26話
屋敷の地下室にて
2人が用意した部屋は高さ5メートル、縦横50メートル程の広さ。
それと四方全てが真っ白で構成されていた。
「わー、真っ白ー!」
「訓練で使う時の部屋みたいな感じだね!」
凛と美羽の次にエルマとイルマが地下室へ入り、前を歩きつつ周りを見渡しながらでの感想。
そんな彼女らの後ろに雫達が続き、感心したり興味津々な様相で室内を見回している。
やがて最後に小夜が入り、10秒が経った頃。
藍火をお姫様抱っこで抱え、如何にも不満ありげな表情の火燐がやって来た。
「あ、火燐。藍火を運んでくれたんだね。ありがとう。」
「ん?…おう。」
しかし愚痴るより早く凛からお礼を述べられ、恥ずかしさを覚えた彼女がそっぽを向く。
耳は赤く、それが照れ隠しだと誰の目にも明らかだった。
「あー!火燐ちゃんがデレた♪」
「ん。デレた。」
「デレたねー!」
「デレましたね…。」
美羽が右手を口元へ当てて嬉しそうにし、雫、翡翠、楓が同意。
「お前ら!デレたデレたうっせーぞ!」
これに頭に来たのは火燐。
藍火を抱き抱えたまま美羽達の方を向き、思いっ切り地団駄を踏む。
凛達はそんな5人(+藍火)を見てほっこりし、温かい視線を向ける。
「つかよー、皆してヒデーじゃねぇか!こんな状態の藍火をほったらかしにしてよぉ!」
その後もデレたデレてないとの問答が行われ、先に火燐が焦れてしまったらしい。
話題を変えるのも兼ね、未だ抱き抱えたままの藍火を前に突き出した。
「うへへ~、もう食べられないっすってば〜。」
当の本人は相変わらず涎を垂らしそうな安心しきった顔で寝ており、終いには寝言まで。
タイミングが悪いとしか言いようがなかった。
おかげ(?)で火燐がピシッと固まり、笑顔を浮かべながらゆっくり彼女を上へ。
そのまま床に叩き付けるのでは…と逸早く気付いた凛が下から両腕を支え、続けて火燐の後ろに回り込んだ美羽が羽交い締めに。
「ダメ、ダメだからね火燐!」
「ふんぐぐぐぐぐ…離せ!離せ2人共!オレは!コイツを!」
「ただ寝てるだけじゃない!寝言はちょっとアレだけど!確かにアレだけどー!」
藍火を落とさんとする火燐VS阻止したい凛&美羽によるバトルが勃発。
前者が必死、後者は余力はあるものの中々に気を遣うとの謎の構図に。
呑気なのは藍火位。
残る面々はハラハラだったり呆れの目を向ける中、雫が動いた。
「藍火は貴方直属の部下。」
「…!そりゃそうだけどよ、藍火はこれから━━━」
「それに、実は火燐が面倒見が良いと私達は知っている。だから(藍火を)貴方に任せた。」
「…そうかよ。」
済まし顔の雫に火燐は苛立ちを含ませたジト目で見るも、初めて褒められたとの嬉しさが徐々に込み上げて来たのだろう。
皆からも頷く形で同意を示され、素っ気ない口振りで視点をズラす彼女。
恥ずかしさの限界を迎え、明後日の方を向いたのが誰の目から見てもバレバレ。
笑いが起き、最初こそフンッと面白くなさそうにしていた火燐も次第に口元が緩み、結局は笑うとの結果に。
ややあって、もう大丈夫と判断したのか、徐に歩き出す凛。
ただ、進行方向は部屋の中心…からやや右の位置。
向けられる不思議そうな視線を他所に停止した凛が無限収納から取り出すは、キングサイズよりも2回り位大きい布団。
バサッとの音と共に敷き、そこでようやく得心がいった様子に。
続けて反対側。
(火燐達から見て)左へ幾らか進んだ辺りで同様に布団を敷き、戻って来た。
凛曰く、この部屋は元が8畳近い広さだった事。
時間の流れが部屋の中と外では異なり、外での1分が部屋の中だと2分…つまり、名付けや進化に掛かる時間が半分で済むとの説明をされる。
そのあまりの内容に皆へ衝撃が走り、それは火燐も同じだった。
火燐は驚いた弾みで(体勢を戻したばかりの)藍火を床に落としてしまい、美羽の指摘で我に返る。
急ぎ藍火へ視線を移し、丁度眉間に皺を寄せる場面に遭遇するも…そう経たずして安らかな表情へ戻った。
これに1行は安堵。
やんわりと注意を受けた火燐が藍火を抱き直す。
凛はそんな火燐を苦笑いで眺めた後、2人を寝かせるよう指示。
火燐が藍火を、暁が玄をそれぞれ布団の上に下ろし、凛と美羽は無限収納から取り出した大きめな毛布を2人に掛ける。
「これで後は藍火と玄が落ち着くのを待つだけだね。」
「なぁ凛。本当にこの部屋だけ時間の流れが違うのか?」
「うん。どうしても気になるなら━━━」
「いや、大丈夫だ。ただ聞いてみたかっただけで深い意味はねぇよ。」
「そう?あ、そうだ。この部屋についてだけど、間に合わせで用意したから衝撃に強いとは言えない造りなんだ。なので出来れば魔法とか威力の高いものの練習は控えて貰うと助かるかも。」
「ああ、分かった。」
凛と火燐のやり取りに皆が首肯した直後。
くぅぅぅぅ…と、可愛らしい音が聞こえた。
発生源はイルマ。
まさかこのタイミングで鳴るとは思わず、恥ずかしそうに腹部を押さえている。
これにクスリと零す、或いは吹き出す等して笑いが起き、しばらく続いた。
イルマは羞恥で縮こまってしまい、凛が遅めの昼食にしようかと述べ、彼女へ手を差し出す。
イルマは一瞬躊躇うも、折角のチャンス…女は度胸!とばかりに彼の手を取り、引かれる形で歩き出す。
その後ろを、ニコニコ顔の美羽達が付いて行った。
リビングに戻り、凛が何が食べたいかを皆に質問。
決め兼ねる火燐達へ、美羽がサルーンでチャーハンや海鮮あんかけチャーハンを振る舞ったと補足。
味を思い出し、満場一致で海鮮あんかけチャーハンが食べたいとなった。
全員で海鮮あんかけチャーハンを堪能した後、凛はデザートとしてショートケーキやパンケーキ、どら焼き、苺大福。
それと楕円状で一口大のチョコレートを用意。
パンケーキとどら焼きは既に食べた経験があり、ショートケーキはパンケーキと似ているとの認識(どちらも名前にケーキが付くが根拠)から、瞬く間になくなった。
しかし今回初めて見る苺大福は、その大きさや表面に付く白い粉から。
同じく初となるチョコレートは、黒っぽい色と形が美味しそうに見えないを理由に、双方不人気だった。
凛はテーブルの上にあったフォークで苺大福を切り、断面を皆の方へ。
苺大福の大福は、普段食べてるのとは違うお米を使用し、緑茶と相性が良い。
反対の手でチョコレートを掴み、パンケーキやホットケーキのソースに使われた茶色いものの味だと説明し、口の中へ。
火燐達は白い膜の中にソース等の柔らかいものが入っていると思い込んでおり、1口で食べ切らなければ(中身が零れたりして)色々と悲惨な目に遭うと考えていた。
そしてチョコレート。
当時は争奪戦による早い者勝ち。
加えて何でも美味しく感じており、塊ではなくソースだった為に気付かなかった。
凛からの説明を経て恐る恐る食べ始め、その甘酸っぱさや甘さに驚愕。
彼の予想通り、取り合いへと発展した。
当然ながらすぐに皿は空っぽ。
期待の眼差しが注がれた凛は微苦笑を浮かべる。
以降、何回かデザートのお代わりを行いつつ、今日起きた出来事について話し合う。
あっという間に1時間が経過し、それに気付いた凛が片付けに入る。
他の者達も協力もあってか、短時間で終える事が出来た。
夕方手前
「それじゃ、良い時間になったし、僕は街へオークキングの肉を受け取りに行ってくるよ。」
そう言って、ダイニングテーブルの席を立った凛が入口に向かう。
「あ、マスター待ってー!ボクも行くー!」
彼の後ろを美羽が慌てて追い掛け、玄関へ繋がるドアへ着く頃には合流。
揃ってリビングを後にする。
「忙しい奴らだなぁ…。」
「ふふっ、そうだね。」
凛達がいなくなった後、ソファーで寛ぐ火燐はやれやれと言った表情で。
翡翠はくすくすと笑い、リビング中に伝播する。
屋敷を出るや跳躍した凛達は、そのまま飛行で移動。
サルーンから50メートル程手前の位置で着地、門まで歩いて進む。
サルーンの南門には10人程が並び、内7人が冒険者パーティー━━━3人パーティーと4人パーティーの組み合わせ━━━と思しき者達で構成。
他の3名を含めた全員が正面を向いていたからか、背後へ降り立った凛達には気付かず終い。
代わりに門番達(先刻と同じ面子)が酷く驚き、周りから不思議がられはしたものの割とすぐ凛と美羽の番に。
「凛殿は先程拝見したので知ってはいましたが…美羽殿も飛べたのですね。もしや紅葉殿も…。」
「あ、いえ。紅葉はまだです。ワイバーンだった子は飛べたかも知れませんが、まずは歩く練習をさせたかったので…。」
「ソウデスカ…。」
門番は凛の答えにより苦笑いから微妙な顔へ。
しかも片言での返事となった。
どうやら彼の中の危険信号より下された指令により、思考そのものを放棄したらしい。
「あ、それと他にも仲間がいますが…比率的に、飛べる子と飛べない子は半々位ですね。」
『………。』
そこへ更なる追撃。
ふと思い出した表情で話す凛に、警備や成り行きを観察していた者達は信じがたい様な。
疑わしい様な、羨ましい様な、何とも言えない視線を向ける。
数秒後に我へ返った門番から案内を付けるかの申し出を凛達は受けるも、それを断って街の中へ。
道中注目の的になるのを自覚しつつ、敢えてスルーを決め込む内に冒険者ギルドへ到着。
解体場に入り、待ってたとばかりにワッズから声を掛けられ、彼との会話中にオークキングの肉が。
それも2キロ毎に分けられたものを計20個、わざわざ職人達が手ずから持って来てくれた。
曰く、やりがいのある仕事を提供した凛への感謝の表れらしく、全員が全員実に良い笑顔。
嬉しくなった凛は『これからも宜しく』との意味やお礼を込め、その内の1割である2個とファイティングチキン2羽を提供。
これをワッズ達は断ろうとするも、機会さえあれば補充可能と告げられ、気持ちだからと言われれば受け取らざるを得ない。
次々に感謝の言葉を述べながら握手を求め、応える凛を美羽は優しい眼差しで見詰めた。
ファイティングチキンは鉄級上位の魔物で、1メートル程の大きさの鶏っぽい見た目。
普通の鶏よりも発達した腕、それと足による格闘を中心とした戦い方を仕掛けて来る。
攻撃による威力や衝撃は中々のもので、単独を好み、群れても少数。
しかも目標とする相手にしか意識が向かない為、別な者が左右や背後に回って倒すが定石となっている。
尚、今しがた渡したファイティングチキン。
凛達が1度屋敷へ帰った際、残り100メートルとの距離で遭遇した者達だったりする。
藍火は碌に動けない為、戦力外。
代わりに美羽と紅葉が迎撃態勢に入るも、凛が自分1人で大丈夫だからと前に出た。
2羽のファイティングチキンは左右から羽を突き出し、蹴りを放つも悉くを凛の両手により簡単に捌かれ、コマを回すみたく空中で高速回転。
どちらも回転中に繰り出された凛の手刀で首の骨を折られ、口から泡を吹く形での最期となった。
因みに、ファイティングチキンが進化、150センチ程となったものがアキュートチキン。
アキュートチキンは金級に近い強さを所持、金級昇格試験に使われる事もしばしば。
本日の予定が全て済み、ワッズ達と談笑中にガイウスとゴーガンが合流。
更に話が弾み、30分程を解体場で時間を過ごしてギルドを出る。
そこから街の外へと向かうのだが…来た時よりも多くの人から見られている事に気付く。
凛が歩きながら耳を傾けてみたところ、風魔法を巧みに使って空を飛んだ、ガイウスのお気に入りらしい。
(見た目の良さから)どこかの令嬢だろうか?と言った内容がチラホラ。
内心苦笑いを浮かべつつ、特に危害を加えるとかではなさそうかな?との判断から、再度スルーが決定。
本日何度目かの南門に訪れた凛と美羽。
門番との挨拶もそこそこに体を浮かせ、自分の屋敷がある方へ飛んで帰った。
「…凛さんは他にも仲間がいるって話していたが…その内来たりしてな。しかも全員が飛べる様になったとか挨拶とか言って…。」
「止めてくれ!さっきの戦いもまるで本気じゃなかった凛さんの仲間?怖くて笑い話にすらならん。本当に連れて来たらどうすんだよ、対処どころの騒ぎじゃないぞ?」
「ははっ、悪い悪い。冗談だって。」
「冗談ねぇ…冗談で済めば良いが…。」
凛達がいなくなった後、半笑いで話す門番に、凛の相手をした方の門番がうんざりした面持ちに。
どうも楽観的と言うか、相方は本気で考えない節が見受けられる。
先程アルフォンスが先頭でやり取りを行った際、凛達の強さを伝えたにも関わらず軽く受け止め、笑いながら流す始末。
凛がワイバーン達と戦った時も、実際に目の当たりにしたのに凄いなー位しか感想を抱いていなかったり。
しかし、凛と相対した男性は違う。
どれ位いるのかは不明にせよ、凛の仲間が全て手練れ揃い。
大騒ぎになるのは必須、相方のあっけらかんとした態度に(別な意味で)危機感を覚える。
約4時間後の午後7時頃
「オークキングの肉が手に入ったので、今日の夕食はしゃぶしゃぶにしようと思いまーす!」
全員が揃うダイニングに凛の声が響き、拍手や歓声で以て応えられた。
ダイニングにあるテーブルが6つの内、3つを今回使用。
1つを凛、美羽、藍火、火燐が、
1つを雫、翡翠、楓、エルマ、イルマが、
最後の1つを紅葉、暁、旭、月夜、小夜、玄が囲む形で座る。
テーブルの中心にカセットコンロの様な見た目の、簡易式魔導コンロが設置。
その上に、しゃぶしゃぶ用の鍋が置かれているとの構図だ。
既に出汁用の昆布が水と共に用意され、鍋の両隣に肉や野菜の乗った皿もスタンバイ済み。
皆が皆目を輝かせ、その中に藍火。
それと少年の姿となった玄も含まれる。
玄は午後4時頃に、藍火は10分程前にそれぞれ目を覚ました。
藍火は名付けよって進化したものの、目覚めた際にドラゴンの姿に戻った…等と言う事はなく、見た目も特に変更はなし。
強いて述べるなら、髪色が少し濃くなり、より青に近付いた位だろうか
対して玄。
身長130センチと小柄、凛よりも少し短い黒髪となり、小学校高学年か中学生になりたてにしか見えない。
そして種族だが、玄が寝始めた頃に皆で話し合った結果。
実験も兼ねて悪魔族に進化させようとなり、(ナビの誘導もあって)下級悪魔へと進化。
藍火は多少寝ぼけてはいたものの、自力で地下室を出てリビングに向かう事が出来た。
しかし玄は幼いが故かパニックに陥り、泣き出してしまう。
ナビから報告を受け、何事かと思って来た凛を一目見るや、いきなり抱き着いて来た程。(勿論素っ裸で)
凛から頭を撫でられた玄は安堵の表情へ。
藍火が目覚めるまで時間が掛かるだろうとの予想から、先に入浴を済ませる事に。
いざ浴室に来たは良いものの、ここからが問題。
カメラが仕掛けられている訳でも何でもないのに、誰かしらが必ず突撃して来るからだ。
しかも、早ければ1分後位に。
何度も止めるよう伝えても聞き入れては貰えない。
ならばと自室で個別に設けるなんて話したら、逆に止められた。女性陣総出で。
これには不本意と言わざるを得ず、凛の口から「解せぬ」と漏れ出たのも仕方ないのかも知れない。
話は戻り、今日こそはとの想いを抱いた凛が玄の手を引きながらきょろきょろと探り、誰もいないリビングを抜け、浴室へ。
そして手早く、且つ丁寧に玄の体を洗っていると、案の定突撃する者が。
「マスター来たよー!」
「来たよー…って誰?」
美羽と翡翠だった。
バスタオル姿の2人に驚いた玄が凛の影に隠れ、ひょこっと顔を覗かせれば何故か凛が困惑気味。
「マスターが体を洗ってると言う事は…もしかして玄君?」
「うん、そうだよ美羽お姉ちゃん!」
「お、お姉ちゃん?美羽ちゃん、玄君にお姉ちゃんて言わせてたの?」
「少しでも玄君が気を遣わない様に済むって意味でね…それにしても玄君、見た目に似合わず中々のものをお持ちですなぁ~。」
「…美羽ちゃん。乙女としてその発言はどうかと思うんだけど…。」
玄のとある部分を見てほほうと感心する美羽に、翡翠がドン引き。
出来ればスルーないし口に出して欲しくなかった凛も、更に微妙な反応へ。
コレが凛が人目を忍び、困った理由。
玄は小柄な体型なのに相反し、一部分だけが中々に凶悪。
ウチは女性が大半を占め、混乱を避けたいとの想いが軽く無駄になった瞬間だった。
余談ではあるが、凛は玄以上。
純粋に男らしさを象徴したいが為か。
将又里香によって成長が無理矢理止められ、他に向かい先がなかったからかは不明。
ともあれ(今は排除しているが)神界で修行を行った際、不慣れな美羽に風呂の使い方を詳しく教え、その時に腰に巻いたタオルが外れたのを未だ覚えていたらしい。
今度は違う理由で凛を困らせた。
そんなこんなで無事に全員で夕食の時間を迎え、火燐と藍火は今すぐにでも食べたそうにする。
「…この様に、肉を鍋の中に通し、ここまで白くなったら食べ頃になります。肉への味付けとして、今回はポン酢とごまだれの2種類を用意しました。さっぱりと食べたいならポン酢、濃い味がお好みならごまだれと言う感じでお願いします。」
説明を行いつつ、薄切り肉を昆布出汁が入った鍋の中へ何度か潜らせ、食べ頃になった肉を持ち上げて見せる凛。
近くにある小さな皿を左手で指し示し、ポン酢が入った皿の上にオークキングの肉を乗せ、箸置きに箸を置いてから両手を合わせた。
「それでは頂きます。」
『頂きます。』
「「「(頂きます。)」」」
挨拶が済むや否や、皆一斉に動き出す。
「うんまっ!柔らかいのに肉の味がしっかりとしててたまんねぇ!…ご飯とも良く合うしよ!」
火燐は手当たり次第に肉を鍋の中に入れ、食べ頃になるのを見計らってはポン酢やごまだれに付けて食べていた。
ご飯は茶碗ではなく丼、更に山盛りも山盛り。
ただ食べる速度が尋常でなく、見る見る内にその量が減っていく。
「全くっす!主様に付いて来て正解だったっす!」
火燐より少しペースは劣るものの、藍火も(フォークにしては)中々の早さで肉とご飯を食べ進め、
「はい、玄。」
「(食べて食べて。)」
「~♪」
玄は可愛がられる末っ子ポジション宜しく、自身の両側に座る紅葉と小夜から交互に食べさせて貰っていた。
他の者達も肉を野菜で巻いたり、タレの食べ比べをしたり、潜らせた野菜を食べる等してしゃぶしゃぶを堪能。
凛と美羽は箸の使い方を皆に何度か教えてはいるが、一部の者。
特にオーガ組である旭、月夜、小夜が使いにくそうにしていた。
なので本日仲間になった藍火と同じ、フォークでの食事となっている。(本人達は不服そうだが)
その後も凛達は食事を楽しみ、1日を終える。
しかし、翌日にちょっとした騒動に巻き込まれるとは、この時の凛は想像すらしていなかった。
凛が用意したチョコレートですが、有名メーカーのアー◯ンドチョコレートみたいな形と大きさだと思って頂ければ。




