↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/31

第二十三話 開戦

話の流れの都合でちょっと短めです

「さて……とうとう来たね、この日が」


 人でごった返しているのは集落北の平原――ただしイベント仕様。集落の元締めである大婆様の力によって、集落と同じく魔物が入ってこないセーフティゾーンと化している。

 言ってしまえば、巨大な広場だ。中央には巨大な水晶玉が設置されており、そこから四方向へ空中に映像が投影される。三十分前まではビギナーランクのバトルロイヤルが中継されていたが、今はインターバル中なのでステージの風景のみが流されている。

 また特設イベント会場には、この日のためにわざわざ商品を持って販売に来ている商魂たくましい生産職の姿もちらほら。まさしくお祭り騒ぎといった様相を呈していた。

 そこへ足を降ろした魔女リティ一行。きょろきょろとあちこちを見回しているのは元気いっぱいのシャンデリアだ。


「わはぁ、すっごいね! 人いっぱい!」

「これ全部ミドルランクの参加者なん?」

「……あんたたちは元気ね」

「すっごい楽しみだからね! ラピッドちゃんはちょっと元気ない?」

「はあ? 別に全然元気だし」

「もしかして緊張……」

「別にしてないし」


 クロワッサンに口を尖らせ反論するラピッドだが、言葉は食い気味だしその眼にはやや覇気がない。緊張しているのは明白だった。それをほぐすにはどうすればいいか。


「誰にでも噛みつく狂犬が借りてきた猫みたいになってる?」

「リティあんたはっ倒すわよ!」

「あはは、ラピッドはそうじゃないとね。まあ、そんなに緊張しなくても大丈夫じゃないかな」

「だから別に緊張してない!」

「だって、誰も僕らに注目してないし。眼中にないってのはこのことだろうね」

「……む」


『見ろよ……あれが例の』『レベル200未満で総合ダメージランキング第三位の……?』『アレ前のイベントのトップじゃん、あれもミドルかぁ……きっつ』『嘘だろあいつらと同じランクかよ!』


 プレイヤーたちの注目を集めているのは、これまでのイベントで結果を残してきた有力プレイヤーたち。イベント初参戦の魔女リティ一行が注目される理由がない。


「だからまあ、緊張することはないんじゃないかな。いっそ、ここにいる全員の鼻を明かすぐらいの気持ちでいればいいんじゃない?」

「……あんたってそんな見た目のクセして、意外と過激よね」

「そう?」

「ふぅん、でも悪くない考え方ね。ま、確かにあたしたちのことが眼中にないのも当然ね。だったらその死角、存分に利用させてもらいましょ。あんたが用意してくれた魔法陣もあることだしね」

「その意気だよ。……ふぅ」


 三人娘の注意が他へ移ったのを確認して、短く息をつく魔女リティ。それを耳聡く捉えたクロワッサンが小声と共に笑いかけてくる。


「あんなこと言っておいて、実はリッちゃんも結構緊張してるんでしょ?」

「ん……まあ、そりゃね」


 魔女リティが苦笑で返す。言ってしまえば今回のイベントは、作戦を考えた魔女リティの責任が非常に大きいため、多少緊張もしようというものだ。


「大丈夫だよ。もし駄目だったとしても、リッちゃんを責めるような子たちじゃな……あー、ラピッドちゃんはどうかわからないけど、でもそんな大仰に攻め立てることはないと思うよ」

「そこは後輩を信じてあげなよ。でもまあ、そんな子たちじゃないのは僕もよく分かってるよ。ただ――単にダメだったとき、自分に責任を感じるだけだかんね」

「大丈夫」


 クロワッサンは、柔らかく微笑む。夜に浮かんだ三日月のように。


「リッちゃんの考えた作戦なら、勝てるよ」

「ん……ありがと」


 幼馴染の励ましに多少緊張もほぐれたその時、アナウンスが視界に表示される。


【バトルロイヤル:ミドルランクの開始十分前となりました】

【参加希望のチームはメンバーお揃いの上で、イベント広場中央へお集まりください】


 バトルロイヤルの戦場となるのは、イベント用の特殊フィールドだ。開始時刻と同時に、この場に集まっているプレイヤーたちがチーム単位でランダム転移させられる。

 魔女リティは、転移前にステータス画面を確認することにした。


 ――――――――

 名前:魔女リティ

 Lv:78

 MP(魔力):4400 / 4400

 魔法攻撃力:1640(+285)

 魔法防御力:870(+15)

 飛行速度:485(+30)

 ――――――――


(我ながら、よくここまで持ってこられたね)


 これまでの密度の高い時間を振り返っている内に、転送が始まる。


「さて、いよいよ始まるね――みんな、作戦は頭に入ってる?」

「もちろんだよ!」

「じゃあ、ラピッド。何か景気づけに一言お願い」

「えっ、あたし!?」

「そらそうやろ、リーダーやんか」

「こういう時ばっかりそういう扱いしてぇ……! まあいいけど……こほん。それじゃあ、上位報酬狙って、頑張るわよ!」

「「「「おーっ!」」」」


【イベントフィールドへの転送を開始します】


【ウィッチクラフト・オンライン】×『魔法少女ユニユニ』シリーズコラボイベント最終日。

 チーム対抗バトルロイヤル、ミドルランク――開戦。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。