侵入者あり!
グンマ県庁に侵入者あり!
こそこそ裏口から入ってくる人影を見て、秘書はすぐさま警備員たちに知らせる。
一分後、不審者は取り押さえられていた。
その正体は、まさかのグンマ県知事である。
――東京都庁に行ってくる!
そう言って、県知事がグンマ県庁を飛び出していったのは、三日前のことになる。
あれから今まで、県知事は行方をくらませていた。
が、どこで何をしているのか、秘書には筒抜けだった。こんなこともあろうかと、前もって県知事にこっそり発信機をつけていたのだ。
この三日間、県知事は都庁から戻ってきたあと、ずっとグンマ県内にいた。のんびり温泉に入ったり、ある峠に行って「釜めし」を食べたりしていた。たぶんそこで、川柳も詠んだりしているだろう。
要するに、遊んでいたのだ。おそらくは、『フロンティア・オークション』で負けたショックを癒やすために。
なので、県庁の裏口から帰ってきた時、秘書は考えた。
少し懲らしめよう。美味しい「釜めし」を食べるのに、秘書はお留守番なんて、絶対に許せない!
それで警備員たちに連絡して、不審者として取り押さえてもらった。「これは訓練だから」と、警備員たちには伝えている。「県知事は張り切って演技をするそうなので、そのつもりで。手加減は無用」とも。
三日ぶりに身柄を確保し、県庁一階の目立つ場所で、公開お説教を行う。
「職務怠慢ですよ。書類の決裁が山ほど溜まっています。グンマ県をつぶす気ですか!」
「・・・・・・ごめんなさい」
県知事はちゃんと反省しているようなので、
「わかればいいんです」
お説教タイムはおしまいにした。
実は、緊急の用件がある。
秘書は真剣な顔になると、
「突然ですが、三日後に『フロンティア・オークション』が行われます。『海』が売りに出されました」




