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カワイイヒト  作者: リオ
2/10

第一話【初恋?】


「はぁ……」

 あれ以来、窓からの景都さんしか見ていない。

 それがいつも通りなのに、何か寂しい。

 急に存在を近くで感じてしまったから。

 これって、恋とか? ――分からない。

「初恋もまだだし……」

「マジで!?」

 うっかり言葉にしてしまった。

 一緒に下校する数人が、信じられないとばかりに私を見る。

「高二にもなってあんた……」

「いいじゃん別に……」

 まだなものは、まだなんだもん。

「恋ぐらいしなよ」

 別れ際、そんな捨て台詞まで吐かれてしまった。

 私だって恋したい。

 恋愛してみたいよ。

でも、私はそこら辺にゴロゴロ転がってる様な普通の女。

 顔も普通で、性格も特に良いと言う所はない。

 好きになって貰ったこともなければ、好きになったこともない。

 みんなが言う様なドキドキは、感じたことなかった。

 ただ、景都さんの前で高鳴ったあの鼓動。

 私は恋のドキドキを知らないから、本当にまだ分からないけれど、予感がする。

 でも、そんな急に恋に落ちることなんてある?

 ……急ではないか。

 恋、なのかなぁ。

「うぅ…考え過ぎて頭こんがらかってきた」

 うんうん唸って歩く私に、笑い声が降り注ぐ。

 聞き慣れた声。

 ビックリして見上げると、やっぱり窓に景都さん。

「エナちゃんてば凄い顔!」

「え……やだ!」

 そんなに笑うなんて、私そんな酷い顔してたの!?

 私は恥ずかしくて赤くなった顔を、隠す様に手で覆った。

 やっぱり、ドキドキしてる。

 心臓が馬鹿になりそうな程跳ねて。

 これが、恋…?

「エナちゃん明日学校休みだよね?」

 突然の問いかけに、私は思わず上を向く。

 まだ顔が赤いかもしれないのに、そんなことも忘れて、景都さんを見た。

「休みです……」

 浮かされた様に、答えた。

 すると景都さんは、眩しいくらいの笑顔を見せて。

「明日ちょっと付き合って」

 そう語尾にハートマークが付きそうな口調で言うもんだから。

 更に赤くなった顔を、私は縦に振った。

「お昼頃うちに来てくれる?」

 景都さんの家……。

 招待されてしまった。

 ドキドキが、うるさい。

 ああ、きっとこれが恋なんだ……。

「わ、分かりました!」

 それだけ言って、私はその場を走り去る。

 だって、恋だって自覚したら、信じられないくらい恥ずかしくなって。

 茹で蛸な私を、景都さんに見られたくなかったから。

「明日……景都さんの家に……」

 その日は、よく眠れなかった。







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