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星屑の魔法ときみの名前  作者: 星恋 hosiko


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24/24

星屑の魔法ときみの名前24

落ちこぼれだった少女と、

 天才と呼ばれた少女。


 星屑に触れることすらできなかったユイと、

 夜空みたいな魔法を操るレイナ。


 ふたりの距離は、

 最初はほんの少しの“手の温度”から始まりました。


 触れたい。


 離れたくない。


 名前を呼びたい。


 そんな感情が少しずつ重なって、

 やがて星屑そのものを揺らしていく。


 最終話となる第24話は、

 ふたりの恋と魔法が、

 ひとつの答えへ辿り着く夜です。


 夜空いっぱいに降る星屑の中で、

 最後まで見届けてもらえたら嬉しいです!

 その夜。


 空がおかしかった。


 放課後からずっと、

 星屑が止まらない。


 ひとつやふたつじゃない。


 まるで夜空そのものが崩れてくるみたいに、

 無数の光が学園中へ降り注いでいた。


「こんなの、初めて……」


 中庭に集まった生徒たちが、

 不安そうに空を見上げている。


 星屑は本来、

 もっと静かで穏やかなものだ。


 でも今夜は違う。


 光が揺れている。


 呼吸するみたいに。


 感情を持ってるみたいに。



「ユイ!」


 聞き慣れた声。


 振り返ると、

 レイナが走ってきた。


 銀色の髪が、

 星明かりの中で揺れる。


「レイナ……!」


 その瞬間。


 ふわっ、と。


 周囲の星屑が、

 一斉に私たちへ集まり始めた。



「っ……!」


 眩しい。


 でも怖くない。


 むしろ、

 懐かしいみたいな熱だった。


「やっぱり……」


 レイナが小さく呟く。


「原因、私たちね」


「えぇ!?」


「感情共鳴が限界超えてる」


 そんな冷静に言われても。


 でも。


 確かにわかってしまった。


 レイナを見るだけで、

 胸の奥が熱くなる。


 触れたい。


 名前を呼びたい。


 一緒にいたい。


 その感情全部に、

 星屑が反応してる。



「……どうしよう」


 空を見上げる。


 夜空いっぱいに、

 銀色の光。


 綺麗なのに、

 少し危うい。


 このままじゃ、

 学園全体が共鳴に巻き込まれる。



 すると。


 レイナが、

 そっと私の手を握った。


「大丈夫」


 静かな声。


 いつもみたいに。


 でも今夜は、

 少しだけ優しかった。


「ユイ」


「……なに」


「私を見て」



 視線が重なる。



 その瞬間。


 ざわついていた魔力が、

 少しだけ静かになった。



「……え」


「やっぱり」


 レイナが、

 小さく笑う。


「あなたなのね」


「何が?」


「私の魔法を、

 一番安定させるもの」



 どくん。


 胸が跳ねる。



「……レイナ」


「ん?」


「私も」


 絡んだ指に、

 少し力を込める。


「レイナがいると、

 ちゃんと魔法が使える」



 一瞬。


 レイナの目が揺れた。



 それから。


 困ったみたいに笑う。


「……ほんと、ずるい」


「レイナにだけは言われたくない」


「ふふ」


 笑い声が重なる。


 その瞬間。



 ぶわっ――



 夜空いっぱいに、

 星屑が舞い上がった。


 銀色。


 青色。


 無数の光。



 まるで、

 空そのものが祝福してるみたいだった。



「……綺麗」


 思わず呟く。


 すると。


 レイナが、

 そっと額を寄せた。


「ねえ、ユイ」


「なに」


「最初、覚えてる?」


「最初?」


「あなた、

 星屑を全部こぼしてた」


「あれは忘れて」


「無理」


 くすっと笑う。


 そして。


 レイナの指が、

 優しく私の頬を撫でた。


「でも今は、

 ちゃんと光を掴めてる」


「……うん」


「どうしてだと思う?」



 そんなの。


 決まってる。



「レイナがいたから」



 一瞬。


 レイナが、

 息を止めた。



 それから。


 今までで一番優しく笑う。



「……私も」


 小さな声。


「ユイがいたから、

 ちゃんと好きになれた」



 胸が熱い。


 苦しいくらい。


 でも、

 嫌じゃない。



 だから。


 私は、

 そっとレイナを抱きしめた。



 一瞬だけ驚いて。


 でもすぐ、

 抱きしめ返される。



 あったかい。


 安心する。


 この体温を、

 もう知ってしまった。



「……好き」


「うん」


「大好き」


「……私も」



 その瞬間。


 星屑が、

 夜空いっぱいに弾けた。



 光が降る。


 どこまでも。


 やわらかく。


 優しく。



 まるで、

 この世界全部が恋をしてるみたいに。



 そして。


 その中心で。


 レイナが、

 静かに私の名前を呼ぶ。



「ユイ」



 たったそれだけで。


 世界が、

 少し優しく光った気がした。



 夜空が落ちてくるこの学園で。


 私たちはきっと、

 これからも同じ光を見つけ続ける。



 触れた指も。


 重ねた唇も。


 名前を呼ぶ声も。



 全部、

 魔法みたいだった。



 星屑が降る。


 静かに。


 いつまでも。



 ――『星屑の魔法と、きみの名前』 完。

 『星屑の魔法と、きみの名前』を最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。


 ついに完結です。


 書き始めた頃は、

 ここまで“空気”で読ませる物語になるとは思っていませんでした。


 この作品は、

 大きな戦いがあるわけでも、

 世界を救う話でもありません。


 でも。


 誰かの手を取ること。


 名前を呼ぶこと。


 「好き」と伝えること。


 そんな小さな感情が、

 世界を変えてしまうくらい眩しいものなんだって、

 この物語を通して描きたかった。


 ユイは最初、

 自分に自信がありませんでした。


 魔法も使えない。


 周りにも追いつけない。


 でも、

 レイナと出会って、

 “誰かを想う気持ち”が魔法になっていった。


 そしてレイナもまた、

 完璧に見えて、

 実はずっとひとりだった。


 だからこそ、

 ユイのまっすぐな言葉に、

 少しずつ救われていった。


 このふたりは、

 お互いを変えた存在です。


 だから最終話では、

 「あなたがいたから」

 という言葉を、

 いちばん大切にしました。


 恋って、

 相手を好きになるだけじゃなくて。


 相手がいたから、

 今の自分になれたって思えることなのかもしれません。


 あと個人的に、

 今回かなり好きなのが、

 “名前”の使い方です。


 タイトルにも入っている通り、

 この作品では

 「名前を呼ぶ」という行為を、

 ずっと特別に描いてきました。


 ユイ。


 レイナ。


 その名前を呼ぶたびに、

 距離が縮まって、

 魔法が共鳴して、

 世界が少しだけ優しくなる。


 だから最後も、

 派手な告白じゃなく、

 静かに名前を呼ぶシーンで終わらせました。


 この物語らしく、

 夜空に余韻が残る終わり方にしたかったんです。


 そして。


 24話で終わらせたのも、

 本当に良かったと思っています。


 もっと続けることもできた。


 もっと甘くすることもできた。


 でも、

 “ずっと見ていたくなる瞬間”で終わるからこそ、

 物語は特別になる。


 きっとこの先も、

 ユイとレイナは一緒にいます。


 喧嘩もするし、

 嫉妬もするし、

 星屑を暴走させる日もある。


 でもそのたびに、

 また名前を呼び合って、

 同じ光を見つけるんだと思います。


 最後まで、

 この物語を見届けてくれてありがとうございました。


 星屑の夜が、

 あなたの心にも少し残りますように。

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