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第1話 クオン・リューザー
クオン・リューザーという人物を一言で説明すると、不愛想な人間になる。
または、融通が利かなくて頑固、気の抜き方を知らない人間とも言えるだろう。
そんな私だから、規律を守る人間としては期待されるのは当然だったはずだ。
周囲の期待に押されるようにして、志願して入った軍の隊長になった。
ここで話はとぶが、少々つきあってもらいたい。
この世界は終わりの見えた世界だ。
四方から押し寄せる壁によってやがて圧殺される運命にある。
それだけではなく、正体不明の蝕という化け物に困らされてもいた。
遠い昔、業火によって大地が焼き払われることがなければ、こんな事にはなっていなかっただろうが、今更だ。
大地消失を経て、世界は必要最小限の区画の維持に奔走する事となる。
けれどもそうして守った生存圏も、原因不明の壁により圧殺されようとしている。
私はそんな現実を、少しでも何とかするために、軍に入る事を決意したのだ。