s,18『New マミヤ』
「おお、デカいな・・・」
港に入ってきた巨大な船を見てつい口に出してしまう。
『間宮改』正式に決まった名前ではないが木崎はそう呼んでいた。
設計をしているときはこんなものを創ってたなんて実感さ無かったが、改めて見ると凄く大きい。
全長112メートルの船体に三島型の艦橋その後ろには大きな煙突が付いており、黒煙をモクモクと出している。装填は手動でイージス艦の艦載砲のように速射はできないが、二連装の5インチの気砲が二門に後方甲板に付いた大きな荷出し用のクレーン。
やはり乗り物と武器と巨大ロボットは漢の浪漫である。
船員達は穴だらけのマミヤの甲板から間宮改を見て歓声をあげる。
「おいキザキ、お前が設計したんだよな?」
アールがマミヤの10メートル程前に接岸した間宮-改を見上げながら聞いてくる。
「ああ、皆に手伝って貰ってな。」
「なあ、この会社が潰れたら一緒に建築会社を、運営しよう、上手くやりゃあボロ儲けだぜ。」
「そんな簡単にいく訳ないだろ?」
「でも今の会社の状況を見てみろよ、ただでさえカッツカツだったのに更に10億の借金・・・たとえ夢みたいな話でも先を考えるのは大切だぞ?」
できたてほやほやのマミヤの前で倒産した時のことを考えるのはやめてほしい。
だが、いくら新しい船を喜んだところで会社の財政難がどうにかなるわけでもない。アールの言うとうり会社が倒産した時の事を考えておくのも大切だ。
-HAL●ード学園とかフ●テレビみたいなな地球にあった奇怪な建築物を造って有名になれば億万長者もあり得るか?-
木崎はそんなことを考えた。
「アール、建築会社もいいかもな!」
「おお、そうだろ!!」
2人のゲスな会話は拍手と歓声に掻き消されて周りには聞こえなかった。
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「これはそっちだ。」
「ほら、サボってないで運べー」
船長の指示に従って間宮改に武器や弾薬、食料などをを運び込む。
「ラルゴ、そっち持ってくれ。」
「ヤダ。」
・・・相変わらずである。
運ぼうとしているのはマスケット銃のような長い気銃が5丁入った150センチ程の木箱である。一丁5キログラムぐらいなの合わせて25キログラム。一人でも持てないことはないが、バランスを崩してあちこち当てたくない。
「お姉ちゃんそんなこと言ってないで持ってあげたら?嫌われちゃうよ?」
エレナが通りかかり、ラルゴに言う。
「・・・わかった。」
不承不承といった感じで了解する。妹に弱いのも相変わらずだ。
武器や弾薬の運び込みが終わり各係でのミーティングが始まる。
割と広めの船室に20人ほどが集まる。
「この新しい船はかなり複雑な構造をしている、侵入したネイヴや海賊などに占拠されにくくするためだ。」
警備係り長のワグドが言う。
船内は何本もの通路が交わって迷路のようになっている、設計するときに敢えてそうしたのだ。
複雑な構造であれば侵入者が来たときに足止めにもなるし、構造を知っているこちら側は有利に戦える。テレビ局や空港なども同じようにテロリストなどに占拠されにくいよう複雑な構造をしている。
「まぁ、船内で迷わないように各自で確認しておいてくれ。警備体制はこれまでと変わらず1班と3班は日中2班と4班は夜間の警備だ。」
船内の地図を机に広げて皆に見せる。
「次に班を決める。班長はもう決まっているから、呼ばれたら班別で集まって番号を決めてから自己紹介でもしててくれ・・・1班、班長ワグド、俺だ。班員はドルフ、ゲイル、ユリア、クリスの五名。2班の班長は・・・・・・」
ワグドが順番に名前を呼んでいく。
3班の班長はキザキ、班員はアール、ラルゴ、シルフィー、マナだった。
その後、班別に別れて番号を決める。その方が色々と便利なのだ。番号は「呼ばれた順でよくない?面倒くさいし、」というラルゴの意見で、1番キザキ2番ラルゴ、3番アール、4番シルフィー、5番マナという順になった。
「え~と、取り敢えず自己紹介するか・・・」
4人中3人は大体知っているが改めて自己紹介する。
「俺はアール・シュタイナーだ好みのタイプは・・・」
アールが簡単な自己紹介をする。
「誰もあんたの好みなんて聞いてないし、聞いたところで鐚一文の価値もない。」
「うっせー!!」
シルフィーはアールに毒を吐いたあと自己紹介を始める。
「私はシルフィー・レムナンドよろしく、」
「私はラルゴ・ブラウン。」
「俺は木崎耕助だよろしく。」
「私はマナ・ロザリンドです、よろしくお願いします。」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「アール、何でもいいからこの場を盛り上げて。」
「なんでオレ?」
取り敢えず自己紹介は終わったが話が続かない。
-気まずい・・・。-
その後、三十分ほどそんな空気が続いた。
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「マミヤの新しい船の進水を祝って、かんぱ~い。」
「・・・・・・」
船長がジョッキを片手に台の上で音頭をとるが声が虚しく響くだけだった。
仕事が終わり、船ができたことを祝して間宮改の食堂で小さいながらパーティーをしているのだが・・・
「進水じやなくて浸水の間違いだろ?」
「パーティーやってないで仕事見つけろよ・・・閑古鳥が鳴きっぱなしなんだから。」
「帰っていいですか?」
みんな乗り気でなく、集まったのは20人程度でほとんどの船員は安上がりな外食である。
そう、全く仕事が無いのである。
なぜ仕事が入らないのか、港が使えないからである。
ネイヴの襲撃後、街の復興はものすごい早さで進んだものの、港の被害は大きく関税としての機能が回復していない。
許可さえ取れば出港はできるのだが、船を新しくして一番初めの仕事は母港で請けるというのが慣例らしい。
と言うわけで仕事が無いのだ。「閑古鳥の群生地レベルで仕事が無いのにそんなことを言っている場合か?」と言いたいが、船乗りの伝統みたいなものなので無視する訳にはいかない。
「え~と、新しい船の船名を発表します・・・マミヤです!!」
「同じじゃねぇか」
「もっとマシなのないの?」
船長が船の名前を発表するが返ってくるのは冷たい反応ばかりである。そうすると船長は嫌々ながら仕事の話をした。
「はぁ・・・パーティーの時に仕事の話はしたくないが・・・仕事を請けたぞ・・・」
「「オオオオーーーー」」
パーティーが始まってから一番盛り上がっている。何というか、何とも言えない。
「船長ー仕事って何ですか?」
「護衛だ・・・貴族の。」
船長は何故か乗り気でないみたいだが、そろそろ船員各々の財布事情もキツいので良いことだ。
誤字脱字は見つけ次第修正致します。




