎたばかりだというのに、最早流行りに全くついていけない自分がとんでもない老人になった気分を抱きながらオフィスに戻り、今日はできればハロウィンの混雑に巻き込まれずに帰宅を…


いやもう今日はこの後の渋谷の混雑具合を考えれば、在宅で仕事がしたいと思うが夜に入っているミーティングを思うと無理だと現実逃避を諦めオフィスに帰り、少しでも早く仕事を終わらそうと残りのタスクを頭の中で整理していく。




---



ミーティングを終え、出てきた課題を一旦整理して帰るにしても席に戻るのもだるいとスクランブル交差点を少し先に見下ろす窓辺のカウンターに行きPCを開き作業を始めようとすれば、高層ビルにあるオフィスの分厚い窓ですら防げない音量で最近よく聞くイントロと地響きのような歓声が聞こえてくる。



時刻を見ればPM 21:00

そういえばゲリラライブだったか。と散々騒いでいたのを聞いていたのに、昼飯の後は仕事に忙殺されて記憶から消えていた。


せっかくだから話のネタに少し見てから仕事をしても罰は当たるまい。と高みの見物になったが人ごみの中から上を見るのではなく、ほとんど誰もいないオフィスの窓から外を見ればスクランブル交差点に乱立する巨大な液晶ビジョンに影絵のように人気配信者の姿が映し出される。


かなり大きめの扇を持ち日舞を舞い踊る姿と歌声に合わさって、CGかAIで作ったのか不可思議な世界の映像が液晶ビジョンから溢れ、スクランブル交差点全体に広がっていくプロジェクションマッピングに少し心を躍らせる。



どこの国とも言えないがどことなく懐かしさも感じる平安時代などの昔の日本的な建築物と異国情緒な街並みが組み合わさったような不思議な景色が渋谷の見慣れた街を別の景色に変えていく映像に交差点を満員電車以上の人ごみにしたハロウィンに集まった人々が歓喜し、渋谷中に聞こえるんじゃないかというぐらいの歓声を上げている。


プロジェクションマッピングがまるで平面ではなく立体化しているように映し出された景色の窓から妖か物の怪なのか生き物のように動くものが居ることに気づいた一部の人々がより熱狂し始め、上から見ると人々が渦のように動いて映像とシンクロしているようにも見える。



そして、先ほどよりも大きい地鳴りのような音が鳴り響き、地面が揺れ、スクランブル交差点を囲むように立っている商業施設が伸び、まるで意思を持って人々を包み込もうとしているかのよう蠢きだした。


目の錯覚でもここまでの技術はすごいと思っていれば、人々が叫び逃げまどっている様子が見える。


何が起こっているのかと考える間もなく、蠢き倒れこんでくるかのように動いていた商業施設の上を人々を守るように巨大な光る蛇が走っていく。


そして、蛇が鎖の如く連なり鳥かごを作るかのように編みあげられて行ったかと思えば、上から幻想的な花火とはまた一味違う狐火のような光が月のない空を鮮やかに染め、大人が何人も乗れそうなファンタジー要素しかない梟が一気に斜め向かいにある高層ビルに飛んで行った。



梟がビルに当たったかと思えば、そこにはまるで透明なスクリーンがあったかのように突っ込んで行ったあたりから壊れた文字と光が降り注ぎ、あっという間にすべてを呑み込むような眩い光に変わる。



あまりの眩しさに目をつむる。


プロジェクションマッピングはいつの間にこんなに進化したんだ?とぼんやり考えながら目を開ければ、身動きも取るのも難しそうだったスクランブル交差点からすべての人が消えていた。


気分転換に先に書ける方から書いてます。


最後まで読んでくれてありがとです!

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