第7話 報酬カット
ゆっくりと振り返ったアゲハ。
そこには怒れる金髪の鬼がいた。
オカルト部の部長としてアゲハを雇っている金髪少女である。
「ぬわ! これはこれはボス。何か御用で……?」
「御用も何も帰るまでが霊災跡地探索ですよ! それに生徒に変な事を教えないでくださ~い!」
「いや、これも社会勉強で……」
「問答無用ですっ! 報酬一割カット!」
「そそそそんな~っ! ヒドすぎる!?」
警告後のやらかしを一割カットで許してあげるとは、何とも優しい雇用主である。
鉄くず回収で貰えるお金ではペイできないだろうが、自業自得だ。
次に鬼の怒りの鉾先をキッと向けられたのは、カードを掲げてご満悦の赤いお団子少女カエデである。
「カエデさ〜ん?」
「ぴゃあああ!? マイヤ部長!?」
金髪の鬼ことマイヤに名前を呼ばれてサーッと表情を青くしたカエデは、カードを後ろ手に隠す。
あまりにわかりやすすぎる反応。
何か後ろめたいことがあるのが丸わかりである。
「今お尻に隠したのは何ですか」
「これは〜! その〜」
視線を左右に向けて解決策を見いだそうとした問題児カエデ。
しかし、頼りのアゲハ先生は鬼の放ったお賃金カットの一撃でノックアウトしており、オマケにオカルト部の仲間たちからはジト目で見つめられている。
観念した彼女はキラリと輝くカードを差し出して白状した。
「うぅ……。符化術を使っちゃいました……」
「まだ不安定だから符化術は使わないようにと、霊術の先生に言われていましたよね?」
「せんせ〜に良いところを見せたくってぇ……」
どうやら未熟な術を好きに使っていたらしい。
「も〜う! 出発前に何度も言い聞かせましたよねっ」
「ご、ごめ~ん」
しかも常習犯のようだ。超新星どころか、とんだ問題児である。
困った生徒に頭を抱えていた金髪少女だったが、ハッと目を見開くと視線をアゲハに向けた。
いつの間にか立ち上がり中指と人差し指の二本をピンと伸ばして額に当てていたアゲハは、もったいぶって頷いた。
「ちょっと多めに来てるね。いっぱい」
「ちょっと、どころじゃありませんよ~!? 装甲バス四号! 月宮マイヤが命じます! 一緒に戦って!」
『契約者・月宮マイヤの霊力パターン検知。ナンバーフォー・バトルモード』
白い輝きとして霊力を解き放ったマイヤは、金糸の髪をゆらめかせながら叫んだ。
彼女の命を受けた装甲バスは緑の装甲を変形させていく。
座席部分を収納して天井を下げることで全高を半分にしたバスは、装甲の一部を八本の独立した脚部として展開。一瞬でクモのような形態となった。
『ゴースト級・多数接近。状況・レッド』
胴体部分に複眼のように並べられたセンサー類は、状況の危険度を示すように赤く輝いた。
展開された脚部には忙しなく回転する金属棒が備えられており、元の姿とは似ても似つかない状態に変身してしまった。
まるで戦闘ロボである。




