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locker  作者: いつわ
四章
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第四十九話    逆転

様々な事情があって遅くなってしまいました。すみません。

なんだか謝ってばかりな気がします……。

かなり今更ですが、前書きの使い方って合っているのでしょうか……?

 どす黒い感情が渦巻く。

 殺せ。カナンに刃を向ける者をすべて。

 目の前にいるのは誰だっけ?

 おかしいな、忘れてしまった。それに視界がぼやけてよく見えない。だが、殺す必要があることは確かだ。

「どうした、やる気になったのか? 王女様がやられて機嫌が悪くな――――があっっ!?」

 何かが何かを言っていたが、俺には聞こえない。

 何かの何かを掴んで下に叩きつける。奇妙な音を発して何かは動かなくなった。なぜ? もう一度叩きつければ動く?

 そこに転がっている何かの何かを掴んで持ち上げる。何かから何かが流れている。下に叩きつける。

 ……何かは動かない。

「た……いちょ……」

 カナンの苦しそうな声。助けないと……。

 コロセ。カナンニヤイバヲムケルモノヲスベテ。

 コイツヲ――――ヤキツクセ。

 ……硬大は足元で倒れているファンに手のひらを向けた。立場が完全に逆転している。手からは炎が生成されていた。

 超能力は使えないはずなのに。

 しかし硬大はそのことに気付いていない。当たり前のように炎を生成し、扱う。

「……な……に…………も……の……」

 口を開くことすら出来ないはずのファンが声を絞り出して問う。硬大が一回戦のときから言われてきた言葉。それを第二王国の王子が怯えを隠すことなく口にし、問うているのだ。

 だがその問いは今の硬大には届かない。

「コロセ。カナンニヤイバヲムケルモノヲスベテ……」

 轟々と勢いを増す炎。ファンの意識はもうなかった。死んではいないようだが、時間の問題だろう。

「コイツヲ――――ヤキツクセ!」

 手のひら程の大きさだった炎が数倍に膨れ上がった。そしてそれを放とうとした刹那、炎は消えて無くなった。

「……ダメだよたいちょー」

 唯果が再度硬大とファンの間に入ってきていた。さっきと違い、硬大の方を向いていて両手を横に上げている。

「た……だか?」

 唯果は寂しそうな眼差しで硬大を見つめていた。それを見た硬大は徐々に自我を取り戻していく。

「よかったー、いつものたいちょーだー」

 そう言って唯果は振り返り、倒れているファンを見下ろす。

「な……にするつもりだ……?」

「……」

 唯果は懐から折り畳みナイフを取り出す。そしてそれを躊躇なくファンに突き立てた。

 グサッ!!

 死なないはずがない。唯果はそこで初めて……人を殺した。

 硬大は突然の出来事に声が出なかった。

 唯果は振り返って、言った。

「これで同じだね」

 優しく微笑んでいた。でもなぜだかその顔は、悲しんでいるようにも見えた。

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