其の二十一
立川志の輔師匠版の「牡丹灯籠」では、先ほどの初詣のシーンに続くオリジナルの後日談が加わって『下げ』にございます。
なので私も、そのシーンの回想を以て、この壮大な話に幕としようと思います。
最後になりましたが、
この素晴らしい物語を産んで下さった三遊亭圓朝師匠。
それを速記し続け後世に残すことに貢献してくださった速記者の、酒井昇造様、若林玵蔵様。
2023年まで10年以上、東京の劇場にて3時間高座に座り、たった一人で牡丹灯籠を語り続けた立川志の輔師匠。
そして、これを最後まで読んでくださった皆様に、最大限の感謝と、尊敬の念を送ります。
…… ……
その年の、お盆のことでございました。
孝介は浴衣に着替え、縁側に出、月を眺めながら、
己の数奇な運命に想いを馳せておりました。
清水の向こうから……
カラン……コロン……
……カラン……コロン……
「孝介。孝介」
「……殿? ……殿!!」
「孝介。よくやったのう……
これで心置きなく、冥土に行ける……
其方も、これからは幸せに暮らせ。
…… ……さらばじゃ」
「殿…… 殿!!
…… ……
…… ありがとう存じます」
牡丹灯籠をご存知ですか? 了