10-4 エピローグ
澄み渡る青空、穏やかに波打つ海面、緩やかに吹く風に押され順調にすすむ帆船。
大陸間を横断する大型の船には、大勢の乗客が乗っていた。
甲板から海を眺めるエルフの女性ソフィー。
「んー、風が気持ちいいわー」
長い髪が風に揺られてキラキラと輝いていた。
その隣では同じように海を眺める宝石人の少女トニエがいた。
男装をやめたらしく今は女性らしいワンピースを着ている。
手すりが高く、海を眺める彼女は顔がちょこっと出るぐらいだった。
「いったいどんな秘密が私を待っているのでしょう!」
新大陸に想いを馳せる彼女は瞳を輝かせていた。
「美味しい食べ物いっぱいあるといいねー」
トニエを見ながらフフッと笑うソフィー。
トニエの隣に立つ小人族の女性フェルネがツンとした顔をして、
「いくら食べても胸に肉は付かないぞ」と、ソフィーをからかう。
そんなフェルネの胸を見ながら、
「アンタもね」と、やり返すソフィー。
「まぁまぁ、二人とも、そんな些細な事で――」
「オマエが言うなー!」
ソフィーとフェルネが二人声を合わせてトニエを攻める。
彼女はワンピースを着ているためボディーラインが強調されてしまい、二人から妬まれていた。
三人から少し離れた所に立つ竜人族の姫ネディラ。
「あの三人はいつも騒がしいのぅ」
文句を言いながらも顔は笑顔で楽しそうだ。彼女も今は赤いドレスに着替えていた。
「仲良しなのよー」
見た目だけは一番年上になる淫魔のヘルミルダがその隣に立ち、若々しくはしゃぐ三人を羨ましそうに眺めていた。
彼女らが冒険したアルトリッヒ大陸からは戦争が根絶された。
それが一時的な気休めであるにしろ平和が訪れたのだ。
働き口を失った閃光の獅子に悲愴感はない、報酬で買い込んだ酒を飲みながら船の上で宴会を楽しんでいる。
種族の異なる五人の女神を乗せ、船は西の大陸へと進むのだった。




