学園の入学試験 ④
座学の試験は問題なく解けた。これまで勉強していたことが役に立って、凄く嬉しい。なんだろう、こうして努力の結果が出ると嬉しくて仕方がないね。
基本的に全部埋めたよ! 難しいところもあったけれど、魔法関連の事に関しては全部ちゃんと答えられたと思う。それ以外の問題は自信がないけれど!!
それでも魔法に関することだけは、わたしが一番解けていたら嬉しいかもしれない。
それにしても座学の試験を受けた後は、疲れている人も結構多かった。やっぱり皆、緊張をしていたんだろうね?
試験を受ける前に緊張した様子を見せていた女の子がわたしに話しかけてきたよ。
「あなたのおかげで緊張せずに試験を受けることが出来ました。ありがとう」
そう言って笑ってくれて、わたしは何だか嬉しかった。
良いことが出来たかも! 人のために何か出来るのって嬉しいことだよね。わたしが無意識に人に対して良くないことをしてしまうこともきっとあるだろうけれども、出来る限りは良い事をする方がいいよね。
わたしは周りが笑っているのを見ることが好きなの。まぁ、全員は無理だけど! わたしが大切だなって思える人たちは幸せでいられるように一生懸命頑張りたいなってそうは思っているの。
座学の試験を終えた後は、しばらく休憩時間! すぐに実技じゃないみたい。わたしはどんどん次に行っても問題ないと思っているのだけど、すぐに実技の試験を受けるのは難しかったりするみたい。
特に魔法だと皆、集中しないと使えないとかそんな感じらしい。
わたしはパパとママに育てられ、魔法を教わってきたからこそそこまで緊張していないけれど、普通はそうなんだろうなと思った。
わたしにとって魔法というのは、凄く身近にあるものだった。日常の中で使われるもので、魔法が存在しない暮らしは正直想像が出来ないぐらい。
――それはわたしが魔導師であるパパの娘だからに他ならない。
それ以外の暮らしをしている人達にとって、魔法ってきっとそこまで身近なものではない。魔法を使うとなるときっと緊張する。
それにわたしの年頃で、魔法を常に使っている人もきっとそこまでいない。わたしたちぐらいの年代だと、どのくらい魔法を使えるものなんだろうか。実技の試験だと、他の子達の魔法についても見ることが出来るかな。
どのくらい魔法を使えるのか、わたしの知らない魔法を使っていたりするのか。そんなことを考えるだけでワクワクしてくる。
わたしの知らない魔法がどのくらいあるのかな。わたしはパパとママに沢山の魔法を習っているけれど、きっとそれだけが全てじゃなくて、わたしの知らない魔法って世の中には沢山あるんだろうな。
わたしはそう考えると、楽しみ!
わたしは試験の前だというのに、こうして楽しみって気持ちしかない。他の子達は成功するかなっていう緊張でいっぱいなのかな。
間の時間帯は、自由にして良かったらしい。ただし迷子になる可能性もあるから、外へ行かないようにってそういう話はされた。
学園は思ったよりもずっと広い。事前にどれだけの広さがあるかとか、聞いていたはずなのに実際に訪れると凄いなとそんな気持ちになった。
中等部だけでも広いのに、その先の高等部もあるのだから本当にすごいよね。沢山の学生たちが集まって暮らしているのが不思議だよね。
向こうの方にあるのが、学生寮かな?
学園に入学したらわたしもあそこで暮らすことになるんだよなぁ。寮の種類も色々あるみたいなんだけど、貴族たちの住まう寮は遠くから見てもキラキラしている。
なんだか、目が疲れてしまいそう。
わたしもベルラ・クイシュインとして生きていた頃はああいったキラキラして、高級なものに囲まれて暮らしていたなと思い出した。今のわたしは高級なものっていうよりも、わたしが気に入ったものを集めて暮らしているんだけどね。
どんなに高価なものでも欲しいものは買っちゃう! でもあれかなぁ、学園に入学して、学園生活で珍しいものばかり購入していたら変な意味で目立っちゃうかな?
そのあたりも考えた上で買い物した方がいいのかもしれない。尤も結局、我慢できずに購入してしまうかもだけど!
周りのことばかり考えて、欲しいものを買わないって選択は結局しない気はするなぁ。
わたしはそんなことを考えながら、試験会場の近場にあった中庭へと向かう。とても綺麗に整えられている。
奥のエリアは関係者以外立ち入り禁止になっていた。錬金術とか、調合の材料となる植物が植えてあるみたい。そういうのって、貴重だもんね。
わたしは魔法に関する学科に通うわけだけど、この学園には錬金術に関する学科も存在している。
ただ錬金術は学ぶ人はそこまで多くないみたい。学科って一つしか選べないのは不便だよね。
重複しても問題なかったら、わたしもその学科にも入ったのにな。
とはいっても受けようと思えば違う学科の授業も受けられるらしいと聞いているので、そのあたりは受けに行ってみようかな?
まぁ、学園に実際に入ってみないとどのくらい融通がきくのかとかさっぱり分からないけれど。
それにしても学園には良い庭師の人達も働いているんだろうなぁ。
だってこうして素敵な中庭を整えてくれているんだもん。こうして綺麗な花を見るだけでもわたしは幸せな気持ちになった。
思わず鼻歌が口から洩れる。それから少しして実技の試験の時間が迫っていたので、試験場へと戻ることにする。
わたしが鼻歌を歌いながらのんびりとしている様子は、一部の学生たちに見られていた。




