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S.31『士気下がる演習。』

遅れてすみません・・・次は多分一週間以内に出せるかなと思います。


 「探せ!」

「どこにいる・・・・」

「お~い、出てこ~い!」

「いたら返事をしてください!」


 マミヤの船員や保育室の子ども達、軍港の海兵までもが揃って声を上げる、


こんな状態が、かれこれ三時間続いていた。

捜している人物はマナ・ロザリンド、戦病みかも知れないと診断を受けたばかりだ。

そのマナがいなくなった。早く見つけ出さないとどうなるか分からない、


「おい、キザキ、見つけたか?」


アールだった。


「見つけてたらこんなとこウロウロしてない」

「だよな」



時間を戻す、


船長の持つ、元海軍大佐と言う肩書きで特別にエルヴィナ海軍 ルード基地、もとい軍港に入る事を許されたマミヤ様御一行は船が直るまでの間ここで停泊することになった。


船体に穴の開いたり、根元からポッキリいった荷吊り用のクレーンは突貫工事で直しただけでグラグラのままだったりと損傷の具合は思いの外酷かった。

こんな具合でよくこれまで会社が倒産せずにやってこれたもんだと少し感心する。もしかしたらたまたま不運が続いただけかも知れないが。


まぁ、そこまではいいのだが、


「よーし、皆聞け~!今から第四艦隊と合同演習をする!」


船長が船員全員を集めて唐突にそう言った。

それに対する皆の反応はというと「何言ってんだ?この人」だった。

海賊相手の戦闘で船はボロボロ、船員も疲れている、オマケに借金ダルマ・・・・・そんな状況で船員たちの士気が上がる要素なんて一つもない。それどころか今の一言で空挺部隊員も真っ青の急降下だ。


「何でまたこんな時に演習なんてするんですか?てか船壊れて動けませんよね?」


後ろのほうにいた船員の一人が気だるそうに手を挙げて質問する。軍隊だったら殴られても可笑しくないほど覇気のない様子だ。


「今回の演習は室内戦闘を想定したCQB(近接戦闘)の演習だ。用意したセットの中でやって貰う。あと、こうなった経緯だがな・・・・」


その日、船長は元部下で現第四艦隊長のボードル大佐と基地内の酒場で昔話をしながら一緒に飲んでいたそうな。


酒と話しが進むうちに「どちらの船が強いか」と言う話になってお互いに「俺らの方が」と言い合う内に引き下がれなくなり、現在に至ると言うわけらしい。


更に士気を落としかねない発言だ。




「失礼します。」


船長に呼び出された木崎はドアをノックして部屋に入る


「おお、キザキか、入れ入れ」


そう言って手招きをして椅子に座らせる。


「何ですか?」

「ああ、マナ・ロザリンドの事だが、今回の演習に参加させようと思う」

「・・・・はい。」


「何言ってんですか!?」と、机を叩いて大声で言いたい衝動を抑えてなんとかぐぐもった返事を返す

何度も言うが、マナは戦病、もといPTSDになっているかも知れない、そんな状態でさらにストレスをかけるというのだ正気の沙汰とは思えなかった。

が、船長には船長の考え方が在るのだろうと思い先を続けてもらう。


「ロザリンドは戦病かも知れないと、穀潰しニーー・・・・じゃなくて船医のキリナが言ったな」

「はい、」

「そこのところをハッキリさせるためと言うのが一つ目の考えだ。」

「もう一つあるのですか?」

「ああ、いささか強引だとは思うが、ショック療法レウハフを試そうと思う。実際にそれで症状が緩和した実例もある」

「早すぎやしませんか?もっと慎重にした方が」


木崎もテレビの特集でサラッと見た程度たが、実際にPTSDに対するVR(仮想現実)技術を用いたショック療法が存在する。

だが、あくまでその手段は何度も慎重に検査を重ね、しっかりとしたシーケンスを経た上で行うものだ、決して思い付きでやっていいものではない。


「そら、時間をかけて治療した方がいいというのもわかる。それにうち(マミヤ)は借金ダルマだが、仕事が入らんから時間だけは腐るほどある」


自分で言ってて悲しくならないのだろうか?

少なくとも木崎は真面目に転職を考えることがある。勿論、現在進行形でだ

「時間があるならゆっくりと慎重にすべきでは?」

「二年前に5人、三年前は4人、五年遡れば両手の指では数え切れん。」

「?」

「戦病みの患者とその治療に当たって死んだ人間の数、これでもこの仕事では少ない方だ」


あくまでも個人の考えだ。PTSDに限った話ではないが、この手の病は治療する側にも危険が及ぶ可能性が高いと思う。

先にも言った通り、PTSDの治療には鍵が恐怖の克服」が重要だ。

その過程で恐怖の対象に触れずに治療すると言うのは不可能に近いだろう。

実際、米軍のスナイパー、クリス・カイル氏は射撃場にてPTSDを伴う元海兵隊員に射殺されている。


あくまでも静かに言う。


「だからこそ、慎重になるべきでは?」

「確かに、最悪今より悪化する可能性もあるが、長くなれば周りを巻き込んで自殺なんてこともあり得る・・・それなら一か八かって事だ」

「もし、悪化したらどうするんです?」

「仕事を辞めさせる」


ただでさえ危険度が高いのに、段階を経ずにいきなりショック療法に入るのはどうかと思う。

だが、船長の言うことも間違いでないし、幾ら時間があるといっても、有効な薬の無いこの世界で何年もかけて治療に当たるのも負担が増えるし、会社とてそこまで面倒を見る義理もないと言うのも確かなので、


「分かりました。」


と、言うことで士気がだだ下がった状態で海軍との合同演習を行うことになった。
























































































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