第五十一話 救出
受付の人に梓の居場所を聞き、俺達は案内してもらった。
コロシアムには地下があるらしく、そこに梓が監禁されているらしい。
地下に降りた途端に空気が変わる。雑に作られていると一目で分かってしまうほど凸凹な石壁。暗くてほとんど見えない通路。映画でこのような所を見たことがある。宝が眠ってそう…………いや、あるわけがない。
受付の人がライトを持って先頭を歩き、俺と唯果は後ろからついて行く。
こんな所に閉じ込めているのかと思うと腹が立つ。
会話はなく、コツコツと足音だけが通路に響き渡る。
しばらく歩くと、前方に扉が見えてきた。鉄で出来ている。
「ここです」
受付の人がポケットから鍵を取り出し、扉に空いている穴に差し込んで捻る。
ガチャンッと音を立てて鍵が開いた。
扉を開けて中に入る。電気は通っておらず、物が一つもない。
ほとんど真っ暗な部屋の隅で梓が膝を抱えていた。
俺と唯果は駆け寄った。
「梓!」
「先輩!」
声に反応して梓は顔を上げる。目が赤い。さっきまで泣いていたのだろう。
「……硬大……くん、唯果ちゃん…………うっ」
立ち上がろうとしたのか、前へ両手を付いたときに呻き声を出してうずくまった。
「大丈夫ですか先輩!?」
俺は舌打ちする。
あの王子、梓に何しやがったんだ。
「怪我しているのか? 何された?」
「え……い、いや……そうじゃなくて」
しかし俺の心配は杞憂に終わった。
「………………ト……トイレ……」
――――しばらくして、硬大達はコロシアムを出た。ファンとの戦いで硬大は怪我をしているが、おそらく大丈夫だろう。
ほとんど治っている。
外はまだ暗い。
「どこか休めるとこはないのですかお兄ぃー!」
「唯果はテンション高いから大丈夫そうだな。梓はどうだ? 大丈夫か?」
「うん、十分休んだよ。暗くて寒くて床固くて誰もいなかったけど」
休めていないらしい。
ははは、…………とても辛そう。
少し疲れているように見えるが、地下にいたときよりかは大分元気が戻っているみたいだ。
「すまないが、休むところがないんだ。……あ、もしかすると女王様にお願いすれば泊めてもらえるかもしれない」
「てかそこ私の家だしー。最悪私だけでも部屋で休むからー」
こいつ最低だよ。
「冗談だよー! それじゃー私の王国目指し」
「あ、唯果様! そうだ唯果様!! サインください!!」
いきなり梓のテンションがMAXになった。目がキラキラしている。
「え、え? なに? ……あ、正体バラしちゃったのかー私ー!」
「大丈夫だ、俺が教えたからな」
「全然大丈夫じゃなぁーい!! ちょっ、先輩落ち着いて下さいー!!」
しばらくして硬大と梓は唯果に掴まり、三人は跳んで行った。第四王国に向かって――――――うむ。あいつがコロシアムに着いたときからずっと見ていたが、これは予想以上にマズいな。ナレーションなんてしている場合ではない。
失敗に終わったか。まあ、初回ではこんなものなのだろう。
次は成功させる。
この火星はあいつを殺すために使おう。気になるところは調べなくてはな。失敗作を止めるには必要なことだ。
「おっと、忘れていた」
私は、我が王国の女王の隣に姿を現した。といっても私はどこの王国の神でもない。では一体、どこの神なのだろうな……くく。




