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ゆるふわふぁんたじあ(改訂版)  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画

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75話 11日目

妖狐族→狐人族に変更してます。


それと、狐人族の少女こと篝の名前が出ましたので、このお話の前に登場人物紹介を載せさせて頂きました。

追加で、章の始まりに登場人物を書かれてもな(←超今頃)と言う事で、これからは章の最後に載せようと思います。

11日目 午前6時前


凛の屋敷3階、とある一室にて。

ベッドから上半身を起こし、窓の外から見える風景を眺める1人の少女がいた。


そこへ扉をノックする音が響き、少女はそちらに視線を向ける。


「おはよう(かがり)。体調はどう?」


姿を現したのは凛。

凛は軽く微笑み、狐人族の少女…篝に問い掛ける。




昨日、凛は帰宅後少し落ち着いた頃に食事の用意を美羽達へ頼み、狐人族の少女の様態を見に行った。

少女は今と同じ形で起きており、凛へ申し訳なさそうに非礼を詫び、感謝の言葉を述べる。


頭を下げたまま固まる少女を凛は宥め、届けられた胃に優しい料理を差し出すと、まるで見計らったみたくお腹から可愛らしい悲鳴が。

彼女は顔を真っ赤にし、凛がくすくすと笑う様を涙目で睨み、しかしすぐに笑顔となって食べ始める。


それから談笑込みで話を進めるのだが、凛が少女の名前を尋ねたところで態度が一変。

真剣な表情で凛をじっと見据え、「名前を付けて欲しい」と告げた。


名前を付けてくれた両親に申し訳ないからと凛が断ろうとするも、少女は今この場で生まれ変わる為の証が欲しいと譲らず、(かたく)なになる一方。

しばらくして凛側が折れ、少女の見た目や真っ直ぐな性格から『篝』と名付けた。




「ああ、おはよう。凛のおかげですっかり元気になったよ。」


「そっか、良かった。でもまだ病み上がりの状態だからね、無理は禁物だよ?」


「はは、分かってるよ…ところで、あたしに何か用があるんじゃないのか?」


「あ、うん。これから朝食の時間でね。篝も僕達と一緒にどうかなと思って誘いに来たんだ。」


「…良いのか?」


「勿論だよ。」


「凛は変わってるな。あたしらの様な獣人は嫌がる奴の方が圧倒的に多いのに…。」


「んー、嫌がるって言うか、僕としてはむしろ触りたくてしょうがない位なんだけど…特に耳と尻尾。」


「そうだよな。凛も触りたいよな…ん?」


篝はうんうんと頷きながら同意を示した後に何かがおかしいと気付き、驚愕に満ちた表情で「はあぁっ!?」と叫ぶ。


しかし狐人族…と言うか獣人族全体が家族や親しい友人。

一生を共にする相手位にしか頭や尻尾を触れる事を許さない、との風習を持つ。


更に、盗賊に襲われる1週間位前から体を拭いておらず、今は不衛生な状態。(実際は凛の清浄魔法(クリーン)でまあまあ綺麗なのだが、篝は自分の体が凄く汚いと思っている)


それらが重なり、篝は恩人で主でもある凛が触れたいと言ってくれた喜び。

それと超美少女(まだ凛が男だとは知らされていない)に好かれているのではとの思いが()い交ぜになり、早い話が物凄く混乱していた。


「凛。」


「ん?」


「ほ、本当に…あたしの耳を触りたい…の、か?」


「勿論だよ。」


篝は凛の答えを聞き、気分を落ち着かせる為にゆっくりと深呼吸を行う。


「…よし、良いぞ。」


篝は落ち着いたつもりだが、実は未だ混乱したまま。

微妙に目をぐるぐる回しての発言がその証左だったりする。


「本当?それじゃあ失礼して…。」


凛は嬉しそうに篝の元へと近寄り、恐る恐る伸ばす右手。

篝はそんな彼に(生唾を飲む等の)緊張した眼差しを向け、段々と迫って来るとても可愛らしい顔立ち、それに彼女()から(ほの)かに良い香りが━━━


「や、やっぱりダメだ!」


やはり色々な意味で危険。

下手するといけない扉を開けてしまいそうで怖いとも。


「やっぱり。僕なんかに撫でられても嫌なだけだよね…。」


気付けば押し退ける形で拒否を示し、凛が物凄く落ち込んだ様相に。

「不味い!」と思った彼女は慌ててフォローに入る。


「こ、これから朝食だと言っていたろう?皆を待たせるのも悪いし、頭を撫でるのは今晩辺りでも良いのではと思っただけだよ、うん。」


「…本当に?実は嫌だったとかじゃない?」


「む、無論だとも…むしろ当たり前じゃないか。何故あたしが、命を救ってくれた凛に嘘を付く必要があるんだ?」


「…そう、だね。君の言う通りだ。」


「分かってくれて嬉しいよ。」


「今ここで篝に本気の撫でを見せる訳にはいかないもんね。」


「うんうん…うん?」


相槌の途中。

篝は何やら話がおかしな方向に進んでいる事に気付く。


「いつの間にか近所に住む人達から『()()()()()』なんて呼ばれててね。」


「…凛?」


「その人達が可愛がる犬や猫がね、僕の方に来る機会があったから撫でてみたんだけど。」


「おーい、りーん。朝食は良いのかー?」


「夢中になるあまり、僕以外の人達が撫でると不満が出るまでになったんだ。」


「ナニソレコワイ…いや、うん。それは分かったから朝食をだな。」


「獣人を見るのは篝が初めてでさ、篝まで近所の犬や猫みたいになったらどうしよう!」


「いや、むしろあたしがどうしようって言いたいんだが。それも今、ここで。」


その後も、2人による不毛な話し合いはしばらく続いた。


やがて凛が部屋から退出。

篝は疲れながらも手を振って見送った後、深い溜め息をつく。


「はぁ…朝から疲れたな。」


しかし自然と笑みが零れ、安らかな笑顔に。


「あたしの耳に触りたい…か。そんな風に言われたのは初めてだよ、全く…。」


不満を漏らしながら、右手で優しく自身の耳を撫でる。




ややあって、皆で朝食を摂り始める…前に、篝の紹介から先に行われた。

その際、怪我の欠損に最上位魔法パーフェクションヒールを使ったと聞いたニーナ達が白目を剥き、篝は凛が男性と知って彼の上半身を触りまくっていた。(当たり前だが、目茶苦茶(くすぐ)ったそうだった)


一頻(ひとしき)り触り尽くしても尚不満タラタラだった篝が料理を食べて涙し、エルマ達やニーナ達は「分かる」とほっこりした顔付きに。


ついでに、この日の朝食は篝も食べる事を踏まえ、小さく切った野菜多めの卵雑炊、バナナと豆乳を使ったスムージー、下ろし大根にヨーグルトと蜂蜜を混ぜたものと。

消化に良いものや手助けを行うものが主となっている。

或いは、卵や牛乳はこの世界では貴重品との理由から、余計に美味しく感じるのかも知れない。


因みに、ヨーグルト大根おろし蜂蜜は全体的に不評だった。


しかし凛がお通じに良いと説明するやニーナとジェシカの目がギラリと光り、すばやく凛の傍に寄って詳細を尋ねる。

途中からコーラルも加わり、彼女達だけは何回かお代わりをしていた。


やがて朝食が終了。

凛は皆を連れ、屋敷の外に出る。


いつもならここでポータルを使い、神界へ移動。

到着した大部屋にて訓練を行うのだが…今回はどうやら違うらしい。


何故か真っ直ぐ歩き、門から出る凛。

これに、美羽が疑問の声を上げる。


「マスター、今日の訓練は?」


「うん、勿論するよ。でもその前に、紹介をさせて貰おうと思ってね。」


「紹介?ニーナさん達は昨日したし、篝ちゃん…はさっきしたばかり。あれ?他に誰かいたっけ?」


「あれあれ?」と可愛らしい仕草を交えながら混乱し、他の者達もきょろきょろ見回すばかり。

全員が全員、訳が分からないと言った面持ちに。


凛はクスリと笑い、軽く斜め上方向を見る。


「ナビ。」


《畏まりました。》


直後、凛から1メートル左、高さ2メートルの空間に切れ目が入った。

その切れ目から銀色のブーツの足先らしきものがにゅっと姿を現し、それから膝、太もも…と続き、やがて1人の女性と思われる人物が着地。


女性は見た目が20歳位。

身長170センチより少し高く、腰までの長さの銀髪を三つ編みにした髪型。

白や銀色を基調としたドレスアーマーを身に纏うとの姿から、まるで神話に出て来るヴァ()ルキ()リー()がこの場に顕現したかのよう。


顔や見た目は人形の如く整っており、凛とした風格も相まって、全員の視線が女性そのものに向く…かと思いきや。

彼女よりも、後ろに背負われた大剣に注目が集まっていた。


その大剣は全体で2メートルよりも少し大きく、とても女性が扱える風には見えないとの理由から来ているのかも知れない。




「皆様、初めまして。アルファと申します。」


女性ことアルファは両手でスカートの下半分の白い部分を摘まみ、丁寧にお辞儀をする。


「アルファはこの通り女性の見た目をしているけど、厳密には生物じゃない。昨日獲得、解析したミスリルとアダマンタイト。それと火燐達が倒してくれたワイバーン50体を元に創ったエクスマキナ(機械仕掛け)なんだ。」


「エクス…?」


「マキナ…?」


「創った…?」


「何だそりゃ?」


凛の解説に楓、翡翠、雫、火燐の順で呟き(火燐以外は首を斜めに傾ける仕草付き)、残るメンバーもちんぷんかんぷん。


凛は分からなくて当然かと苦笑い。

更に言葉を重ねる為、口を開こうとする。


「格好良いーーー!ね、ね、マスター。もしかして…。」


「うん。やっぱり美羽には分かるよね。向こうの神話にある戦乙女(ヴァルキリー)をイメージしてみたんだ。」


「やっぱり!良いなぁ…凄く綺麗だし(胸は)おっきいし足は長いしで羨ましい…。」


「恐縮です。」


ただ1人。

凛の影響を色濃く受けた美羽はアルファの正体が分かったらしい。


当の本人は第2の主とも言える美羽から褒められ、粛々ながらもどこか嬉しそうに頭を下げる。

これに火燐が話が進まねぇだろと半ば呆れ顔に、翡翠は苦笑いを、楓と紅葉とリーリアはくすくす笑うと形で顔を綻ばせた。




凛達が不在の間、屋敷や周辺を守るを目的に創られたのがアルファ。


昨晩の食事が済んで少しした頃。

ミスリルとアダマンタイトの解析が終わったとの報告をナビから受けた凛は、アルファの作製に入る。


ただ、ミスリルは魔力を注いだ分だけ硬くなる反面、魔力が切れた時に少々(もろ)くなるとの性質が。

元が銀だから…がナビからの情報で、それだけだと強度不足。


対してアダマンタイト。

非常に硬く、そしてかなり重い。

ただその硬さ故、真っ直ぐに特化。

(ひね)る等の動きは向いていなかったり、魔力を巡らせる速度がミスリルより大分劣る事が判明。


3時間程試行錯誤を繰り返し、結構な魔力を消費して2つの金属を中心に混ぜ合わせ、強さと(しな)やかさを併せ持った合金を用い、人間で言うところの骨組みを作った。

その骨組みの上に、核となる人工魔石やワイバーン50体分の素材を圧縮・分解・再構築したものを筋肉や一部の臓器。

皮膚として乗せ、完成したのが彼女。


それから細かな調整を行ったを背景に、凛が寝たのは2時間位。

ただ、現在の彼は睡眠が趣味になりつつあり、実は魔力を回復させる以外で眠る事に意味はないと言えばないのだが…。




話は戻り、凛はアルファがこう見えて今は重さが2トン以上(大半は剣の重みによるもの)あり、神輝金級の強さを有する事。

それと自分達が留守の間を守る守護者(ガーディアン)として用意したと説明。


ニーナ達は疲れ、トーマスと翡翠とエルマは引き攣った笑みを浮かべたものの、他の者達には概ね好評。

特にナナ、藍火、玄の3人に至っては、好奇心や興味からアルファに話し掛けたり、ぐるぐると回りながら観察する程だった。


「…と言う訳で、出来るだけ人間に近く、かつ防御力高めの肌…あ、バイオニカルドラゴンスキンって名付けたんだけど、再現するのにそれはそれはもう苦労して━━━」


「マスター、なんだかえっちぃ。」


「|what's《何故に》!?」


アルファに触れながらが影響してかその様なやり取りが行われ、ポカーンとしていた火燐達も吹き出したりして各々が笑う中。

アルファのチェックが開始された。


彼女は飛行が行えるので、立体的な動きが可能。

華奢な体躯にそぐわずパワーファイターな彼女は身の丈よりも大きな大剣を片手で軽々と振り回し、美羽と同じシールドソードビットを駆使すると言う戦い方をするとの事。


チェックの最後、凛がどこまで戦えるかをこの目で見たいとの発言から始まる手合わせ。

アルファは大剣と6枚のシールドソードビットを用いて凛に挑み、練習用の刀と鞘のみで凛が応戦。


始めこそ地上でだったが、2人共天歩や飛行が行えるのですぐに空中戦へ。

アルファは様々な角度から剣やシールドソードビットを、或いはその両方を織り混ぜたコンビネーション攻撃を仕掛ける。


凛はそれらを刀や鞘、たまに足技を用いて捌き、力押しに多い大振りの隙を狙っての反撃に出る事も。


戦闘は正に苛烈極まりないものとなり、縮地の如き高速移動が地上・空中問わず行われる。

その余波で地面は抉れ、凛が弾いたシールドソードビットが地面に刺さり、何度も衝撃波みたいなものが美羽達を襲う。




手合わせ開始から5分が経った頃


「参ります!」


空中にいるアルファが地上にいる凛へ向け、身体強化を用いた全力の一撃を放つ。

その影響で大きな土煙が舞い、美羽達を突風や衝撃波が襲う。


それから数秒経ち、土煙の向こうから2人の顔が。

どちらも手応えを感じたのか、満足げな様子で皆の元へ。


観る側にとっても充実の1言。

楓や紅葉達は安堵だったり笑顔、美羽と火燐は(笑顔でアルファと話す凛を見て)自分も加わりたそうにうずうず、藍火や篝等は目をキラッキラと輝かせる。


だがニーナ達、それと例によって屋敷を見に来た野次馬の者達からすれば非常識以外の何物でもなく。

凛達のあまりにぶっ飛んだ戦い振りに(こぞ)って目を剥き、石化でもしたみたく固まっていた。

そして我に返りはしたものの、すぐにどちらもおかしいと頭を抱える羽目に。




今はアルファ1体だが、順次エクスマキナ(アルファの妹)達が増やしていく旨を、皆の前に立った凛が告げる。

これに美羽達が嬉しそうだったり色の良い返事を返し、少し遅れてニーナ達が微妙な顔付きに。


そこへ、森の方からガサガサッと音が。

茂みから2体のバトルマンティス、そしてバトルマンティス達を追う形で5体のフォレストウルフが出現。


距離が200メートル程離れ、且つそこそこ慣れ親しんだのも重なって「あ、魔物だ」とのんびり構える凛達。

しかし一般人でしかないニーナ達は異なり、慌てふためき、冷や汗を流しながら決死の表情を浮かべる。


「アルファ、魔物達の殲滅をお願い。」


「畏まりました。」


凛の依頼に、優雅な一礼で応えるアルファ。

淡々とした様子で地面からほんの少し浮いて移動し、すぐにバトルマンティス達と接触。

彼らを通り過ぎる形で一閃、2体は崩れ落ちた。


続けて、地上に3体、空中から2体との構図でフォレストウルフが攻撃。


アルファは一歩引いた後に大剣を横向きにし、空中からの攻撃は眼前にシールドソードビットを動かして対処。

フォレストウルフ達はいずれも鼻頭をぶつけて『ギャンッ』と叫び、その場で強制停止。


その隙にアルファは大剣を振るって下の3体を吹き飛ばし、返す刃で上の2体を横薙ぎで纏めて両断。

吹き飛ばされた3体の内、2体が体勢を整えて向かうも同様の最期を迎える。


残る1体。

アルファの強さに恐れを為してその場から逃げ出し、しかしすぐに追い付かれたシールドソードビットによって首を切断。

ものの30秒で戦いは終わった。


戦闘後、大剣を背負ったアルファは遠隔収納を用いて回収を行い、凛達の元へ戻ろうとする。

しかし20メートル程進んだところで何故か(つまず)き、ドドォォ…ォンと盛大な音と衝撃と共に思いっきり顔面から転倒。

別な意味で、アルファの重さが浮き彫りとなった。


まさかの展開に凛が「え…」と呆け、美羽達は揃って瞠目するのだった。

何故か途中で凛と篝、それと凛と美羽の組み合わせでの漫才みたいになってしまった(苦笑)

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