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第六話

「いやぁ、意外と人多いな」

父の言った通り国立公園は人で溢れていた。

「ここは湖も綺麗で食事も美味しいものね」

あまりの人の多さに目の行き場を失ってつい、足元の石を見つめる。少し先の方で湖と石が交わってキラキラと輝いていた。その石を子供達が拾っては親に自慢をしている。

「……いいな」

「香萎?写真撮らないの?」

「……うん、行こ?」

「湖、撮らなくていいのか?」

「子供たくさんいたし、あそこで写真撮るのはちょっと……」

「そう……撮りたいなら撮ってもいいのよ?」

「ううん、いいの。ほら、行こ?」

「……」

母と父が目を合わせて諦めたように微笑んだ。

「……わかった。行こうか」

「うん……」

なんとなくケースの持ち手を強く握って、ケースを見つめる。

「ねえ、香萎?カメラ、ケースから出したら?」

「え?」

「カメラ持ってた方が撮りやすいでしょ?」

「いや、でも……」

「でも?」

「人混みの中でカメラ出すの恥ずいし……」

「なんだ、そんなこと気にしてたのか」

「私たちがそばにいるし大丈夫よ」

二人が笑いながらそう言ってくる。

「なんなら父さんたちも写真撮るか!」

「名案ね!撮りましょ!」

「ちょ、二人とも?」

「あ!あそことかどうだ?」

「いいわね、行きましょ!」

「二人ともいったんストップ!」

周りの人たちが不思議そうにこちらを見つめていた。慌ててはしゃぐ二人を止める。視線が痛いから本当にやめて欲しかった。

「香萎も!せっかく来たんだから楽しまなきゃ損よ?」

「そうだぞ。一旦カメラを出してからどうするか決めればいいさ」

「……わかった」

二人の圧に押し負けて、渋々カメラを取り出す。こんなしっかりしたカメラを持つなんて周りからどう見えてるんだろうか。

「……これでいい?」

「おお!かっこいいじゃないか」

周りにいる人たち、特に子供の視線が刺さって、斜め下しか向けなくなってしまった。

「……しまっていい?」

「え!もうか?」

「……恥ずい」

遠くの方から、かっこいいとか、写真撮れるってすごいねとか聞こえてくる。ごめん、私写真上手じゃないよ。

「私たちが周りでスマホ構えるから平気よ!」

「あぁ、こっちは任せとけ!」

「そう言う問題じゃないでしょ」

わざとらしくポーズを決める二人に呆れつつもつい笑いがこぼれる。

「……やっぱり、向こうで写真撮ってくる」

「ふふっ、じゃあ私たちも撮りに行きましょ」

「よし、早速行こう!」

「……もう」

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