第十八話 屋外プール
考えるのに時間かかり過ぎて、こんな遅い時間に……。
明日起きれるかな?
翌日、俺と唯果は学校へ行った。
「ふぁ~、たいちょー、眠たいよー」
唯果はあくびをしていた。
「ふぁ~、そうだなぁ」
俺もつられてあくびをしていた。
そう、俺達は寝ていない。
火星へ行ったときもそうだったが、片道で4時間はかかった。そのせいで寝る時間はなく、とても疲れてて辛い。
教室入って椅子に座ったらすぐ寝よう。
そう思い昇降口で唯果と別れ、長い廊下を歩いていると叶未に会った。
「硬大くん! 病気大丈夫なんですか? 心配しましたよ!」
「ああ、大丈夫だ。ただの風邪だったし」
それを聞いた叶未はニコッと笑顔になったかと思ったら、表情を変えて俯いた。
「あ、あの~」
「ん? どうした?」
叶未は両手を前で組んでもじもじしながら、
「え、えと……、今度の日曜日って空いてますか……?」
日曜日に何かあるのか?
やばい眠い。叶未には悪いけど、ここは適当に相づちを打って教室に行って寝よう。
「うん、多分空いてる」
「プール行きませんか?」
……プール? 悪くはないな。
光翼と梓と唯果でも誘うか。
「おう、いいぞー」
「硬大くん、顔色悪いですけど大丈夫ですか?」
どうやら見てわかるくらい酷い顔をしているらしい。
「ああ、大丈夫だ。教室で少し寝るよ。集合時間はまた教えてくれ」
俺は叶未と話を終えて教室へ入った。
椅子に座って、カバンを机に置き、そのカバンを枕代わりにして寝ようとしたときに光翼がデカい声を出しながらこっちに来た。
「おい! てめぇ何サボってんだよ! 昨日は大変だったんだからな!!」
なんだこいつ朝からうるせぇな。
しかも大変って、どうせ大したこと…………あ! そうだ!!
俺は眠気が吹き飛び、勢いよく立ちあがっていた。
「おい!! 昨日は大丈夫だったのか!? 怪我人とかいないか!?」
「なになになに!? さっきまでの眠そうな顔はどこいったんだよ。……怪我人は0だったよ。てかなんで昨日のこと知ってんだよ」
「そうか、良かった……」
昨日のlockerは俺が出させたようなものあり、怪我人がいないということに俺は安心して、光翼を無視し、眠りについた――――
日曜日。
「たいちょー、準備できたよー!!」
俺達はプールへ行く準備をしていた。
叶未に許可をもらい、唯果と光翼と梓を誘って、五人で行くことになった。唯果と光翼は喜んでいたけど、梓は最初嫌がっていた。けど光翼がしつこく誘ったおかげで来てくれることになった。
「よし、じゃあ行くか」
唯果はテンションが上がり過ぎてカバンを振り回していた。
ほんと子供みたいだなこいつは。
俺達は家を出て、集合場所の駅に向かって歩いていた。
唯果は鼻歌を歌いながらスキップをしている。正直、ここまでテンションの高い唯果を見たことがない。
誰かとプールに行くなんて今までなかったからなぁ。
「周り気をつけろよ、お前今テンション高すぎるからどこかでフラフラして事故りそう」
「大丈夫だ……うっ……!」
急に唯果は足を止め、頭を押さえて顔を歪めた。
「おい、大丈夫か?」
しばらくすると唯果は笑顔に戻っていた。しかしさっきのがなんだったのか俺は気になって仕方がない。
「大丈夫だよ! ごめん、ちょっと忘れ物したから先行ってて」
唯果はそう言うと、家に向かって走って行ってく。
さっきのは何だったんだろうな。
俺はそんなことを思いながら駅まで歩いた。
「わあ!!」
「うぉお!」
「すごーい!」
「うわぁー!」
着替えてプールに着くとみんな驚いていた。かなり広い。
ここは屋外プールだった。なんか見覚えがあるような気がしたが思い出せないから気にしないことにした。
唯果がこっちへ来る。
「たい……お兄ちゃん、lockerがなくなってから何だか幸せだらけだよねー!」
「そうだな」
そうだ思い出した。ここは家に出現したlockerの条件で見させられたとこだ。
意外と近いところだったんだな。
「火星のみんなもlockerなんて使わなけりゃもっと幸せになれるだろうに。しかも――――
条件は一つのlockerに一つだけとかいう決まりだし。条件二つ以上で楽な選択肢があれば日本はあんな酷いことにならなくて済んだのに。そんなのありえないんだけどね。って、そんなこと言っててもしょうがないか。行こ、お兄ちゃん!」
――――――待て、唯果は今なんて言った?
lockerで出てくる条件は一つだけ? 二つ以上はありえない?
でも、俺が見させられた、屋外プールで出現したlockerで出てきた条件は、
――――――――二つなかったか?




