第三十九話 思い出
最近、五日目に投稿することが当たり前になってきてしまっているのでもっと頑張ります……。
「そしてその石を見たのは、私がまだ火星に住んでいた頃」
梓の今までの経緯を聞き、本題に入る。驚くことが多かったが、梓は梓だ。どれだけ特別な存在だろうと俺は気にしない。
「その頃はまだ小さかったから、はっきりとは思いだせないけれど、私は散歩がしたくてある日お母さんと一緒に外に出たの。お兄ちゃんはいつもお父さんについて行っていたから多分部隊に入るために練習しているんだと思う。私とお母さんは人気のない道をひたすら歩いていたんだけど、途中で疲れて休憩することにしたの」
そこで梓はハッとした顔になる。
「少し思い出したかも!」
そういって梓は思い出した内容を話し始めた。
公園を見つけて、隅の方へ行き、私とお母さんはシートを広げてその上に座った。
手入れのされていない、あまり綺麗とは言えない公園。最近使われていないのが見て分かる。そのせいか、私とお母さん以外誰もいなかった。
お母さんがバッグから弁当を取り出した。私がその日楽しみにしていたものの内の一つだ。
弁当を開けると、そこには私の大好きなおかずがたくさん入っていた。
ご飯を食べ終わって、シートの上でゴロゴロしていると、公園に一人の女の子が入ってきた。私と同じくらいの年の子だ。
髪の色は茶色で少し長い。この公園には似合わない高そうな服を着ていた。
女の子は辺りを見回し、溜め息を吐く。お友達と公園で約束でもしていたのだろうか。
そんなことを思いながら見ていると、女の子がこっちを見た。そして絶景でも見つけたのかと思うくらい笑顔が広がっていき、私の方に向かって歩いてきた。
隅にいたから気付かなかったのかも。なんでそんなに笑顔なのかは分からないけど……。
女の子は私の目の前に来て声を掛けてきた。
「ねえねえ、一緒に遊ぼ!!」
私はお母さんを見た。
人見知りではなかったけどこんなことは初めてだったから、良いか悪いかをお母さんに確認しておきたかった。
お母さんは私を見て微笑んだ。
「遊んでらっしゃい」
その言葉を聞いた途端に女の子が、
「遊ぼ!」
と言って私の服の袖を引っ張ってきた。乱暴だなぁと思いながらも、私の顔は笑っていたと思う。
「私は西谷梓。キミの名前は何て言うの?」
「さいたにあずさ? 変わった名前だね。私の名前はレミン。よろしくね!」
「梓でいいよ。じゃあ私はレミって呼ぶね! よろしく!」
それから私達はほとんど毎日遊ぶようになった。
一年が経ち、その日は突然訪れた。
お母さんが火星人でないことがバレたのだ。原因は私。
お母さんに内緒で、レミにすべてを打ち明けた。子供なんてそんなものだ。すぐに秘密を教えたがる。
レミは誰にも言わないと約束してくれたんだけど、そのときたまたま近くを通った火星人に聞かれてしまった。
その日は休日だったからお父さんがいた。ここからはさっき話した通り、お父さんは私達を助けるために戦って死んだ。
お兄ちゃんはその日も練習しに行っていて、一緒に逃げることが出来なかった。探している時間がなかったとはいえ見捨てたのだ。そのことを考える度に罪悪感が私を包む。
レミともそれからは一度も会っていない。
梓は少し喋り疲れたのか、目の前に置かれているお茶を一口飲んだ。
「関係ないことを長々とごめんね。懐かしかったからつい……」
「気にしていないから大丈夫だ。それで、石のことはいつ知ったんだ?」
「そうだった……。それは、私がレミに秘密を打ち明けたときに知ったの」
私達のことをレミに打ち明けた。レミは嫌悪するどころか逆に興味を持ってくれた。
「すごーい! そんなの初めて聞いたよ!!」
私は、さっきから全く笑顔を崩さないレミに恐る恐る聞いた。
「嫌いにならないの?」
するとレミは、当たり前というような口振りで言った。
「嫌いになるわけないよ! 逆にもっと知りたくなっちゃった」
「そ、そうなんだ」
私が不思議に思っているとレミが、あっ! そうだ!! と言って服のポケットに手を入れてある物を取り出した。
「私の秘密も教えてあげる。私はこのめずらしい石を持ってるんだよ! お母さんからもらったの。これは奇跡の石だっ、て。これをもらっていい人は決められているんだってー」
その石はとても綺麗で輝いていた。私はその石を持たせてもらったけど、落としたらまずいと思ってすぐに返した。
「もしも梓が地球に帰ってしまっても、この石があるかぎりきっとまた会えるよ!」
そう言ってレミはニコッと笑った。




