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第2話 楽聖国家
私の所属していた国は、楽聖国家と呼ばれていた国だった。
貴族よりも、領主よりも、楽聖と呼ばれる人が権力を持つ国だった。
楽聖。
音楽を奏でる技術に長けた彼らは、強大な恩恵をもたらす音魔法を操り、様々な奇跡を行使する。
だから、生身の人間百人よりも、楽聖一人の命の方が重かった。
戦いの最中では、楽聖一人の命を救う為に、何百人も犠牲になる事がよくあった。
そんな楽聖国家は、世界救世の意思を掲げて、他国を侵略してまわっていた。
肉の器を捨てて、精神体になる事でこの世界に住む人達を救う事を目的とした彼らは、敗北した国を統治することなく、捨ておいた。
壊された街並みの中で途方に暮れる住人に手を差し伸べる事はせず、利用できるものだけを略奪していく。
それどころか、余力が残っているようなら、再起不能になるまで徹底的にいためつけていた。
見の毛のよだつ行いだと思う。
だが、軍人として国のために行動していたあの頃の私は、自らが所属する国家の行いに、何の疑問も抱いていなかった。
彼等に、オルタライズと、キャロンディールに会うまでは。




