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第3話 友達と観るヒーローショー

「頑張れー!ガゲン仮面!」

 子ども達の声援が、夏の空に響き渡る。瓦山山頂の展望台には、思っていたよりも沢山の子ども達が集まっていた。

 ヒーローショーステージの前で歓声を上げる子ども達の後ろで、俺達は同じショーを見る。ここまで自転車で45分。俺は流石に疲れていたのだが、このヒーローショーはそんな疲れを忘れさせてくれるくらいには面白く仕上げられていた。

 隣の赤堂さんも大はしゃぎである。


「正義の灯火は、まだ消えていないか」

 そんな中で、本作を代表するワンフレーズがヒーローショーの中で引用される。第44話「俺にとってオマエは、ヒーローという奴は」という回でライバルキャラクターが意気消沈したガゲン仮面に放った一言である。この言葉をきっかけにガゲン仮面はヒーローとして再び立ち上がることを決意するのだ。

 会場は歓声で沸き上がる、子ども達の応援が白熱するそのただ中で、赤堂さんが俺の脇腹を肘で小突いてきた。この盛り上がりシーン、ショーに熱中したい時にどうしてそんな邪魔をするのかと思ったが、赤堂さんの感極まった表情を見て察してしまう。


 そういえば俺、この台詞を引用したんだった。


 あれは、濡れ衣を着せられた時のことだ。掃除の時間の終わり、生徒会会長と話した後。どうしてか、落ち込んだ顔をしていた赤堂さんに、俺は今の台詞を伝えたのだ。

 途端に恥ずかしくなって顔が赤くなりそうになった。どうして俺は、そんな厨二病的行動をしてしまったのか、あの時は自然と口にしたことだが、今になって恥ずかしい。

 顔を背け、手で口元を押さえてどうかしていたと反省する俺を、赤堂さんが再度小突いてくる。


 見ると、赤堂さんは俺に腕を顔ぐらいの高さで差し出して来ていて。

 俺は、それに自分の腕をこつんと当てた。


 赤堂さんはより一層の笑顔をみせると、満足したようにしてショーへと視線を戻す。

 1人置いてけぼりにされる俺は、そんな彼女の横顔を見ながら、まあいいか。なんて思って、過去の失態は忘れてしまうことにするのであった。


 ショーに夢中になると、存外早く、俺は過去の失態を忘れることが出来た。

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