第七十二話 再発
最近忙しくて……すみません。
俺は一体いくつ能力があるのだろうか。
「ふっ……。面白いな。お前の能力については謎が多い。プールのときもそうだ。条件が二つだって知っていたみたいだった」
「あんたがlockerで見せたんでしょ」
唯果は今にも飛び掛かりそうなほど興奮している。それに対し神は首を横に振るだけだった。
神は俺を見る。
「あのことにお前が気付いたときは流石だと思ったな」
そいつは笑った。
「あのときはまだこうなるとは思っていなかったよ。まあ全部計画通りだったが」
俺は怒りを抑えることができなかった。
「今まで仲の良いフリをしていたってことか。コロシアムに行かせたのも、王子に俺を殺させるためだったんだろ、クズが」
「そのときは何も疑ってなかっただろう? まあそういう風に仕組んだのだが……ふふふ」
「ふざけやがって……。俺はあんたに騙されてたわけだ。流石は神様だな、クソ!!」
俺は神に向かって炎を放った。避けられるなんてことは分かっている。
続けて、炎生成をわざと失敗して氷柱を生成し、飛ばす。連続で五本ほど飛ばしたが、神はすらすらと躱していた。
「その程度か、幻滅したぞ」
神の発言には腹が立つが、何をしても掠り傷一つ付けられず自分の息が上がっていく一方だった。
長時間走っても平気だったのだが、ほとんど動くことなく能力を使っているだけで疲れてくる。おそらく能力を使うのにはかなりの体力を消費するのだろう。
「そういえば、コロシアムでお前が王子と戦っていたときに面白いことがあったな」
そう言った刹那、神の姿が視界から消えた。
「あああああぁぁぁ!!」
すぐ後ろから唯果の絶叫が耳に刺さる。嫌な予感が頭から離れず急いで後ろを振り返った。
神が唯果の左足に氷柱を突き刺していた。
「……何やってんだ?」
体の内側から何かが溢れるように流れ出てくる。
……まただ。あのときと同じ感覚。俺は抵抗もできず、それに包み込まれていく。
「目つきが変わったな。やはりそういうことか」
「――――殺せ。カナンに刃を向けるものをすべて」
これもまただ。目の前にいるのは誰だったか。思い出せない。確かなのは、爆発しそうなほどの憤りを感じていることだ。
体が軽い。俺は気付けば誰かと殴り合っていた。何かを投げ合い、お互い何かが何かから流れている。
互角だった。カナンが痛そうに何かを何かで抑えている。許さない。
「ユルサナイ」
「くっ……! なぜここまでの守護兵が作れるのだあいつは!! こんなところで死ぬわけにはいかない」
何かは俺から逃げていく。逃げた先にはカナン。人質にとるつもりなのだろうか。
そんなことはさせまいと、俺は何かを止めようと全力で走ったが、間に合わなかった。
何かはカナンの何かにかかっているネックレスを引きちぎった。




