第20話 限界
前回のあらすじ
馬車は無視して逃げることにしました。
両親がハイスペックだったと知りました。
逃げる先をロペノンにするかゲッティにするか迷っています。
教えてくれ。
なんで、そんな心配はいらないんだ?
《転移というものをすることによって、元の身体の名前は消え、新しく変わって、この人に関しての記憶もこの世界から一部を残して消滅します。なので、ロペノンにいっても大丈夫です。仲が良かったものは、すこし近づいてくるかも知れませんが、名前はしっかりとヤミ・アヅキと呼ぶと思います。私達がこの世界に適応しやすいよう他の者の記憶は改ざんされるのです》
そういうことか...。
だから、心配しなくてもいいのか。
ゲッティは王都なんだろ?
いきなり王都っていうのはちょっとな...。
《私はいきなり王都でもいいと思いますよ。でも、少し肩身が狭いと感じるかもしれませんね。それに服装がほぼ下着状態ですし...。やはり、ロペノンに行った方がいいですね》
じゃあ、それで決定だな。
今からロペノンに向かおう!
俺が決意して、現実に戻ろうとした時、ちょっとした違和感に気づいた。
おい、なんか時間の流れがさっきより速くなってる気がするんだが?
《......やばいです。光速思考の効果が弱まっています。ああ、こうなるなら、最初から『完全理解』を使えばよかった...》
どうなっているんだ...!
説明してくれ!!
《今は時間がありません。走りながら説明しますので、速くロペノンの方向へ!》
お、おう。北ってこっちだよな?
《そっちは、南ですよ?反対です》
あ...ああ、わかってたよ。そうだよな、こっちが南だよな。
よし、気を取り直して、ロペノンへ全力疾走だ...!!
俺が現実に戻る。
その瞬間、さっきまでゆっくりゆっくりと進んでいた馬車が急にはやくなり、服に滴っている水もかなり速く落ちていく。
気づかれる前に逃げないと...。
そう思って俺は走り始めた。
走ること、3分。
自分でも驚くぐらい早く走ることが出来た。
もう、さっきいた馬車は、完全に見えなくなっている。
ここまで、逃げれば大丈夫だろう...。
そう思って、少し走るペースを落とし、走りつつも逢依にききたいことを聞くことにした。
さっきの時間の流れが速くなっていたのはなんでだ?
《この身体での光速思考には、時間制限があるようです。おそらく、脳が壊れないようにするためでしょう。何度か続ければ制限が伸びるとは思いますが、さっきまでの状態ですと、現実で約30分経つまでの間を想像空間ではその約1000倍の時間を過ごせます。つまりは、現実の1秒を想像空間の1000秒にできるのは、30分間だけなのです。今は、30分間を使い切ったようで、現実の1秒は想像空間の100秒になっています。『完全理解』を使ったのでわかりますが、今の状態のままなら、永遠と続けられるようです。逆に現実の1秒を想像空間の2000秒とかにすると、こうして、光速思考でいられる時間が縮まるようです。極限まで速い戦いなどでは役に立つかもしれませんが、いつもは、現実の1秒を想像空間の100秒にするようでいいと思います》
や、やばい。俺にも『完全理解』がほしい...。
残念ながら、さっぱりわからない。
一気に話すなよ...。
《...頑張って覚えてください》
いや、現実の1秒を想像空間の100秒にするとか、いちいち長いんだよ!
縮めてくれないとわからないよ...。
《確かにご主人様の言っていることは正しいですね。では、現実での1秒を想像空間での100秒にする状態のことを通常状態と呼びます。次に現実での1秒を想像空間での1000秒にする状態を本気状態と呼びます。最後に現実での1秒を想像空間での1001秒以上にする状態のことを全力状態と呼びます。これで、これからはスッキリと話せると思います》
おぉ、ちょっとスッキリしたような、しないような...。
《どっちなんですか...。あっ!もうすぐでロペノンですよ!!》
おぉ、もうそんなに近づきていたのか...。
初の村か、ちょっと緊張するな。
読んでくださり、ありがとうございました。




