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第51話 暴漢たちには愛の鞭のお仕置きですわ!

 翌朝、ジュスティーヌはいつものように取り巻きをずらずら引き連れて登校する。そしていつものようにあふれかえっているレターボックスを確認する。いつものように、と思ったら、今日は差出人名のある手紙のなんと多いことか。


 一つ一つ開封して中身を読み、返事を出すのは困難なぐらいの数が届いていたが、差出人名のある親書となると、ほかの人に確認してもらうわけにもいかない。


 ざっと目を通してみると、そのほとんどが恋愛相談の手紙だった。すっかり”恋愛の女神”の二つ名が知れ渡ってしまっているようだ。そして、恋に悩む若者のなんと多いことか!


 それにしても、ジュスティーヌに相談したところで、うまくいくわけがないのにと本人は思う。こうなったら、いつものようにセドリックに相談するに限る。


 かわいそうなのはセドリックだ。こうして頼ってもらえるのは有難い気もするが、彼も特別恋愛に長けているわけではない。むしろジュスティーヌ以外に親しい女性などおらず、奥手なぐらいだ。そして、そのジュスティーヌとも甘さの欠片もない関係なのに、ただただ近しい存在だというだけで多くの男たちから恨みを買うという全くもって損な役回りなのだから。


 とにかく、セドリックはクラスメイトの殺意を感じながらもジュスティーヌとグランメゾンの個室にランチをとりに来ていた。ここは密談するにはもってこいの場所なのだ。


「俺に相談されても、恋愛経験なんてないんだからいい答えなんて何もないですよ……」

「だよねー……」

「とりあえず、一人ひとりに回答するのは手間でしょうし、この先もまたたくさん相談が届いても困るでしょうからねぇ……」

「それなんだよねー」

「うーむ、例えば、寄せられている相談を類型化して、誰からの相談なのかわからないようにしたうえで、それに対するジュティなりの、まあ、恋愛の女神兼悪役令嬢っぽい返答を校内新聞に掲載したらどうです? 姫はジャーナリズムクラブ所属なんだから」

「おっ、それいいかも! さすがセディ! さっそく放課後、オリビア先輩に相談してみるわ」


 恋愛相談への回答と見せかけて、悪女の宣伝コーナーとすることができたら最高じゃない!


 放課後、ジュスティーヌはアカネとジャーナリズムクラブの活動場所の学生会館へと向かっていた。すると10人ほどの男子生徒の集団が行く手に立ちふさがってきた。


 また、アルフォンス殿下のファンだろうか……。それにしても、あの男のせいで多くの男性にライバル視されている気がする。


「あんたが恋愛の女神のジュスティーヌ姫さんか?」

「そうですが、わたくしに何のご用でしょうか? この後用事があるのであなた方と遊んでいる時間はないのですが?」

「そんなツレナイこというなよ、女神様よお」

「お優しい女神様は俺らモテない男の味方なんだよな?」

「あんた男漁りが激しいだろ?」

「だったら、俺たちのことも慰めてくれよ、なあ?」


 そう詰め寄ってくる男たちの様子がなんだかおかしい気がする。どう考えても一人ひとりは大した戦闘力はなさそうで、1対1でジュスティーヌと戦ったところで勝負にならないことぐらいわかりそうなのに。集団になったことで気が大きくなっているのだろうか?


「アカネ、わたくしがこの男たちをひきつけておくので、ここを抜け出して誰か人を呼んできてくれないかしら?」

「だけど、姫様をお一人にはできません!」

「わたしならば大丈夫。アカネ、頼んだわよ」

「……わかりました。すぐに戻ります!」


 そう言うとアカネはジュスティーヌと男たちに背を向けて走り去った。男たちはアカネが逃げたにもかかわらず何の反応もしない。やっぱり、どこかおかしい。この男たち、何かによって操られているのかもしれない。


「姫さん、一人になっちまったけど大丈夫か?」

「あんた一人で俺らの相手をしてくれるってわけか、さすが好き者だな」

「じゃあ、楽しませてもらうとするか!」


 男たちは一斉に飛び掛かってくる。


「楽しむ間もなく終わると思うけど?」


 男たちはゾンビのように執拗ではあるが、動きが単調でたとえ人数が多くてもジュスティーヌの相手ではなかった。ジュスティーヌは一人をかわすと別の男の後ろに立っては手刀を入れたり、みぞおちを蹴飛ばしたりして、相手の意識を奪っていく。男たちは次々と襲い掛かってくるものの、ほとんど一撃で倒されて、バタバタと地面に転がっていった。


「通りすがりのスーパースターにして人類の救世主、世界が欲する正義の味方参上!」


 そういうとタンクトップ姿のムキムキマッチョな男が一人登場し、最後の一人にこれでもかというぐらい殴る蹴るの暴行を加えて倒した。ある意味、この最後の男が一番痛い目にあうことになって一番かわいそうだった。


「愛らしい天使のようなジュスティーヌ姫! 危ないところでしたなぁ。ですがご安心を。この煌めく大英雄レナードめが来たからには姫には指一本触れさせません!」

「あの……」


 全然危なくなかったけど!


「いやいや、礼には及びません! 偶然、たまたま通りかかったので、俺は当然のことをしたまでですので!」

「はあ……」


 お礼なんて言ってないけど!!


「やはり俺の虜になってしまいましたか……通りすがりの謎のエリート戦士な俺って奴は罪な男だぜ」


 そう言うとレナードと名乗った男は片手で髪をかき上げ、天を仰ぐようなしぐさをする。完全に自分に酔っているようにしか見えない。


 いやいや、虜になってないし! なんかかつてないほど強烈なのがきた……! あの腹黒皇子がすっごいまともに見えてくるんだけど。


 10人の暴漢よりも、一人の自称ヒーローに恐れをなすジュスティーヌだった。

ジュスティーヌ姫様の逆ハーレム、アルフォンス一強な現状の中で、新キャラを登場させてみました。

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