さつきの結婚
さつきは、自分が結婚したことを優美にまだ伝えていなかったことに気づき、朝方メールをした。
そして昼休みに、優美からのメールを見た。
「五月雨さん、ああもう五月雨さんではないのですね、ご結婚おめでとうございます。
もう自分たちもそのような年になったかと驚いております。
五月雨さんが結婚したと聞き、自分のことのように嬉しく涙が出そうです。」
そんなメールであった。
こんな親友が他にいるだろうか。
他人の結婚をメールで知り涙してくれる程の友達が。
その後さつきは結婚式の披露宴に優美を招待した。
披露宴と言っても、披露する宴であって、何やら大きな会場でご祝儀を渡す受付があるようなのを想像してはいけない。
さつきの夫の親しい友人が、結婚式に呼ばれなかったから祝ってやろうと企画するも、そこは哀しいかな学生たちの身、5000円すら出せない状況により、会場は東京駅高架下の居酒屋である。
さつきは呼ぶ中高時代の友達にくれぐれもお洒落をしてこないようにと念を押した。
宴は新郎新婦の挨拶の後は、適当に、というか、話したい奴らが話したいだけ話したい相手と話すという形で進められたので、さつきの腐女子の友達が新郎の夫と盛り上がっていたりさつきの親友が強烈なパンチを新郎の友人たちにマシンガンのように笑顔で浴びせていたりと、
つまり彼女たちはその夜を楽しんで店を出た。
さつきは遠くから来てくれた優美にお車代を渡そうとしたがそれぐらいは稼いでいると断られた。
追記すると、結婚祝いにちょうど3万円ぐらいの商品券が優美から郵送されてきたものだから、さつきは千疋屋の桃を贈って、大層なお礼のメールを貰った。どうやら優美は桃が好きだったようだ。




