2話 目覚める
目を覚ますと、閉じる前に見た景色がそこにあった石と土が混じった床はひんやりとして皮膚越しに「まだ生きている」ことを実感させた。
すぐに身体を見た、確かに左腕も胸も失った事実があったはずだが元に戻っている。
「なんで......生きて......る?」
深呼吸をして混乱した頭を落ち着かせ周りを見て回すと、赤い髪に竜のような角と尻尾が生えている女性が倒れていた。
「もしもし大丈夫ですか?」
肩を揺さぶると、女性はうっすらと目を開けた。
「...ん...ここは?....戻ってる?」
そうつぶやきはっと目を見開く。
「あなたは...誰?...私に何をした?」
「それはこちらが聞きたい、ここはどこなんですか?」
彼女は混乱しながらも短く答える。
「ここは放穴……魔法国や機械国、あらゆる場所から見放された者が落ち着く縦穴のような場所だ」
赤い髪の女性は淡々と語ったが、その目の奥に、誇りと悔しさの入り混じった光がちらりと見えた。
「私も... ,,,少し、事情があってここにいる。望んで来たわけではないけれどね」
そう言い彼女はわずかに笑い、自嘲するように視線を逸らした。
「あなたもここから出たいでしょう? 一緒に抜け出さないか?」
その声は、かすかに震えていたが、差し伸べられた手だけはまっすぐだった。
今の自分の状況を考えると手を握るしか選択肢はない。
「よろしくお願いします、スレイムさん」
「ああ、よろしく頼む...すまない私の話ばかりしていた。君の名前は?」
「僕の名前はななし(名無し)改めてよろしく」
記憶が失われていることは伏せ、短く名を告げ、その手をしっかりと握り返した。




