学園都市から帰宅してからのこと ②
ぶらぶらしていると、様々な植物を目にする。秋にだけ綺麗に咲く植物なんかを見るのも楽しい。わたしはこうやって山の中を歩き回ることはよくある。そうしているうちに山に生えている植物とか、生息している魔物とかにはより一層詳しくなっている。わたしの知らないものももしかしたらあるかもしれないけれどね。
パパやママもわたしと一緒に山の中を散歩することもあるけれど、わたしよりはぶらぶらしていないと思う。
わたしの方がパパやママより山の中のこと、詳しいのかもなんても思ったりもする。
まぁ、わたしは新しく見つけた植物や魔物のことをパパやママに沢山話しているから、結局わたしだけが知っていることって少ないかも。なんだか新しい発見があるとすぐにパパとママに話に行きたくなってしまうんだ。
わたしがパパとママに隠し事出来ないからっていうのもあるだろうけれど。
学園に入学したらこの慣れ親しんだ山にも、たまにしかこれなくなる。それもやっぱり寂しい。楽しみも強いけれど、不思議な感覚。
学園でもこうやって散歩は沢山したいな。勉強が忙しくなったとしても身体を動かすことは怠りたくないなとは思う。
わたしは自分を磨くことをやめるのって嫌。
わたしの身体ってホムンクルスだし、普通の人とは違うかもしれない。だからもしかしたら、わたしが頑張らなくても理想のわたしのままで居られる可能性もある。ただそれって絶対じゃないし、わたしは可愛いわたしが好きなので太らないようにしようとか、可愛くあるために頑張ろうとかは続けていきたいなって思う。
まぁ、あくまでわたしが自分のことが大好きだからそう思っているだけで、他の人に同じようにあることを強制するつもりはないけれどね!
「学園に入学したらユキアとシミーレのこと、すぐに外に出せるか分からないんだよね」
《精霊獣って目立つから仕方ないよ。僕が一緒に居たら、ベルレナが狙われたりするかもしれないから。でも堂々と僕を連れていてもいいと思うけれど》
「学園生活に慣れてしばらくしたら、連れ歩くようにするかも! ただユキアみたいな綺麗な契約獣を見たら、わたしから奪おうとする人もいるかもしれないんだよね。ニコラドさんの弟子である学園長も居るから問題はないだろうけれども……」
ユキアもシミーレも学園では珍しいだろう。
わたしと同年代の貴族達は、他でもないベルラ・クイシュインの影響で、魔物達と契約をすることも多いから、契約獣を持っている人ってそれなりに居るらしいけれど。
でもその年頃の子供で契約が出来る魔物って結局、そこまで強力じゃないものの方が多いらしいから。
まだ学園に入学したばかりの年代の子だと、もしかしたら自分の望みは全部叶えられるって思っているかも。特に高位貴族だときっとそう。わたしもね、ベルラ・クイシュインだった頃はそうだった。
公爵令嬢って立場のわたしの望みを周りが叶えるのは当たり前だって思っていた。多分、そう思っている高位貴族の子供はいるんだろうなぁ。
なんだかそういう生徒を見たら、わたしは過去のことを懐かしく思うだろうな。
わたしって凄く可愛いから、学園に入学したら絶対に目立つと思うんだよね。見た目が整っていると周りから注目されるのは当たり前だしね。
まずは学園に入学出来たら、わたしに手を出さない方がいいよって分かってもらうのが一番かな?
高位貴族だと基本的にそこまで愚かな真似はしないと思うけれど、どうなんだろう? 世の中には悪い人もいるから、立場の弱い人にならなんだってしてもいいみたいな思考の人ももしかしたら居るのかもしれない。そういう人相手にわたしはどう対応するのが一番いいんだろうね。
わたしは魔導師の娘ではあるけれど、立場的には平民であることには変わりないからなぁ。
「契約獣を奪おうとする者など、消せばいい」
「シミーレは物騒なこというね? それは最終手段だよー。そんなことをしたら大問題になっちゃうでしょ。それにわたしは誰かを消したりするなんて基本的にはしたくないよ」
本当にどうしようもない場合は、最終手段を取らなければならないことはなくはない。とはいえ、そんなことをしたいとは思わないので平和的手段が出来るようにはするつもりなの。
そもそも学園で生活するってことは、その場の法律が適用されるわけだし、ちゃんとルールにそって対応しないと駄目だしね。
パパとママはわたしが王国に居られなくなっても気にしないだろうけれど、わたしはなるべくそういうのは嫌だなって思うからね。パパとママがどんな場合でもわたしの味方をするのは知っているけれど、そもそも皆から嫌われたりなんかはしたくないしね。
わたしはあまり集団生活をしたことないから不安だけど、そのあたりは一生懸命頑張るようにしたいなぁ。
それにしても、シミーレって結構力づくで何でも解決しようとする方だよね。精霊ってそもそも人と考え方が違うからそうなるんだけれど。
わたしは魔導師であるパパたちとか、その知り合いの人間以外の種族たちとか、そう言う人たちとしかあんまり関わってこなかったからもっと普通の同年代の子達の常識も知らなきゃなぁ。
そうしないと浮いちゃうもんね。




